- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393333020
感想・レビュー・書評
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[ 内容 ]
<1>
衝撃の日本論!!
つまらないニッポンに喝を入れる一途でパンクなセイゴオ流・高速シリーズ、第1弾。
<2>
山水ラディカル、侘び寂びアバンギャルド。
「見えないもの」を「魅せる」、方法日本、究極の「負の想像力」。
日本美術の見方が一変する。衝撃の日本論第2弾。
<3>
日本は何を失い、何を得たのか。
「これまで」の祖国、「これからの」母国。
津波と原発の波涛を越えていますべての人に伝えたい、渾身のメッセージ。
3・11を予見させる「負の想像力―地震と枯山水」収録。
[ 目次 ]
<1>
第1講 日本という方法 笑ってもっとベイビー無邪気にオン・マイ・マインド―外来文化はどのようにフィルタリングされてきたか(比良八荒を「次第」にこめて;正負を合わせるてりむくり;絶対矛盾の自己同一 ほか)
第2講 神話の結び目 住吉四所の御前には顔よき女體ぞおはします―日本にひそむ物語OSと東アジア世界との関係(グローバル・スタンダードをめざさない;物語には「型」がある;モノに赴く物語 ほか)
第3講 仏教にひそむ謎 重々帝網・融通無礙・山川草木・悉皆成仏―仏教的世界観がもたらした「迅速な無常」(東洋をコンピュータ化する;宮沢賢治と法華経;近代史のなかの法華経 ほか)
<2>
第4講 「文」は記憶する 目の言葉・耳の文字・舞の時空・音の記譜―インタースコアとインタラクティブシステムの歴史(並列する文化;インタースコアとしての日本;森林文化のメソッド ほか)
第5講 日本美術の秘密 白紙も模様のうちなれば心にてふさぐべし―枕草子・枯山水・宣長・幕末三舟・イサムノグチ・三宅一生(梅窓院から日本を考える;「連塾」とは編集の場である;「好み」とは何か―椅子は奏でる ほか)
第6講 「負」をめぐる文化 正号負号は極と極。いづれ劣らぬ肯定だ―引き算と寂びと侘び(夢窓・心敬から天心・九鬼へ)(「場」と「関係の発見」人は自然か、人工か;日本の健康状態;日本になったもの ほか)
<3>
第7講 面影と喪失 誰そ我にピストルにても撃てよかし伊藤のごとく死にて見せなむ―なぜ日本人は喪失をもって面影としてきたか(日本は何を失ったか―喪失の昭和史;思い出のなかのリアル;日本の「分母」はどこにある;ナショナリティとジャパン・マザー;グローバルvsローカルの境い目で ほか)
第8講 編集的日本像 雪が舞う鳥が舞うひとつはぐれて夢が舞う(または一宿一飯の義理)―メディアステートとしての去来日本(“北の螢”はどこにいる―明滅する日本;「テ・ニ・ヲ・ハ」の方法論;“ぼくら”はコメの民族だ;エディティング・ジャパン―外来コードと内生モード;「型」のゼネレーション―方法日本「五つの窓」 ほか)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
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知の巨人、松岡正剛著の連塾シリーズ第三巻(最終巻)。このシリーズ、内容は難解だと思うが、講演会を書き下しているので、読みやすいし、理解を多いに助けている。二巻目は未読だが、この最終巻が内容的にも関心が高いテーマであったので迷わず購読。
連塾のテーマは「日本という方法」。今回は江戸、幕末、維新、太平洋戦争と近現代をテーマとしており、自らの問題意識に重ね合わせて読むことができた。特に西郷隆盛が維新日本の「すべての負」を背負った、とする考察は唸らせる。
また、本著の後半では、最終巻に相応しく松岡氏の生い立ちから現在に至るまでのキャリアの変遷が取り上げられており、とても興味深い。
(引用)
・この時期、日本はなんら日本の民族についての議論を突き止めなかったということですよね。曖昧になったままだった。「一国民族」でも「混合民族」でもなくて「多民族」になったのは、実はアイデンティティを突き詰めるのはかなり苦手だということです。だからこそ、のちのちの「5族協和」という漠たるところに結びついてしまったんです。
・・・結局、彼(小熊氏)の結論は何かというと「日本を単一民族だとしたのは戦後である」ということです。ですから明治・大正・昭和の半分を通じて、日本はまだ「何が日本人か」というのが見えてなかったのに、戦後の民主主義社会になってから「日本単一民族説」というものを国民の意思として作っていったんではないか、というのが小熊さんの仮設なんですね。
・このことは以前からしばしば「加工がうまい日本」というふうに言われてきましたが、たんに製造面の加工がうまいだけじゃありません。社会文化を含めて編集力があった。これは、日本に資源が少ないこと、季節の変化が目に見やすいこと、長らく海外からの侵略を受けてこなかったこと、ユニークな日本語を使ってきたことなどが大いに関与しているかもしれません。
・「日本の本来と将来をつなぐ日本流の視点」
①日本語という文化・・・真名と仮名・ルビ・述語性
②多神多仏の信仰風土・・・神話・神仏習合・廃仏毀釈
③侵略と鎖国・・・秀吉の計画・国産実学
④開国・開化・併合・進出・・・シーレーンと満州
⑤敗戦と戦後憲法・・・戦争責任と民主主義
⑥自衛隊と日米安保資本主義・・・アメリカの傘
⑦象徴天皇制・・・天皇の行事
⑧日本列島の多様性・・・当番と席衆
⑨負の想像力・・・地震と枯山水
・「人間というものは、自分のことを自分の記憶だけで埋めようとはしていない。自分にとって憧れたいもので自分を埋めようとしている。だからこそ、自分を超えた何かを求めるのであり、だからこそ自分という人間は世界でいちばんフラジャイルなのである」(ルイス・トマス) -
勝手に師匠と思っている松岡正剛氏の連塾シリーズ第3巻(最終巻)を読了。このシリーズを読み始めたきっかけは「日本とは何か」「この精神性はどこから来たのか」など、日本らしさについて知りたくなったから。3冊読んで、その一端は知ったような気になったが、何せ自分の無知さ加減を改めて認識させられる事ばかり。神代の国の頃から近現代史まで、知らずにいた事が多すぎる。こりゃ1巻から再読ですわ。