マンガの教養: 読んでおきたい常識・必修の名作100 (幻冬舎新書 ち 1-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344981959

作品紹介・あらすじ

マンガなど読んでいてはバカになる-そう嘆く世の風潮を激しく批判し、マンガと劇画を擁護した三島由紀夫は、かつてこう説いた。「若者は、劇画や漫画に飽きたのちも、これらを忘れず、突拍子もない教養を開拓してほしい。貸本屋的な鋭い荒々しい教養を」と。そして今、大学中心の教養主義が崩壊し、かつて「反」の象徴だったマンガが教養として語られる時代となった。ギャグから青春、恋愛、歴史、怪奇、SFまで豊饒たるマンガの沃野へ踏み出す第一歩のための、最適な傑作100冊とその読み方ガイド。

感想・レビュー・書評

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  • 新しい作品ばかりではなかった
    100さつ紹介されている
    それぞれのマンガの紹介も独創的に見える
    取り上げた作品の背景やうんちくについては参考になる
    読者の思考により感想の異なるな
    マンガは サブカルから 日本文化になったといえないか

  • さまざまなジャンルの日本マンガ100冊を紹介している本。
    少年マンガをほとんど読まないため、100冊のうちで、私が読んだことがあるのは8作程度しかありませんでした。
    著者の広範な読書量と知識量に驚きます。

    どうしても、読んだことのある作品の項目を熱心に読んでしまいます。
    『西洋骨董洋菓子店』は、採り上げられている伏線について、記憶が曖昧になっているため、もう一度読み返さなくてはと思いました。
    『孤独のグルメ』は、各話のページ数がたった8Pしかないとは思いませんでした。
    内容が濃いため、そんなに短いとは思ったことがなかったのです。
    本書でも「読みごたえは、数十ページを連ねる短編をはるかにしのぐ」と評されていました。
    外国でもベストセラーになったとのことで、日本ならではのB級グルメ話が海外でも人気を呼んだことが意外でした。

    また、『日出処の天子』の評は見事にまとめられていました。
    子供の頃に読んだきり、作品に含まれた意図をきちんと汲みとれず、消化不良のままでいた作品だけに、腑に落ちた感じです。
    そもそも著者が、法隆寺で聖徳太子絵伝として「王子たちの昇天の図」を見て、一度にみんなが死んだことを不思議に思ったことが始まりだとのこと。
    そのことから、太子の子供たちが皆殺しになったことを知り、この作品執筆につながったそうです。
    名作が生まれた不思議な経緯を知りました。

    『風と木の詩』は、男性には理解できない作品だと思っていましたが、寺山修二は毎週この作品が掲載される少女コミックの発売を心待ちにしていたそうです。
    ジュネの『花のノートルダム』を読んだ時以来のときめきだと語っていたということから、ユニセックスな感性を持つ人なんだと思いました。
    また、『ポーの一族』について、吸血鬼の孤独をボーイズラブと結びつけたことが意外で驚きました。
    言われてみると、たしかに納得です。そういうわけだったとは。

    作品の要となる肝心の結末を語りつくしてしまうこともなく、展開は曖昧なままに、上手にまとめているのも、マンガファンには嬉しい点でしょう。
    これほどまでに作品が紹介されていると、どうしても作者によるバイアスがかかりそうですが、個人的な趣味に偏りすぎず、公平な目線で解説してくれている読みやすい新書となっています。

  • 古いのが多くて、最近のももっとあればよかったです。

  • 想像より古い漫画ばかりだった、色々ありますね

  • 微妙に期待外れ、というか、私がこの本に応えられなかったか。

    漫画はあまり詳しくなく、漠然と何か面白いものでもあるのかなと思って手に取ったが、これ読んだからといって漫画読む準備も気合もなく…。

    知ってる漫画をこの著者はなんていってるのかな、を楽しむ程度に終わった。

  • 未読の作品が8割くらいを占める。逆に言うとそれだけ楽しめる余地が残っているってことだし、嬉しい悲鳴ってことにもなろう。ただ、いかんせん温故知新の感性を持ち合わせないものだから、本書の中でも気になる作品は、その殆どが前半に集中。ひとまず数作、その中から読んでみて、って感じかな。

  • まんが

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/667/K

  •  かつてマンガは「反教養」的存在であったが、いまやある種の教養になっているのだから、「最低限の教養として、この程度は読んでおきたい」という基準となる作品群があるはずだ……と、おおむねそのような意図のもと、著者が愛する日本のマンガを、一作家一作品に絞って100作紹介する名作ガイド。

     類書に大塚英志+ササキバラ・ゴウの『教養としての〈まんが・アニメ〉』があるが、これは作品ガイドではなく、突出した作家数人を取り上げ、そこから全体を概説するものだった。よって、2冊を併読するとよいかもしれない。

     中条省平は優れた批評家だし、マンガを見る目もたしかだと思う。本書の100作品のセレクトも、マニアックすぎず、一般的すぎずのバランスを保ったもので、おおむね納得できる。

     ただ、一作品について見開き2ページの短い文章で紹介するという制約があるため、批評としての読みごたえはあまりない。どの文章も食い足りず、言いたいことを言い切っていない隔靴掻痒感があるのだ。
     「やっつけ仕事」とまでは言わないが、中条が批評家としての本気を出して書いた本とはとても思えない。

     ケアレスミスとおぼしき誤記もある。
     たとえば、近藤ようこの『水鏡綺譚』に「みずかがみきたん」とルビがふってある。正しくは「すいきょうきたん」である(だから近藤ようこのツイッターアカウントも「@suikyokitan」)。

     ま、とりあえず「マンガの教養」の基本線を知るためには悪くない本ではある。

  • 漫画に縁遠い者にとって、この飽和にあってはとても助かる。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ
東京大学大学院博士課程満期退学
パリ大学文学博士
学習院大学文学部助教授
主な著書
『最後のロマン主義者−バルベー・ドールヴィイの小説宇宙』(中央公論新社)
『映画作家論−リヴェットからホークスまで』(平凡社)
『小説家になる!』(メタローグ)

「1996年 『ギル・エヴァンス音楽的生涯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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