資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く (祥伝社新書)
- 祥伝社 (2019年4月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396115708
作品紹介・あらすじ
資本主義と民主主義の終焉 平成の政治と経済を読み解く
感想・レビュー・書評
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私はぎりぎり平成一桁生まれなので、政治や経済の出来事が記憶にあるのは十年前くらいから。関心を持ってそれらを見るようになったのは、それこそここ数年のことです。しかし、政治・経済の現状を理解するためには、もっと長いスパンの出来事を知っていなければいけないと思い、本書を手にしました。
個人的には、なぜ民主党政権時代が酷評されがちなのか、新自由主義の問題、民主主義は崩壊してしまうのか、といった事柄に関心があったので、時代を追いながらそれらを確認できて良かったです。
最終章では、世界は「脱成長」の時代に入ろうとしており、新しい社会システムを構築する必要があると説かれていました。冷戦後に生まれた世代としては、資本主義ではない時代がやってくるのは不思議な感覚ですが、世界をより良くするためには、新しい社会に適応しながら、自分たちで変えていかなくてはいけないのだと考えさせられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こうして振り返ると「平成」っていいことあったんかなって思ってしまう。
日本は成熟期なのに、いつまで成長、成長といい続けるのか。
やり方がまずいから結果も伴わない。年収がいっこうに上がらない。むしろ下がってる。 -
2021/09/08
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大量消費社会を終え、成熟した社会に生きる人々は何を目指せば良いのか。エネルギーが枯渇していく将来を見据えれば、成長が鈍化する事は避けられない。
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経済成長とは、結局生産性を上げること。
最初から機械による工業化を経ずにサービス化で豊かになった国はない。
今後は、新興国の工業化は難しい。エネルギーが枯渇し、資本需要がない。
利子率がゼロということは、資本が増殖できないことを意味する。
今の与党にとって小選挙区制は楽。安倍一強になるのは小選挙区だから。
国債の金利が上がらないのは、日銀が買い入れているからではなく、ゼロ成長が長期にわたって続くと考えられているから。
経営者もAIと交代したらどうか。
中央官庁に優秀な人材が行く時代ではない。近代の発展途上国時代は終わった。
成長教に変わる目標は何か。
近代の資本の増強が意味をなさなくなった。ポスト近代の時代。 -
「平成とは何だったのか」を二つの大いなる知性が語る本。平成を概観する事とは現在を理解することだと、本書を読み痛感した。
小生はこの平成時代をリアルタイムで全て体験したが、本書が指摘しているような時代認識は持てなかった。なるほど時代は体験だけでは理解出来ないものだ。著者お二人の知性に感嘆する。
山口先生の方がちょっと左かと思ったが、ここまで進むと左・右の分類はあまり意味を持たない。
本書を読んで、現在の世界がどういう時代とみるべきなのかはわかったが、どうも未来は悲観的に思えてならない。「成長の時代は終わった」との本書の結論は大きなインパクトをもって迫っている。 -
水野和夫、山口二郎の対談集。今までを語ることはそれなりに可能だが、これからを予想する、指し示すことはとても困難なことだと思う。しかしこれからの10年と章立てるなら、山口にもなにか提起してほしかった。「自由、寛容、博愛などの価値観を学校教育やメディアで意識的に強調していかなければならない」と指摘するだけでは寂しかった。水野が資本主義の終焉で提唱していた「より遠くへ、より速く、より合理的に」を捨て「より近く、よりゆっくり、より寛容に」という思考に切り替えると主張し、「私にはその具体像を描くことができません」と認めることに好感が持てた。また水野が主張する法人税、所得税の引き上げによる財政の均衡化、自然エネルギーによる化石燃料依存の脱却が当面の解決すべき課題であるとは思えた。しかしどうやって?が見えないところが何とも苦しい。
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水野さんの分析、やはり鋭い。山口さん、相変わらず危機感と悲壮感いっぱいだけど、学者としての状況分析に深みを感じない。なぜ?