- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396116835
作品紹介・あらすじ
二〇二三年一月一九日、東京都狛江市に住む九〇歳の女性が自宅で殺害されているのが見つかった。女性の遺体には激しい暴行の跡が見られ、これまでとは次元の違う強盗殺人事件として世間を震撼させた。本件をきっかけに注目を集めたのが、「闇バイト」といわれる犯罪だ。指示役に集められた素性のバラバラな集団によって行なわれる犯罪で、同種の事件は後を絶たない。中でも詐欺よりも手っ取り早く稼げる「タタキ(強盗)」の増加が危険視されている。本書では、非行経験のある犯罪学者が当事者たちを取材。闇バイトを取り仕切る半グレや犯人の更生に従事した保護観察官の声から見えてくる、その真実とは? 最終章では、闇バイトを生み出す日本社会の闇を分析。失うもののない「無敵の人」を生み続ける構造に警鐘を鳴らす。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
特殊詐欺・強盗グループの実行犯はいかにして闇バイトに参加するのか。当事者の声や巧妙な人身掌握術等を記載。SNSを開けば怪しげな高額バイトが横行し、わたしたちはいつでもその魔の手に掛かるおそれがある。特に若い世代に読んでほしい本です。
-
想像していたよりも学びがあった。貧しく日常的にDVを経験した著者(元々は中卒だったけれど一念発起し通信で高卒▶︎大卒大学院卒で今は社会学者)が問う問題だから余計に迫るものがあった。
反社と一括りにできないくらい組織や属する人々が多様化している様。特殊詐欺はカタギの人間が情報を流している場合も多々で正に社会問題。社会の構造が犯罪を生み出している部分も否定できず、著者が言う通りワンストライクでOUTになる今の日本の制度には疑問しかない。 -
ジャーナリストやライターではなく、犯罪社会学の研究者が書いた闇バイト本だ。
その点に本書の価値があるが、逆に弱点にもなっている。
著者は闇バイトの当事者たちを取材しているのに、その部分の記述にどこか論文臭があり、『犯罪白書』のたぐいを読んでいるようで、生々しい臨場感に乏しいのだ。
とはいえ、ハッとするような情報・エピソードも多いし、闇バイトについて知りたい人には一読の価値がある。
類書の中には、「こんなにエグい事件が多発していますよ~」で終わってしまう、一種の「犯罪ポルノ」に堕しているものも少なくない。
それに対し、本書の特徴は明確な啓蒙性を打ち出していることだ。
著者には“闇バイトに手を出して破滅する若者を少しでも減らしたい”という強固な意志があって、本文の随所にその意志が垣間見えるのである。 -
東2法経図・6F指定:368.6A/H73y/Ishii
-
【選書No】086
-
【請求記号:368 ヒ】
-
昨今では麻薬の運び屋、複数人による強盗などの事件で取り上げられているが本書では物語風な一青年の転落を説明の導入に組織等解説してくれている。
「無敵の人」になる位まで窮迫したら手を染めかねないので学習はしておきたい。