スタグフレーション 生活を直撃する経済危機 (祥伝社新書 666)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396116668

作品紹介・あらすじ

単なる不況ではない!

2022年に入り、多くの商品で値上げが続いておりインフレの様相を呈している。専門家の多くが「デフレ」を大合唱していた数年前から、現今の情勢を予測・発表してきた著者は、円安という特殊要因が加わる日本ではさらに厳しくなり、不況下のインフレ、すなわちスタグフレーションに陥る可能性がきわめて高いと言う。賃金が上がらず、物価だけが上昇する状況では、もはや単純な節約では乗り切れない。これまでとは異なる対処法が求められる。スタグフレーション時代にいかにして生活を守るか。国際経済の動きとも絡めて、説明する。

感想・レビュー・書評

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  • 2023.10.11
    本書の指摘するように、スタグフレーションに陥いる可能性が高いのが今日現在の状況だと思う。
    ロシアのウクライナ侵攻は終わらないうえに、おとついからハマスによるイスラエル奇襲とその反撃。
    世界は不安定化する一方で、アメリカの金利は高止まりである。投資家は利下げへの転換を期待するがそのシナリオはあまりに楽観的にすぎる。
    ひるがえって日本は平和ボケの上に物価上昇に賃金上昇が見合わず、実質賃金はマイナスのまま推移している。日本の株主は堅調だが、ちょっといいところどりが過ぎるのではなかろうか。
    物価高が収まる兆しなく、賃金の大幅な上昇は見込めない。すると、やはりスタグフレーションの危機はあるのでは?
    ハズレたほうが嬉しいがその危機感を持ったほうが良いのでは?

  • わかりやすい。理解しやすい。若い人が。読んだらと。

  • 不況下のインフレがスタグフレーションだとのこと。
    実際、多くの商品の値上げが続いている。生活を直撃する経済危機にどう対処していくべきなのか。

  • スタグフレーションとは、不況下のインフレ。この言葉は以前から知っていたが、円安が進み、輸入品の値段が高騰して物価が上がる一方、賃金が上がらない日本の現状はまさしくスタグフレーションの恐れがあると筆者は説く。
    この本はスタグフレーション時代にいかにして生活を守るかという観点から書かれているが、価格決定の仕組みや為替の影響、オイルショックとの対比、重要曲線と供給曲線など経済全般にわたり、幅広い基礎知識も紹介されている。
    そのため、大学時代に学んだ経済学や新聞から知った知識のおさらいになる事項が多かった。
    あらためて勉強になった事項を以下にピックアップしておく。
    ・国内にあった工場の多くが海外にシフトしているため、現地で得た外貨を日本に送金せず、円買い需要が少ない状態が続いている。
    ・日本経済の地位低下で日本円が安全資産とは見なされなくなってきている。
    ・過度な円安防止に対し為替介入は手持ちのドルを放出し、外貨準備を減らすため、金利を引き下げるしかない。
    ・インフレが進むと銀行預金や現金は価値が下がるがじわじわ進むため、日常生活では、それをなかなか実感できない。

  • 第二次オイルショックに感じが近い、か、ふむ。

    後は、セントラルバンキズムとドル離れの行方も気になるね。

  • .
    #スタグフレーション
    #生活を直撃する経済危機
    #加谷珪一
    22/9/30出版

    景気停滞と物価上昇のスタグフ日本

    この状況前に考えたライフプランでいいのか?、という不安が増す

    読んでリスクヘッジしなければ

    #生活防衛
    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本
    https://amzn.to/3Slpt5Y

  • 4
    リーマン・ショックから立ち直るため
    大量のマネーを市場に供給する量的緩和策を実施

    マネーが市場に大量供給されれば、インフレが進みやすくなる。
    根本的な需要過多の状況に大量のマネー供給が加わり
    さらに感染症や戦争が重なったことで
    インフレが加速

    米国など諸外国では
    景気は過熱気味に推移 → 物価上昇
       ↓
    金利を引き上げて景気を冷やして物価を抑制する
    米国は
    金利引き上げペースを加速

    景気を犠牲にしてでも、物価を抑制する

    ところが、日本では、それはできない

    不景気が長く続いて
    国内経済は、低金利が大前提となっている

    急に金利を上げると
    景気が一気に悪化する可能性があり

    諸外国のように、高金利政策はできない

    恐ろしいのは
    不景気下でのインフレーション、つまりスタグフレーション。

    経済がスタグフレーションに陥った場合
    ほとんどの経済政策が効果を発揮しなくなり、回復は困難になる。
    スタグフレーションは、もっとも回避すべき事態。

    6
    日本は、過去30年にわたって、デフレーションが続いてきた

    16
    2022年の春以降
    食料品を中心に、多くの商品価格が値上がり

    18
    不景気下なので、値上がりができず、ステルス値上げをしてゴマかしている

    22
    企業は、コスト上昇分を吸収できるまで
    10%程度の値上げを何度も繰り返す可能性が高い

    25
    電気、ガス、ガソリンは、消費者に選択肢がないので、勝手に、価格を値上げする

    29
    現実社会とのズレ
    黒田日銀総裁の失言2022.6.都内で公演
    「日本の家計の値上げの許容度も高まってきている」
    国民から批判が殺到、ネットが大炎上

    32
    2.4%の物価上昇で、家計の負担は?
    多くの世帯で赤字になる可能性が高い

    34
    物価上昇 4つの要因

    ① 原油や食料など一次産品の値上がり
    ② 世界的な需要の拡大
    ③ 米中対立やウクライナ侵攻など地政学的要因
    ④ 量的緩和策によるマネーの大量供給

    今回のインフレは、①

    2015年以降
    原油価格は、1バレル 50~60ドル程度
    2020年前半
    コロナ危機による下落を経て
    2021年より本格的な価格上昇
    2022年 100ドル超えが日常的になった

    35
    さらに激しく値上がりしてるのは、天然ガス
    36
    エネルギー価格が上昇すると、食料価格も上昇

    37
    世界の需要は拡大の一途

    一連の物価上昇の最大の要因は、全世界的な需要の拡大
    中国を筆頭に、東南アジアなど新興国の経済成長が著しく、全世界的な需要は増える一方

    社会が豊かになれば、エネルギー消費は増える。

    今後は
    中等やアフリカなどでも、社会が豊かになり、エネルギーや食料の需要は増大する

    全世界の需要拡大は、2010年頃から顕著になってる

    供給が追いつかないリスクはすでに認識されてた。

    42
    インフレーションをさらに悪化させているのが
    ④ 量的緩和策による全世界的なカネ余り

    日本を除く各国は、量的緩和によって、景気回復を実現してきたので、物価上昇があっても、そこまで大きな問題にならなかった。
    その分、経済も成長し、賃金も上がっているので

    45
    日本はすでにスタグフレーション

    日本の場合は、インフレによるコスト上昇に加え
    円安という特殊要因が加わってる

    日銀が量的緩和策を継続し、低金利政策を維持する限り、円安が進む可能性が大

    エネルギーや食料に加え
    スマホや家電など工業製品についても、輸入に頼るようになってしまった

    55
    ガソリン価格と同様に、電気料金、ガス料金も、原油価格に連動する

    70
    マンション価格も値上がり
    一部メディアは、外国人を含む投資家が投機目的で買い漁っていると報道してるが、正確ではない
    購入層の大半は、自己居住目的

    76
    円安がインフレーションを加速させる

    円安が進んだ最大の理由は
    日米の金融政策に大きな違いがあり
    両国の金利差が拡大すると予想されるから

    リーマン・ショック以降
    各国の中央銀行は、国債を積極的に購入し市場にマネーを供給する量的緩和策を実施してきた
    日本以外では
    それなりの効果を発揮し、景気は順調に回復した

    FRBは、2022.8.時点で
    量的緩和策を完全に終了し
    金融正常化に向けて、利上げを開始した

    日銀は、依然として、量的緩和策を継続

  • 何年も前から日本では、スタグフレーションが起きると言われていたが、ついに現実ものとなってきている。スタグフレーションとは何か、今何が起きているか、今後どのようなことが起きるか概説されている。世界人口は、2022年11月には80億人を超え、これまで途上国と言われてきた国は経済成長し、ますます消費を行う。一方で「地球資源」と呼ばれるものはどんどん枯渇している。これからの世界は不可逆的に需要過多に陥っていく中、今後物価が下がるわけもない。

    あとは筆者の生活防衛術は興味深い。「自家用車は抜本的な見直しを」と「家賃は上がらない」という指摘と予測がある。自分もこれには同意する。
    世界的な大都市部の家賃高騰の一方で、日本は人口が減少しどちらかというと土地余りが発生することが予想されるので、移民を大幅に増やすことがない限りは住宅は供給過多が続くことが予想される。むしろ空き家問題の方が深刻な気がする。つまり多くの人々にとっては、ますます地方に住むメリットがなくなっていくと思う。個人的な希望としては、人が利用するがなくなった土地は、森林に帰すなり、生物多様性保護区にするなりしてほしい。

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著者プロフィール

経済評論家。仙台市生まれ。1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在、「ニューズウィーク(日本版本誌)」「現代ビジネス」など多くの媒体で連載を持つほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。著書に『新富裕層の研究』(祥伝社新書)、『戦争の値段』(祥伝社黄金文庫)、『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『縮小ニッポンの再興戦略』(マガジンハウス新書)など多数。

「2022年 『スタグフレーションーー生活を直撃する経済危機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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