闇バイト 凶悪化する若者のリアル (祥伝社新書 683)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396116835

作品紹介・あらすじ

二〇二三年一月一九日、東京都狛江市に住む九〇歳の女性が自宅で殺害されているのが見つかった。女性の遺体には激しい暴行の跡が見られ、これまでとは次元の違う強盗殺人事件として世間を震撼させた。本件をきっかけに注目を集めたのが、「闇バイト」といわれる犯罪だ。指示役に集められた素性のバラバラな集団によって行なわれる犯罪で、同種の事件は後を絶たない。中でも詐欺よりも手っ取り早く稼げる「タタキ(強盗)」の増加が危険視されている。本書では、非行経験のある犯罪学者が当事者たちを取材。闇バイトを取り仕切る半グレや犯人の更生に従事した保護観察官の声から見えてくる、その真実とは? 最終章では、闇バイトを生み出す日本社会の闇を分析。失うもののない「無敵の人」を生み続ける構造に警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • また趣味の悪い本を読んでしまった。怖いもの見たさ(知りたさ・読みたさ)ですね。著者が福岡の方で、色々納得。同じ大学の出身でした。北九大ってそんな勉強もできたのね(笑)。
    少し前に、強盗のニュースがすごく多くて、「闇バイト」っていうワードが一気に広まった。ほんとに、闇バイトに応募して犯罪に加担する若者たち(いや、若者とは限らないらしい)、なんてバカなんだ!と思うけど、どんな人が、どんな思考回路で闇バイトに足を踏み入れてしまうのか、取材したことを交えながら解説してあり興味深かったです。
    いたちごっこかもしれないけど、末端の使い捨てられる若者を逮捕するだけでなく、この本で明らかにされているような闇バイトの構造自体をなんとかなくしてほしい。そして、安易な考えでラクしてお金を稼ごうとする思考回路に至らないために、教育が大事だと思った。
    私なりに教育現場で一生懸命頑張っているけど、最近は不登校(ひきこもり)も多くて、学校にこない子どもたちも、学校に代わるしかるべき場で、将来貧困に陥ったり、安易にSNSで情報を集めて間違った判断をしたりしないように、学ぶ環境が大事だと思う。

  • 特殊詐欺・強盗グループの実行犯はいかにして闇バイトに参加するのか。当事者の声や巧妙な人身掌握術等を記載。SNSを開けば怪しげな高額バイトが横行し、わたしたちはいつでもその魔の手に掛かるおそれがある。特に若い世代に読んでほしい本です。

  • 想像していたよりも学びがあった。貧しく日常的にDVを経験した著者(元々は中卒だったけれど一念発起し通信で高卒▶︎大卒大学院卒で今は社会学者)が問う問題だから余計に迫るものがあった。

    反社と一括りにできないくらい組織や属する人々が多様化している様。特殊詐欺はカタギの人間が情報を流している場合も多々で正に社会問題。社会の構造が犯罪を生み出している部分も否定できず、著者が言う通りワンストライクでOUTになる今の日本の制度には疑問しかない。

  • 怖い世の中になったなぁってのが本音。
    一番は貧困が原因だけど
    犯罪に手を染めてしまった人たちの育った環境もある。
    SNSって便利だけど使い方間違えると堕ちるの簡単、
    個人情報つかまれてるので抜けられない
    捕まると初犯でも即実刑。
    募集されるのは使い捨ての駒。

    それと今の日本はやり直しがなかなか出来ない風潮で
    一度闇バイトで捕まったら這い上がるのが難しい。

    今の若い人は新聞やネットニュースを
    読まない、観ないので
    闇バイトの危険性を発信しても
    その警告が青少年に届いてないと書いてあって…
    どうしたらいいんだろうね(ToT)

  • ジャーナリストやライターではなく、犯罪社会学の研究者が書いた闇バイト本だ。

    その点に本書の価値があるが、逆に弱点にもなっている。
    著者は闇バイトの当事者たちを取材しているのに、その部分の記述にどこか論文臭があり、『犯罪白書』のたぐいを読んでいるようで、生々しい臨場感に乏しいのだ。

    とはいえ、ハッとするような情報・エピソードも多いし、闇バイトについて知りたい人には一読の価値がある。

    類書の中には、「こんなにエグい事件が多発していますよ~」で終わってしまう、一種の「犯罪ポルノ」に堕しているものも少なくない。

    それに対し、本書の特徴は明確な啓蒙性を打ち出していることだ。
    著者には“闇バイトに手を出して破滅する若者を少しでも減らしたい”という強固な意志があって、本文の随所にその意志が垣間見えるのである。

  • 東2法経図・6F指定:368.6A/H73y/Ishii

  • 【選書No】086

  • 【請求記号:368 ヒ】

  • 昨今では麻薬の運び屋、複数人による強盗などの事件で取り上げられているが本書では物語風な一青年の転落を説明の導入に組織等解説してくれている。
    「無敵の人」になる位まで窮迫したら手を染めかねないので学習はしておきたい。

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著者プロフィール

1970年、福岡市生まれ。社会学者、博士(学術)。専門は犯罪社会学。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、久留米大学非常勤講師(社会病理学)、法務省・保護司。2001年北九州市立大学法学部卒業、08年同大学大学院社会システム研究科地域社会研究科博士後期課程修了。国会議員政策担当秘書、熊本大学イノベーション推進機構助教、福岡県更生保護就労支援事業所長等を経て、現職。裏社会のリアルを科学的調査法に基づいた取材を重ね、一次情報をもとに解説する。著書に『ヤクザと介護』『ヤクザになる理由』など。

「2023年 『テキヤの掟 祭りを担った文化、組織、慣習』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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