- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393622032
作品紹介・あらすじ
ハイエクの経済・社会思想の真骨頂ともいうべき『自由の条件』、普及版として登場。法の下の自由を希求しつつ、市場経済の行方を現在に問う。自由社会での知性の役割、進歩の意味、個人の責任と精神的な評価等、現代リベラリズムを語るうえで欠かせぬ諸問題を詳細かつアクチュアルに論じる。Ⅰでは、西洋近代における自由の思想の変遷を俯瞰し、自由と文明の進歩の相関性を考究する。
感想・レビュー・書評
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どうも評論集みたいにみえてしまって、いまいち要領を得られない。
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ハイエクの主張は、恥ずかしながら、間接的かつ断片的にしか知らなかった。徹底した自由主義者というくらいの認識でしかなかった。本書を読んで、それが不充分、不正確な理解だということがよくわかった。
他者による強制からの自由を保障することは、人間が不知ゆえに、将来生ずる様々な困難に対応するための新しい思想・技術を生み出すために必要である。パンデミックの今、もし、m-RNAの研究をする自由が制限されていたら、ワクチンの早期開発はできなかった。本書を読んで、ハイエクの主張は、今も、そしてこれからも通用するものとわかった。
また、ハイエクは、「社会的」観点からの自由の制限を拒否するが、個人の自由保障は決して、個人のためだけではなく、人類全体の生存・幸福・文明の発達に必要と考えていることもよくわかった。
出自などによる格差の肯定は、直感的には納得できないが、ハイエクの言いたいことも分かった。ただ、今の相対的貧困層の困窮状態を思うと、ハイエクの主張をすべて鵜呑みにできない。
いずれにしても、ハイエクの主張は、現在でも様々考えさせる含蓄のあるものと初めて理解できた。