坂の上の図書館

著者 :
  • さ・え・ら書房
3.72
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本棚登録 : 241
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378015514

作品紹介・あらすじ

小学五年生の春菜が暮らすことになったのは、自立支援センター「あけぼの住宅」。ここでは、住む家のない母親と子どもが少しのあいだ暮らせる。あけぼの住宅のとなりには市民図書館があり、春菜は、生まれてはじめて図書館に入った。友人や司書、本との出会いが、春菜を少しずつ変えていく…

感想・レビュー・書評

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  • 自分の気持ちを表現するのが苦手な女の子が図書館と友達に出会って、少しずつ成長する姿が印象的でした。母子家庭で経済的にも厳しい親子は、自立支援センターにお世話になります。そこに行く途中に市民センターの中に図書館があり、春奈はずっと気になるんです。恥ずかしがりやで自分の気持ちを表現するのが一番苦手な彼女は、小学5年生ですが…学力がそこまで高くありませんでした。図書館へ訪れて、初めに触れたのが読み聞かせだったので、そこから一気に本に興味を持ちます。
    友達のマコトちゃんが凄く私の中で印象に残る子でした。教師を目指している明るくて、いつでも前向きな子。女子特有なのか、いきなりマコトがクラスの女子に無視され始めます。春奈も心配で声かけようとしますが、を巻き込みたくなくて遠ざけるマコトなんですけど…やっぱり心細かったと思います。心はつらかったけども春奈がいてくれたら、大丈夫だったと伝える場面が涙が出そうになりました。最後には転校しちゃうんだけど、一生の友達でいてほしいなぁ。他にも色々な素敵な場面があるので、学生さんにも読んでみてほしいです!

  • 生活に困窮した母子家庭が一時的に住める住宅に越してきた春菜。いつもピリピリしてる母にも他の人にも、うまく思いを話せない。教えてもらった図書館で、本を読む楽しみを覚えたことと、クラスの佐久間さんと話すうちに、少しずつ春菜が変わっていく様子がいい。

  • 先に「川のむこうの図書館」を続編と知らずに読んだ(が、一作だけでも充分わかるしとても良い本だった)。
    少し間を空けてこちらを。
    不安定な環境にある子どもや親の描き方がとても上手い。
    長々と説明するのではなく、一つの情景やエピソードで、その背景にあるものを感じさせる。
    春菜の母のそうめんの話が、それだけで彼女と春菜のこれまでの人生が想像できて苦しかった…。
    図書館と読書、本を通じた同級生や大人との関わりが春菜の支えになっていくのを見ていて、胸がいっぱいになった。
    春菜が読む本もどれも納得の、力のある本ばかり(古典的な作品が少し過多かなというのはあるのだけど、やはり残る作品にはそれだけのものがあるもんね…)。
    ラストもとても良かった。

  •  坂の上にある自立支援住宅・あけぼの団地に越して来た、母親と2人暮らしの春菜。団地の隣の図書館で初めて自分で本を借り、読書の楽しさに目覚める。同じクラスの佐久間さんと親しくなり、読書の影響で授業の理解も進み始め、春菜の生活は徐々に変わりだす。


     図書館本。
     最初の内はリアリティの感じられるしっかりした話と思っていたのだけど、中盤あたりから何でもとんとん拍子に進み、都合が良すぎると感じた。
     
     読書をするようになって勉強もみんなに追い付き、自閉傾向でもあるのかと思うほど喋らないコミュ障だったのが、1年後にはさほど親しくない同級生と普通に受け答えできるようになったり。
     読書好きになった娘に刺激されて母親も資格取得を目指し、転職後1年も経たないうちに賃金アップして自立支援住宅を出られるようになった、とか……。
     良い方向に進むのはいいんだけど、ちょっとお手軽過ぎる気がする。
     春菜や母親の過去もあまり描かれず、なぜ春菜の学習が遅れているのか、親子関係がいまいち良くないようなのはなぜかなど、理由がわからず気になる点が多い。
     ページ数の都合もあるのだろうけど、母娘それぞれのことをもう少し掘り下げてほしかった。

     春菜が本を読むようになって、テストの問題文の意味もわかるようになってきた、とある。この間、1学期。ちょっと早すぎないか?
    「ちいさいおうち」からグレードアップして「エルマーのぼうけん」→「やかまし村の子どもたち」、そして2学期中には「あしながおじさん」ってのも、読書慣れしていない子にしては早すぎる気がする。
     低学年あたりでつまずいてしまった子が読書だけで変わるってのは、ちょっと読書に夢見すぎじゃないか?
     
     ところで、図書館ものの常で、実在の本が何冊か作中に登場する。のはいいんだけど、結末まで書いてしまうのは気遣いが無さすぎる。
     推理小説ほどネタバレが致命的でないとはいえ、楽しみを奪っていることには違いはない。


     佐久間さ~ん、先生の真ん前が良い席なわけないじゃん! 黒板消しのチョークの粉が降ってくるし、黒板は見えないし、最悪だろ……。

  • 小学5年生の春菜は、母と自立支援センターで暮らすことになる。隣にある市民図書館に行った春菜は、生まれて初めて図書館で本を借り、本の楽しさを知る。

    なぜ、主人公が住むのが、自立支援センターという設定なのかと思ったが、この設定の方がより本との出会いが必要となるのだと思った。

    図書館に関する説明が、少しくどいというか、説明口調だなぁと思ったら、作者は図書館司書なのですね。納得。

    児童書だから仕方ないと思うけれども、大人がこうであったらいいな、という登場人物やストーリーになっているように感じました。私も図書館と本が好きなので、春菜のような少女が本を知り、本の魅力に取りつかれ、このように元気な心を持つようになってほしいと思いますが、この話はうまくいきすぎ感が強いように思いました。

  • タイトルに図書館とあるだけで読みたくなってしまった。

    あけぼの住宅に住むようになり、本と出会い、佐久間さんと出会い、春菜の世界がどんどん広がっていくのが嬉しかった。

    読書リーダーになったり、図書委員として、本を勧めたり、佐久間さんの抜けた穴に清水君を推薦したりできるとは、冒頭の春菜からは想像もつかない。

    周りからの働きかけだけでは無理だったと思う。
    元々の春菜の資質、優しさや、真っ直ぐさがあってこそだったのでは。
    子供にかけられる時間もお金もない厳しい生活の中、お母さんは頑張って春菜を育ててきたんだろうな。

  • 無心になって癖なく読める一冊。
    定期的に読みたくなるのもわかる。

  • 私も小学生からもっと本読んでいれば良かった、、
    自立支援センターで暮らすことになった春菜
    たまたま足を運んだ市民図書館でさまざまな本に出会うことになる
    仕事の中でレファレンスが一番好きと言った司書さんが印象的

    ちいさいおうち
    エルマーのぼうけん
    やかまし村の子どもたち
    白い馬をさがせ
    長くつ下のピッピ
    あしながおじさん

  • 自立支援センターで母親と暮らすことになった春菜。
    近くに図書館があることを知り通いだす。
    図書館通いをきっかけにクラスにも馴染んでいく。
    母親のこと、友達のことなど色々ありながら成長していく。
    将来は図書館司書になりたい、いいなあ。
    色んな名作も出てきて子ども達に読んでほしい作品だ。

  • 小学校中学年~

    「小学5年生の春奈が母親と二人で新しく住むのは、町の自立支援センター「あけぼの住宅」。その建物に隣接して市立図書館が建っていた。生まれてはじめて、図書館に足を踏み入れた春奈は、そこから次々と本を借りるようになっていき、春奈の世界は少しずつ広がっていく。ところがある日、同じ階に住む竜司が無断で図書館の雑誌を持ち出したことを知ってしまい・・・。はじめて貸出をした絵本「ちいさなおうち」からはじまって、だんだんとよめるようになっていく春奈の心の成長が希望の光となり、母親を元気づけていく。竜司が主人公の続編「川むこうの図書館」もおすすめです。」
    (第八小図書館だよりの紹介より)

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著者プロフィール

池田ゆみる
神奈川県生まれ。デビュー作『坂の上の図書館』(さ・え・ら書房)が、埼玉県推薦図書、ならびに茨城県優良図書などに選ばれる。他の作品に『川のむこうの図書館』(さ・え・ら書房)など。JBBY会員。日本児童文学者協会会員。児童文学同人誌「ももたろう」同人。

「2020年 『きみが、この本、読んだなら ざわめく教室 編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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