悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344941281

作品紹介・あらすじ

悩める売主を救う 「不動産エージェント」という選択

感想・レビュー・書評

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  • 不動産運用の新たな依頼先、知識が学べる本です。
    空き家増加が社会問題となっていますが、個人レベルでも、実家や今の住居を今後どうするか、考えないといけない人は多いはずです。
    希望額で売れないことも多いのが実情ですが、それには実は、不動産仲介業者側の都合があります。
    そんな中で、顧客=売主の利益最大化を目標とする「不動産エージェント」と呼ばれる存在が実はあります。
    不動産取引の実態とともに、これから活用すべき不動産エージェントの活動事例を教えてくれています。
    不動産の処分を遅かれ早かれ考えないといけないという多くの方にとって、知っておくべきことを教えてくれる1冊では。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
    「専門性がないと、枠にとらわれない常識破りのアイデアは生まれない。そして、そのアイデアなくして、前例のない最高の不動産取引を成し遂げることはできない。」
    「売れない理由を解消するには、売り方のアプローチを変え、別の角度からメリットを見つけアピールしていくのが得策。その明確な答えも、綿密な現地調査で見つけられる。」
    「私利私欲に走らず、かつインプットしている情報量がすさまじいという点で、倫理性と専門性についてはAIのほうが人間より圧倒的にパフォーマンスが高い。だが、関わる人達の信頼関係構築、円満な取引の上では相互の相性、個性に頼る部分が大きく、人間のほうが上。」
    →不動産に限らず、コンサルティングを生業とする多くの方にとって、今後意識しておくべきことが紹介されていると感じました。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ・現状の利己的な不動産業界の体質を変えるには、売主サイドの意識を改革し、まずは売却不動産のあずけ先から変えていくべき。不動産仲介会社が囲い込んでしまうと、外からはどうにもできない。不動産エージェントにまず相談、という発想を持ってもらう。

    〇売り主の幸せを追求する「不動産エージェント」
    ・市場は需要過多で売主側に追い風なのに、希望額で売れない理由の1つは、不動産仲介会社が買い手と売り手の双方から手数料を欲しいから。仲介会社にとって、不動産を高く売ることが自社の最大の利益になるとは限らない。
    ・買い手の味方になって値下げしても、双方を結びつければ手数料の総額が大きくなるので、わざと希望額では買い手がつかないと言っていることが多い。売り主も、買い手がつかない焦燥感から、値下げに応じてしまうことも多い。
    ・売り主は、自分の不動産がどれほどの価値があるかに執着しがちだが、不動産の売却スピードと価格決定の要素として、預ける委託先にも注目が必要。
    ・クライアントに寄り添い、不動産の真の価値を見極め、プロの視点から的確なアドバイスを行い、売却までの全プロセスを支援する不動産エージェントとの出会いから入るのが、これからの不動産取引の新しい形となっていく。
    ・売主に寄り添い、最適なゴールを提示する上で、不動産エージェントは倫理性・専門性・個性を大事にしているため、囲い込みをせず、どう高く売るかも追求する。売主に、できるだけ早く売れる、できるだけ高く売れる、売りたい方に売れるというメリットをもたらす。
    ・相場より強気な価格で買い手がつけばそれに越したことはないが、買いの声がかからなくても焦らず、公開した情報にどれだけのアクセスがあったかデータを収集し、多ければそのまま、あまりにも少なければ相場近くまで下げる方針に変える。

    〇売主が絶対に後悔しないために
    ・不動産を希望以上の価格で売却するポイントは、エージェントによる情報の収集と分析。周辺の取引事例も可能な限り集める。分析で売れない理由を探り、課題を一つひとつ着実に克服するからこそ、当初の想定より高値で売れる。
    ・情報網を広げることで、たくさんの買い手候補の目に留まり、不動産を高くかつ早く売却できるチャンスは増える。さらに、エージェントがその物件や立地の持つポテンシャルをより引き出すことで、相場よりも高値で売れる可能性が高まる。
    ・各建築素材の具合や、屋根裏・床下の見えないところに至るまで、不動産に関わるデータをすべて可視化できれば、建物の真の価値を掘り起こすことも可能。築年数が古くても、状態次第で築浅の家と同等の価値を見出すことも不可能ではない。
    ・住宅診断(インスペクション)は本来、買主が物件を審査する際に行うが、売主があえて先手を打って実施し、建物の情報をオープンにしてから売り出す事例ができている。
    ・管理組合がしっかりしているかという要素も、マンションの価値を決めるうえで重要な材料。建った直後は仮完成の状態。造るのは人間なので、大規模な工事の過程で必ず発生するヒューマンエラーによる不具合を使っていくうちに見つけていき、直すことで初めて完成形に至る。居住以降の行き届いた管理が、マンションの将来にわたる価値と安全性を決定づける。
    ・専門性がないと、枠にとらわれない常識破りのアイデアは生まれない。そして、そのアイデアなくして、前例のない最高の不動産取引を成し遂げることはできない。
    ・売れない理由を解消するには、売り方のアプローチを変え、別の角度からメリットを見つけアピールしていくのが得策。その明確な答えも、綿密な現地調査で見つけられる。
    ・空き家の相続人複数による共有は、問題の先送りでしかなく、おすすめできない。管理、固定資産税など、共有状態に紐付いた課題がいくつも表面化し、話をまとめるのに骨が折れる。さらに次の代に相続されると、さらに複雑化し一層こじれ、老朽化の問題も出てくる。
    ・売主が最大の利益を得るにはどういった戦略が考えられるか、その利益を得る上で弊害となる課題はないかと細部まで気を配って、時間をかけて対策を立てていくことで、初めて売主の利益を最大化できる。
    ・マンション投資に失敗した個人投資家が債務整理するケースは珍しくなく、高収入世帯ほど、ローンが通りやすく、複数の収益物件を取得した挙句、赤字物件を多数抱える事態になって、その結末を招きやすい。
    ・使い込まれた中古物件でインスペクションを実施すると、多かれ少なかれ建物の弱点は見つかるが、改善の余地があるところばかり。直してしまえば、建物の寿命をより延ばすことができ、現存価値を引き上げることができる。

    〇これからの不動産仲介を変える不動産エージェント
    ・いくらで、どのタイミングで売るべきか、どうやって売るのが正しいのか、売主が当たり前のように抱く漠然とした問いかけに的確な回答をくれるアドバイザーは欠かせない。そこにお金を掛け、不動産の本来の価値を見出し、付加価値も加わって、後悔のない売却が叶う。
    ・私利私欲に走らず、かつインプットしている情報量がすさまじいという点で、倫理性と専門性についてはAIのほうが人間より圧倒的にパフォーマンスが高い。だが、関わる人達の信頼関係構築、円満な取引の上では相互の相性、個性に頼る部分が大きく、人間のほうが上。

  • 良い本!
    営業として、お客さん目線の提案やコンサルティングのストーリーを見れるのはありがたい事。

    2010年を基準とした、不動産価格指数は、マンションに至っては1.8倍、需要過多なのになぜ売れないのか?

    不動産屋の言う、「不動産業界とはそういうものだ。」はなんの説得力もない

    売却【購入】のプロセスを楽しんでもらうと言う感覚を誰よりも意識して、楽しむ

    本当にお客様にとって大切なことを本音で話していくこと。仲介しなくても仕事を賞賛してもらうのがこの仕事

    大切な要素
    1倫理観
    2専門性
    3個性

    バブル当時、日本の土地総額は2000兆円、今は1000兆円、いずれも日経平均3万円台

    本当の価値を感じてくれる人へ届ける

    新築より中古
    →インスペクションにより、歴史と安全性が証明される

    分析は、泥臭く。どれだけ真剣に物件を売るために向き合っているのか

    不動産の基本は歩くこと、どれだけ想像を巡らせて、お客様思考で考えて対策を打てるか。

    長生きで健康体の不動産が増えれば日本の不動産はもっと面白くなる

    ジョーンズラングラサールの検査結果、日本の不動産の透明度は12/94カ国、

    改めて、AIが発達しても、AIに負けない、ダントツで選ばれるような存在でありたいしそのための努力をしなければ、していきたいと思った。

    離れても志は一緒だと感じさせてくれる、そんな本だった。

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