「まずい!!」学: 組織はこうしてウソをつく (祥伝社新書 79)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396110796

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  • 東2法経図・6F開架:336A/H56m//K

  • 沖縄集団自決事件の真相が衝撃的だった。

  • リスク管理といっても、なにもかもが思い通りにいくわけはない。周知ひとつとっても、社内ニュースにあげたから理解したはずだなんて、幻想のなかの幻想。でも、わかっていながら、それで済ませているとどうなるか。

    いまから7年前の本なので、取り上げられている事例もちょっと古いですが、いずれもリスク管理を改善していくうえで、見過ごしがちな点が満載。これはつまり、監査上よく観察しないといけない点。サイロに陥りがちな現場に、横断的な視点をもたらすところに存在価値があるのだから。


    直近の自分トピックでいえば、進捗確認。みずほ銀行のシステム開発障害では、「どうですか」「順調です」などの形式的なやり取りに終始し、個々の開発実態をまったく把握していなかったという。結果、相互のチェック、牽制が働かなかった。進捗確認を単なるスケジュールだけの話に終始しちゃいかんということ。

    失敗するシステム担当者の典型例も参考になる。

    以下、備忘。

    ただし、よくよく考えたいのは、不祥事を起こした会社の情報は、外部調査などでつまびらかにされるけど、そういう不祥事が(実際にも)起きてない会社との比較ができてないこと。こんな状況ならそうなるよね、とは思うけど、一線を画す(そんなものがあるとして)キーは何だろうと考えてしまう。捉えがたいことこのうえないのが、統制環境なんだろうけど。

    ・社長に事故を報告するかどうかの基準なし、担当部長がその都度判断(パロマ)
    ・取締役会において集団的に検討されるのではなく、トップの判断によってすべてが決定。取締役会は無機能状態(パロマ)
    ・経営者が周囲に障壁を作って都合の悪い情報を遮断(パロマ)
    ・トップがワンマン化してしまうのは、その周囲にろくな人材がいないことの裏返し
    ・監督の不履行という怠慢を、「信頼」という美しい言葉で誤摩化そうとするケースが少なくない。
    ・リスク情報をいくら流しても、それを関係者がきちんと読んでくれなければどうにもならない。
    ・「危機感の風化」と果てしなく戦いを続けていくことが、リスク管理担当者の背負った十字架
    ・「正確かつ詳細な事実認定」がなくても「再発防止策の提言」ができるという発想を抱いていること自体が、本調査委員会の問題点を端的に示している(ふじみ野市プール事件)
    ・無知であるがゆえに危機感がなく、危機感がないから対策が進まない
    ・総合的な視点が欠如する官僚的縦割り型のシステムに、いかにして総合的視点を持ち込むか、経営者の頭を悩ませる古くて新しい課題
    ・事態をさらに悪化させるのは、社内のシステム担当者の退職。迷路と化したシステムの全容を理解している者がいなくなれば、システムの保守管理さえもおぼつかなくなる(みずほ銀行システム障害)
    ・「だろう」「はず」よりすぐ確かめよ
    ・やかまし屋の復権
    ・ソクラテスメソッドで部下を鍛える

  • ひどい例のオンパレード。その中の一つの章に、『同族企業が直面する「三代目の危機」』てのがあって、いろいろな三代目を思い浮かべた次第。

  • 突き詰めて考えれば、根本が分かることに改めて気づかされた。

  • 太平洋戦争が起こった経緯が興味深かった。「やかまし屋」という悪役が組織には必要だという結論や、コンサルタントに依頼した企業が引っ掻き回されてしまうたとえ話が分かりやすく、またおもしろかった。

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著者プロフィール

1961年生まれ。1984年に東京大学経済学部卒業。警察庁へ。

内閣安全保障室参事官補、愛知県警察本部警備部長、四国管区警察局首席監察官などを経て、現在は警察大学校警察政策研究センター教授。これまでオウム真理教事件、ペルー大使公邸人質事件、東海大水害対策などの危機管理に従事。

企業不祥事の分析を通じて組織のリスク管理及び危機管理を研究。1994年にダートマス大学 Tuck School で MBA,2012年に千葉商科大学大学院政策研究科で博士(政策研究)取得。

著書に、『組織不祥事研究』(白桃書房)、『続・なぜ、企業は不祥事を繰り返すのか』『なぜ,企業は不祥事を繰り返すのか』(日刊工業新聞社),『組織行動の「まずい!!」学』(祥伝社),『組織の失敗学』(中央労働災害防止協会)など多数。

「2019年 『企業組織の発展段階を知ろう! ベンチャーの経営変革の障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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