- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344987135
作品紹介・あらすじ
子どもへの性加害は、心身に深い傷を残す卑劣な行為だ。なかでも問題なのが、顔見知りやSNS上にいる〝普通の大人″が子どもと信頼関係を築き、支配的な立場を利用して性的な接触をする性的グルーミング(性的懐柔)である。「かわいいね」「君は特別だ」などと言葉巧みに近づく性的グルーミングでは、子ども本人が性暴力だと思わず、周囲も気づきにくいため、被害はより深刻になる。加害者は何を考え、どんな手口で迫るのか。子どもの異変やSOSをいかに察知するか。性犯罪者治療の専門家が、子どもを守るために大人や社会がなすべきことを提言する。
感想・レビュー・書評
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■子供と信頼関係を築き関係性を巧みに利用して性的な接触をする行為をグルーミング(性的懐柔)という。
・2023年7月に改正刑法が施行され「面会要求等罪」(グルーミング罪)が新設された。
・グルーミングの3つのパターン
①オンライン上でのグルーミング
②面識のある間柄でのグルーミング
③面識のない間柄でのグルーミング
■治療の三本柱
①認知行動療法
②薬物療法
③性加害行為に責任を取る
■再犯を踏みとどまらせる手がかりは3つある。
①社会の中に自分の居場所があること。「自分はここにいていいんだ、ありのままに生きていていいんだ」と思える場所があること。
②裏切ってはいけない大切な人がいること。人との繋がりがないと人は追い込まれたとき自暴自棄になってしまうが、大切な人がいることで歯止めとなる。
③希望があること。
この3つは、小児性犯罪者に限ったことではなく、人が同じ過ちを繰り返さないために大切なこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グルーミングへの道すじや、加害者の能力の高さに驚いた。性的志向と性的嗜好の使い分けはあまり納得できなかった。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426642 -
東2法経図・6F開架:B1/11/711/K
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この問題に関する様々な背景、実態について学ぶことができた。途中読むのが辛くなる場面もあったが、この問題に真正面から取り組む作者の強い意思も感じられ、社会問題化しているこの課題に対して、一緒に考えることができた。
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ジャニーズがきっかけで噴出した性加害問題。世界では性加害問題に敏感だが、日本は遅れてると言わざるを得ない。著者によると、ジャニーズ問題の報道はグルーミングや小児性愛障害の本質に触れていない。性被害者は女性だけという先入観が問題の深刻さを日本人が理解できない原因だと思われる。
家族関係の悪い子どもは特に狙われやすく、小児性愛者は鋭い嗅覚とカウンセラー顔負けの話術で子どもに付け入り、犯行に及ぶのだそうだ。また認知の歪みにより子どもは何も抵抗しないから喜んでいるといった身勝手な思い込みが犯行をエスカレートさせていて、とても恐ろしくなる。
小児性犯罪は決して許されるべきではない。厳罰化が望まれる。ただ、厳罰化だけでなく。加害者に対する治療プログラムの拡充も重要だと感じた。小さいお子さんがいる人は読んでおくべき本であり、子どもを守るのは大人の責任であると改めて実感した。 -
【請求記号:368 ア】
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読了。しんどかった。この関連の本はよく読んでいる。加害者の心理がわからないし、自分がなることはないのかという不安があるからだ、悲しかったのは、被害者が加害者になることがあるとあった。心がつぶれて鬼にされると考えると息がつまった。