教養としてよむ世界の教典

著者 :
  • 三省堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784385360850

作品紹介・あらすじ

仏典、聖書、コーランなど、世界の主な宗教の「教典」を概観する一冊。教典をニュートラルな視点で眺め、現代人に必須な「教養」として読みとく。ヴェーダや論語、古事記、ギリシャ哲学、北欧神話にも言及。

感想・レビュー・書評

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  • 最後の著者の言葉(あとがきでなく本文)に尽きる。宗教においても多様性があることがいかに大事か。

    もちろん、それぞれの宗教を真剣に信じ、構築する人たちがいたことが前提だが。

    仏教、一神教の記述が手厚いが、ヴェーダ、儒教、神道、琉球、アイヌ、ソクラテス、エッダ(北欧神話)なども取り上げており、とても興味深い。

    宗教教典という広大な分野を一書になした著者に脱帽だ。

    ・金剛般若経「応無所住而生其心」を「大麦小麦二升五合」と覚えて悟った。空
    ・縁起を相依相関関係として捉えたのは、龍樹。それまでは縁起は因果(一方向)だった。
    ・古代人は、一般に歴史上の実在と神話的フィクションを区別しない。
    ・他にも移民の国はたくさんあるのに、アメリカだけは自意識が強く建国物語をもっている。
    ・イエスと同じく貴人が不思議な生まれ方をするという伝説は世界中にどこにでもある。
    ・イエスが一番嫌ったのは宗教的偽善者である。
    ・規則崇拝は副産物として偽善者を生むのが常である。
    ・宗教的な人格では、自分の自我と自分ではない超越的な何ものかが、自分の中で二つの層をなすことはよくある。
    ・イスラムは、この時代としては例外的に女性に高い地位を与えた。算術的に平等ではないが。
    ・近代は両義的。中世的な身分秩序を破壊する一報で、植民地主義や競争原理を通じて差別や格差はどんどん助長してきた。

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著者プロフィール

1958年生まれ。北海道大学工学部建築工学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科修了(宗教学専攻)。
著書に『信じない人のための〈宗教〉講義』(みすず書房)『信じない人のための〈法華経〉講座』(文藝春秋)『人はなぜ「神」を拝むのか?』(角川書店)『初めて学ぶ宗教――自分で考えたい人のために』(共著、有斐閣)『超訳 法華経』(中央公論新社)『宗教のレトリック』(トランスビュー)ほか。
訳書に『宗教の系譜――キリスト教とイスラムにおける権力の根拠と訓練』(T・アサド、岩波書店)『世俗の形成』(T・アサド、みすず書房)『心の習慣――アメリカ個人主義のゆくえ』(R・N・ベラー他、共訳、みすず書房)『ファンダメンタリズム』(M・リズン、岩波書店)
『科学と宗教』(T・ディクソン、丸善出版)ほか。

「2014年 『宗教で読み解く ファンタジーの秘密 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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