社交不安障害 (理解と改善のためのプログラム)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344985353

感想・レビュー・書評

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  • 社交不安障害とは、昔でいう対人恐怖症。神経症の一種である。視線が気になる。変に思われてる気がする、人前が怖い、一対一が無理とか「気のせい」とも思えることが本人にとっては大きな問題なのだ。
    暴露療法というのが面白い。
    自ら苦手の火中に飛び込んでなれてしまうというものだ。ドトールコーヒーの鳥羽氏、マハトマ・ガンジー、心理療法家アルバート・エリス、対人恐怖に彼らが悩んでいたことが意外だ。それも人前に出ると一言も発せなくなるほどのレベル。その一方で人と接する場数をなかば無理矢理踏んで解決していたことに驚く。著者の岡田先生自身もそうであったと後書きにあり、さらに驚く。
    自分自身も実は思春期に社交不安障害に悩んでいたことがある。気にしても仕方ないとわかっているのにどうしようもないのだ。
    後年、人からは全くわからなかったといわれた。最近のニュースで社交不安障害のプロボクサーの話があった。試合の間だけは相手に集中できるから不安がなくなるとの事だった。自分にとって部活もそれと同じだった。
    私には岡田先生のいう「安全基地」というものがあった。自分を受け止めてくれた周囲の人々だ。
    不安なままチャレンジして生きてくことができた。
    そのうち社会人になると嫌でも人と接しなくては行けなくなる。必死で仕事してるうち気にならなくなっていた。しかし、休みが続くと対人緊張が出ることを繰り返した。なので休みもボランティアに参加していた。気づくと気にならなくなっていた。
    もうひとつは、蛹から成虫になる過程のように、そんな時期が来て自分と向き合う時期があるということだ。これも体験からよく分かる。
    大学時代にいろんな不安で就職試験の勉強が手につかず、気ままに一人旅などして過ごす他なかった。そのうち勉強できるようになった。思えば本書でいうように自分と対話していたのだろう。
    ここまで踏み込んで著述されているのには恐れ入ってしまった。

    自分の話をぐだぐだと書いてしまった。
    というのも本書はワークシート形式で、自身を振り返りつつ読み進めていく形式なのだ。
    だから、自分の事として数々の事例を読み進めることができる。
    いろんな人生があって、人間の多様性が実感されるのだ。

    今はSNSに時代だ。人と直接接しなくても生きていける時代。ますます社交不安障害に悩む人は増えるに違いない。本書でいう発達障害をもつ人、愛着障害のある人、対人関係でトラウマのある人、一定数必ずいる。誰だって多かれ少なかれあることだと思う。
    だからこそ、有意義な読書ができたと思う。
    貴重な学びだった。折に触れて見返したいと思う。


  • 回避性パーソナリティ障害と似て非なるものとして、社交不安障害について語られている。破局的思考は、妻もよく見せる思考だなぁと感じる。
    ホルモンバランスや諸々の条件が絡み合ってそういう状態を発露させるのだと思うが、ひとつ思うのは、その状態を脱したいという気持ちが自分の中にあるのなら何かしら行動を起こさないと変わらない、ということ。作中でも語られていたが、自分のしんどい状態に目を向けるのではなく、自分がやりたいこと、やるべきことに目を向けて行動する。しんどい状態を無視して何かをすることは肉体的にも精神的にもある程度の苦痛を伴うだろうが、ACTIONを起こさなければ現状は変わらない。そこに対してACTIONを起こさずに、目の前の課題や現実を回避し続けようとする姿勢には、向上心を感じない。これまでの読書経験によってそういうパーソナリティなり思考なりがあることは理解できたが、共感はできない。
    本人も改善したいと思ってはいるようなので、なんとか改善の方向へ向かえばいいと思ってはいるが、、、難しい問題だ。

  • 社交不安障害とは、人の関わる場面において、不安や緊張が強いために、社会生活に支障が出る状態

    これまで重要視されてきたのは、人そのものが怖いというよりも、人から受ける「否定的な評価」が怖く、人を避けるようになるというメカニズムである。

    しかし、こうした神経症的メカニズムによってのみ起こるわけではないと著者は考えている。
    人の評価など気にしてなくても、対人緊張が強く、人前に出るのを避けたがるケースとして
    ①自閉スペクトラム症など、遺伝的・発達的要因が強いケース
    ②養育の問題で起きた愛着障害のケース
    ③トラウマ体験が原因となり、人間に対する恐怖感や強い不信感をもっているケース
    の3つのタイプに分けられる。

    こうしたメカニズムを踏まえ、克服するためのプログラムが本書で提示されている

    ✏過保護な養育は、社会的な体験や訓練の不足の原因となったり、現実対処能力や自信の低下を招いたりしやすいと考えられる。

    ✏破局的思考とは、ごく小さな悪い兆候を、最悪の事態のように受け止めてしまい、「もうダメだ」と絶望的な結論に陥ってしまうことである。

    ✏青年期には、進路決定や現実的な課題を避けることで、自己を模索する時間を確保しようとする状態が見られることがある。
    そのため、外に出られなくなっていることや、人に会うことに強い抵抗を示すことを、症状だけで「社交不安障害」と捉えることではうまくいかない

  • ●社交不安障害とは人と関わる場面に於いて、不安や緊張が強いために、社会生活に支障が出る状態のこと。以前は社会不安障害と言われていた。それ以前は対人恐怖などとも。
    ●その他の障害
    ① asd
    ②うつ
    ③統合失調症
    ④醜形障害
    ⑤パニック障害
    ⑥回避性パーソナリティ障害
    ●自信喪失と苦手意識の固定化→暴露療法(好循環のサイクル)
    ●格好よさや形式よりも、誠意と中身で勝負する

  • 現時点で診断されているわけではないが、社交に不安を感じやすいため拝読。
    かつては当事者であった精神科医により書かれた本書は、社交不安障害を様々な角度から解説することで本質的な理解が得られ、具体的な改善策についても複数述べられており自己理解が深まったと思う。(一部、?な改善策もあったが)
    また、141ページなのでさくっと読めるのも良い。
    他者に良く思われるように完璧にふるまわなければならないという基準にとらわれるほど失敗したらどうしようと不安を強めてしまうとか、他者が自分の不完全さを暴くかもしれない存在として感じられるとか、まさに思ってるなあ。
    本書の核となる主張は「不安になろうがなるまいが、そんなことはどうでもよく、肝心なことは、自分が伝えたいと思ってることを誠心誠意伝えることだと、自分の使命や思いに重きを置く」であり、森田療法でも「不安になっても、それをどうにかしようとするのではなく、自分のやるべきことに注意を集中せよ」と指導されているとのこと。
    視野を広くとる、ゆっくり呼吸や行動する、とともに、不安を感じたらこの言葉を言い聞かせて落ち着きを取り戻せるようにしたい。



  • 自分にとって、ここまで自分を知ることができた本は今までにありません。
    上手くいかないことがあり、悩んでた時に読みました。今まで悩んでいたことが全て繋がっていく感覚があり、号泣してしまっていました。
    社交不安に向き合って克服できるようにがんばります。

  • 自己判断ではあるけれど、自分は「社会不安障害」である可能性が高く、病院に行くことも躊躇しています。
    そんな私が、改善方法を求めて手に取ったのがこの本でした。
    まだ、実践してはいないが、プログラムに取り組むことさえドキドキしてしまいました。
    それでも読んでるうちに実践したら、少しは変われそうだと感じたので、エクスポージャーを作って苦手なことを少しずつ克服したいと思いました。

  • (ブクログで、いいコメントを見かけたので、読んでみたいなと思った一冊。)

  • だれかの「生きづらさ」に目を向ける40冊

    所蔵状況の確認はこちらから↓
    https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001010157

  • 勇気づけられました(^▽^/

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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