17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義

著者 :
  • 春秋社
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本棚登録 : 1923
感想 : 198
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393332658

作品紹介・あらすじ

ワクワクする世の中の秘密、教えます。世界の文化・宗教・思想をクロニクルにまとめ、日本とのつながりを明らかにする。流れるようにドンドン読める人間と文化の教科書!

感想・レビュー・書評

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  • 「あはれ」から「あっぱれ」、貴族から武家の世に

  • 3/13

  • 17歳向けの書籍であるが、自分の価値観を見直すという意味では、今の大人にこそ読んでもらいたい内容だ。
    どういう経緯で今という世界が出来上がっているのかを知ることは本当に重要だと思う。
    世界の分断は宗教の歴史でもある。
    ユダヤ教・キリスト教・イスラム教。
    これらが入り混じって今の世界をを形成しているのは間違いない。
    ヨーロッパの歴史も本当に面白い。
    一方で、アジア世界はどうか。
    仏教はどういう経緯で中国経由で日本に伝えられてきたのか。
    インド仏教と日本の仏教の考え方の違いと、日本独自に発展していく中での宗派ごとの特徴も。
    そもそも「日本を知る」ということは、日本人として本当に重要だと思う。
    日本という国がどういう経緯で形作られて、今に至っているのか。
    というか、我々は自分自身の背景を知らな過ぎる。
    私という存在は、生まれた時から私自身かもしれないが、実はその背後には今の社会を作ってきた歴史があるということなのだ。
    社会の構造に留まらず、文化だったり、価値観だったりも含めてのことだ。
    まず自分の背景にある価値観を知る。
    そして他者の価値観も理解する。
    これは特に自分以外の外国人に対しては、必要なことだと思う。
    だからこそ、若い内にドンドンと旅をしなければいけない。
    広く世界を見なければいけないのだ。
    もちろん大人になっても、世界を学習する必要がある。
    特に国際情勢は益々複雑化している。
    それはなぜ起こっているのか。どういう背景で起きているのか。
    歴史を学び続け、他者を理解しようとする姿勢が、世界を少しづつでも平和にしていくだろう。
    本書冒頭で、著者が価値観の違いを認識するエピソードが出てくる。
    この話は本当に示唆に富む。
    盲目の著者の叔父が、デパートの前まで来た時に「風鈴の音が聞こえる」と言ったのだという。
    当然周囲に風鈴なんてない。しかし、著者と一緒にデパートの5階に上がって、エレベータの扉が開いたら、目の前が風鈴フェアだった。
    それで著者はものすごくビックリしたのだというエピソードだ。
    こんな体験したら「目の見えない人たちには、一体何が見えているのだろうか?」が気になってしょうがないはずだ。
    この叔父は、生まれた時から盲目の方で、人生の途中から目が見えなくなった訳ではないらしい。
    だからこそ、我々が見ている世界とは全く異なる世界線がこの叔父の中には形作られている。
    自分だけが見えている世界が全てではないと知ることはものすごく重要だ。
    人それぞれに見える世界は違う。
    その範囲も解像度も、そして色すらも異なるのだ。
    自分だけの小さな価値観が全てだと留まってはいけない。
    人々は「物事を見る力」を養わなければいけない。
    一つの価値観が全てだと思うことこそ、危険なことはない。
    常に新しい考え方を柔軟に取り入れて、価値観をアップデートしていく。
    特にこれから変化の激しい時代において、この考え方はすごく重要だと思う。
    大人こそ意識する必要があると感じるのだ。
    (2024/1/21日)

  • キヤノンは観音から。

  • 海外留学に行く前に読んでほしいです!もちろん、大人にも。異文化を知ることは、コミュニケーションにとってとても重要なことで、英語を話せることよりも、重要だって思います。異文化に触れることが、旅したい理由になってるんじゃないかな。

  • 著者(せいごー先生)がとても面白いです。話の内容がとても練られていて、理解しやすく、面白くてすいすい読んでしまいました。割と日本に立脚しながら、世界との違いがどこから生まれるのか、それは主に宗教ではありますが、世界・社会・歴史をしっかり学び、観て、考えることの重要性を学生に語り掛ける文体で、よくぞここまでわかりやすく面白く講義できるものだと、先生の力量に感服しました。

  • 世界と日本の歴史・宗教・民俗学などをごちゃ混ぜにして大学の人間文化学部で講義した内容をまとめなおしたもの。キーワードとしては著者のメインフレームである「編集」であり、その視点から特に宗教を説明する視点が特徴と言えるであろう。
    そのためか、講義というよりはなんとなく「編集教」の教祖様のお話という趣がしばしば現れるが、それを気にしなければそういう視点からのダイジェストとして楽しめる。
    筆者は博学な方とお見受けするしご自身もそういう自負があるのだとは思うが、聴講生に合わせたのか内容はかなり広く薄い。まあ17歳向けならこれくらいでも妥当かとは思うが、一部(特に自然科学系)の知識があやふやなように思われる点があり、17歳に勧めるにしても、眉に唾をつけながら楽しもうという姿勢がいいよ、と一言添えたほうがいいかなと思わせられた。

  • 2023.07.19 品川読書会オフで紹介を受ける。

  • 世界史と日本史を学校の授業とは違う、セイゴオ先生のフィルターを通して見ていく感じ。面白いけど、ついていくのが大変。章ごと読むにしていたけど、それでも読むのに時間がかかった。
    一度ではわかりきれないから、読み直しすることになるだろう。

    どの物語もつながり合いながら進むのですごく多岐にわたる。
    学校の勉強をサボっていたわけではないが、知らないことがいっぱいで、また学び直したいなとら思った。

  • 世界史を勉強していないとチンプンカンプンな話がガンガン出てくる。日本にたどり着くまでが長い…
    世界が随分近く感じられるようになった今、日本人として知っておきたいこと、感じるべきことがざっくり書かれているのは魅力的だ。

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著者プロフィール

一九四四年、京都府生まれ。編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。一九七〇年代、工作舎を設立し『遊』を創刊。一九八〇年代、人間の思想や創造性に関わる総合的な方法論として″編集工学〟を提唱し、現在まで、日本・経済・物語文化、自然・生命科学、宇宙物理、デザイン、意匠図像、文字世界等の研究を深め、その成果をプロジェクトの監修や総合演出、企画構成、メディアプロデュース等で展開。二〇〇〇年、ブックアーカイブ「千夜千冊」の執筆をスタート、古今東西の知を紹介する。同時に、編集工学をカリキュラム化した「イシス編集学校」を創設。二〇〇九~一二年、丸善店内にショップ・イン・ショップ「松丸本舗」をプロデュース、読者体験の可能性を広げる″ブックウエア構想〟を実践する。近著に『松丸本舗主義』『連塾方法日本1~3』『意身伝心』。

「2016年 『アートエリアB1 5周年記念記録集 上方遊歩46景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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