ベトナム戦争全史: 歴史的戦争の解剖

  • 社会思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (840ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784390501972

作品紹介・あらすじ

ベトナム戦争とは何か?世界最強国の諸問題やグローバリゼーションの複雑きわまりない諸相、人々が30年の長期にわたって日常的に打ち砕かれていく悲劇、幻想や欺瞞、無名性の犠牲に誇りをもった無数の男女がいたということまで、要するに、20世紀における人間の対応と社会的変数の多様さを含むもの。おそらくわれわれの過去と現在に、さらにわれわれの未来に鏡をあてることになるもの。

感想・レビュー・書評

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  • ベトナム共和国政府の特徴として
    1.米国の支援を利用して軍部・官僚のエリートから支持を取り付け権力を保持する、
    2.社会的基盤、統治正当性が欠けており、改善する気もない
    3.米国から軍事経済援助を調達出来ないのであれば側近が裏切り始める
    米国は政治的、経済的、イデオロギー的に有効な政治体系を作り出せず、米軍撤退はベトナム共和国の軍事的・経済的弱体化に繋がった。

    ベトナム共和国軍は火力と機動性に依存し、それらの補給物資を大量に蓄積する基地の防衛に多くの兵力が割かれていた。米国からの支援を良い事に大量の弾薬を浪費しており、1973年には326000トンを使用した。(1973に米軍が使用した量の2倍)
     また在庫管理を行っておらずかなりの補給物資を在庫で抱えていた。中抜きも横行し解放戦線側に物資の横流し、新品の部品がくず鉄市場に出回ることもあった。

    ベトナム共和国軍の組織として軍内部の政治化により戦闘能力が落ち、指揮官は忠実な部下を任命していた。その結果、部隊間は相互不信、連携した作戦が行えなくなっていた。更に軍人の給与が低く抑えられており、食い扶持を稼ぐために賄賂の授受や汚職が公然と行われ軍隊内はゆすり、たかりが常態化していた。

    ベトナム共和国軍の装備は米軍撤退後に53億ドルにのぼる新たな装備を受け取り、10億ドル以上の価値を持つ施設が移管されている。
    空軍力は世界第四位の空軍力、航空機は1400機以上
    陸軍は世界で最も大規模なヘリ部隊を保有する軍隊となっていた。しかし人材育成が追いついておらず航空兵站要員やメカニックの補修要員も不足、高性能な装備を維持できる人がいなかった。
    士気は低く、南ベトナム軍が撤退を始めると家族も一緒に逃げ出しパニックになり、暴動・略奪が頻発する最中装備は放棄された。それら大量の備蓄燃料、車両、弾薬、小火器は革命軍に使用された、例としてカムラン湾の基地はサイゴン攻撃時に重要な補給所になった。

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