- Amazon.co.jp ・マンガ (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344950559
感想・レビュー・書評
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『駅馬車』のテーマソング、小学5年か6年の音楽の教科書に載っていました。
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希望載せて 馬車は行く
はるかな ふるさとを
夢見て 走れば
苦労など 何でもない
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なかなかメルヘンチックな歌ですが、映画の方はむしろ先行き不安な色々な事情を抱えた人々が乗り合わせていました。
実はこの映画は中学生の頃、NHKで放映されたのを見たことあります。
その時はあまり面白さが分からず印象も残らなかったのですが、今回は面白く見られました。
ようやくこの映画の面白さが分かるように、少しは成長したということでしょうか。
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これがジョン・ウェインか、貴族風で紳士的で二枚目だな、しかし顔が細長いな、と思っていたら、ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)さんでした。失礼。私の映画知識は所詮こんなもんです。
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しかしよく分からなかったのは、
ブーン医師(トーマス・ミッチェル)とダラス(クレア・トレヴァー)がなぜ町を追い出されることになったのか、ということ。
ブーン先生が家賃を払えずに追い出されるのは分かるのですが、婦人連盟は家賃不払いの人を追い出す仕事までしているのでしょうか?
ダラスについては、娼婦だと示唆されているのですが、明確には記されていません。
こういう職業ははっきりとは記さないのだ、察しろ、空気読め、ということなのでしょうか。
しかしなぜか初対面のはずのルーシー(マロリー大尉夫人)(ルイーズ・プラット)が最初から軽蔑しているのが不思議です。一目で娼婦だと分かる目印でもあるのでしょうか?
しかし似た者同士であるはずの賭博師のハットフィールドまでダラスを差別しているのはひどい気がします。
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「ジョン・フォード監督はこの映画の発想源はギ・ド・モーパッサンの短編小説『脂肪の塊』だと語っており」
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とウィキペディアに書かれているので、ダラスが娼婦だと考えるのが自然なのでしょうが。
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乗客の意見を聞く際、レディーファーストだといって女性の意見を先に聞くのは洋画ならでのマナーですな。しかし御者・バックに対する扱いはひどい。レディーファーストが尊重されている一方で、職業差別なんじゃないですか?
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ルーシー(マロリー大尉夫人)(ルイーズ・プラット)が最初から最後まで高慢な感じで、あまり親しみを感じませんでした。表情が不自然に固く、笑顔のシーンがありません。唯一、引き返す騎兵隊の隊長を見送るシーンが笑顔に近い。
そう考えると、笑顔でいることが他人に親しみを与える効果は大きいのだと思い知らされます。
私も普段から表情が硬くて笑顔がほとんどないので気を付けないと。
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そのルーシーの護衛役を買って出たハットフィールド(ジョン・キャラダイン)さんですが、インディアンとの対決シーンでの笑顔が印象的でした。そんなに楽しいんか、と突っ込みたくなりました。
陽のリンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)に対して陰のキャラで、リンゴのライバルとなって何かしでかすのかと期待してましたが、あまり見せ場がなく、唯一の犠牲者となってしまいました。
何だか駅馬車の乗員の中で、一番ストーリーに関係のない、いてもいなくても変わりがないキャラといった感もあります。
映画字幕ではなかったのですが、コミカライズ版では、ルーシーの父親の部下だった、ということになっています。
名家出身の軍人ながら賭博師に転落した男が昔の上官の娘の護衛に乗り合わせた、というのなら物語に登場した必然性もあるというものです。
負けを悟ってルーシーを安楽死させようとする寸前、弾が当たって死亡というのは彼らしい最後であり、救いではないでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20140203/p1詳細をみるコメント0件をすべて表示