- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396116170
作品紹介・あらすじ
嫉妬が渦巻く日本社会で生きる術
著者いわく、「日本人は非常に嫉妬の感情」が強く、「社会的に高い位置にある人々や、経済的に恵まれている階層に対し、決して寛大」ではない。これは悪い面ばかりではなく、「他人より一歩でも先へと急ぎたがる心情があればこそ、日本の国力が現今に至るまで飛躍的に発展した」のである。人間誰しも、嫉妬からは逃れられない。松下幸之助が「嫉妬心は狐色に程よく妬かなければならない」と述べたように、その存在を認めていかに飼い馴らすか、そして他人からの嫉妬をどのように避けるかが肝要である。歴史上の人物から現代各界まで豊富な事例を紹介し、日本社会で生き抜く術を説いた名著、ここに復刊。
(以下、目次より)
嫉妬渦巻く「不思議の国」/学歴と嫉妬/嫉妬と内部告発/自分に近い人間の出世こそ人生最大の不幸である/独裁者を嫌う日本人の心性/歴史を動かした嫉妬/嫉妬に滅ぼされた豊臣家/西郷隆盛の呪い/嫉妬されなかった有名人/宗教は嫉妬心を水割りにする/女優の嫉妬/男の性・女の性/嫉妬心の思わぬ効用 ほか
※本書は2007年にビジネス社より刊行された単行本を新書化したものです。
感想・レビュー・書評
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第1章 嫉妬の正体
第2章 嫉妬と私
第3章 嫉妬とアカデミズム
第4章 嫉妬と有名人
第5章 嫉妬の日本史
第6章 嫉妬と宗教
第7章 嫉妬の形態学
第8章 男の嫉妬・女の嫉妬
第9章 嫉妬の効用詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日々生活する中で、なぜ人は人に嫉妬するのか疑問を持ち、この本を手に取った。
人よりも先に行きたいという日本人特有の思考から嫉妬は生まれている事、そして克服する唯一の術も‥。それもまた日本人らしいと思ってしまった。 -
嫉妬を克服することから、アドラー心理学的な展開を想定して購入した。しかし、内容は実際に存在する、或いは存在した嫉妬についての解説であった。切り口は比較的鋭く、所々に興味深い箇所もあった。
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日本人は非常に嫉妬の感情が強いと言われている。誰しも逃れられない嫉妬は、悪い面ばかりではなく、そのもとである「他人より一歩でも先へ進みたい心情」については、日本の国際的競争力を促す動因となるものである。
したがって、競争心や先駆け意欲を無効にするような嫉妬心を燃えあがらないようにすることが大事。松下幸之助氏が「嫉妬心は狐色に程よく妬かなければならない。」と述べている。
秩序や階層ができると、ワンランク上の人間に嫉妬するものの、身分があまりにもかけ離れている場合は嫉妬しなくなる。
そして、最後に嫉妬を避ける秘訣はないが、そのヒントは謙虚になることと、著者は結ぶ。
本書の骨格はこういうことになると思われるが、中身としては、対立関係にあった歴史上の人物、宗教の起源や位置付け、男と女の関係など、あらゆる話が嫉妬に絡んでたっぷりと語られる。
著者の知識、特に歴史に関しては恐れ入るものがあるが、全て嫉妬心のなせる技だとする論理展開は、やや強引な感じがした。