堂々たる日本人: 知られざる岩倉使節団 (祥伝社黄金文庫 い 12-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396313500

作品紹介・あらすじ

明治4年、岩倉具視を団長とする遣米欧使節団が横浜を出港した。近代国家の青写真を描くため、大久保利通、伊藤博文らも参加したが、1年10ヶ月もの壮大な旅となった。欧米人が驚嘆した、彼らの"堂々たる"態度とは。

感想・レビュー・書評

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  • 明治4年に横浜港を出発して1年10ヶ月アメリカ、ヨーロッパを訪れ視察した岩倉使節団。

    改めて幕末から明治になった混乱の時期に、岩倉具視、木戸孝允、大久保利通、伊藤博文といった政府の有力人物たちが日本を離れて何ヵ国も巡ったことはすごいことだったなと思うし、時代の大きな変わり目の熱量を感じます。
    また、現在のようにテレビやSNSといったリアルに見える報道がない時代に、現地でアメリカやヨーロッパの景色を見た衝撃や感動はどれほど大きかっただろうかと思います。

    当時の日本人が欧米をどんな風に見たか、当時の欧米が日本をどんな風に見たか、がとても興味深いです。

  • 力強い言葉で書かれていた。
    資料も豊富で参考になる部分も多かった。
    一方で、資料の読み方や解釈の仕方が偏っているのではないかとも。
    刊行されたのが20年前ぐらいなので、そういった思想や考えもあったのかと自身を納得させた。
    読むには値するかもしれない。

  • ・岩倉具視、木戸孝允、大久保利通、伊藤博文、山口尚芳ら、国を背負うべき若手がこぞって欧米視察に行った。
    ・目的は①新生国家の挨拶回り、②治外法権の撤廃、関税自主権の回復等の不平等条約改正への布石、③西洋列強の文明探索
    ・廃藩置県のような大きい転換を、一個の弾丸も、一滴の血も流さずに封建制度を撤廃した。
    ・当時は、英米仏は開花し過ぎていて、ドイツやロシアあたりが日本の手本として適当としていた。
    ・アメリカの評価すべきは、門閥がなくても、人材が登用される社会であること。例として、ワシントンの子孫を聞いても誰も知らない。
    ・「足るを知る」をベースにする日本に対し、「決して満足せず、あくまで快美な生活を追求する」欧米。前者は道徳、後者は利益。
    ・英国は当時、貧富の差が激しかった。
    ・日本はその点、全般的に貧しいが、貧富の差は激しくなく、治安も良かった。欧米人は、異口同音に賛辞を述べていた。
    ・日本とオランダの共通点は、忍耐強く勤勉、海洋業を好み、商売熱心、園芸好き。オランダ人のチューリップは、日本の椿である。
    ・日本の長期の鎖国は、外人嫌いでなく、充分な理由に基づいた。
    ・当時の日本がキリスト教を禁じた理由は、礼儀作法において充分な文明国だった故に、他国の宗教に頼る必要はなかった。
    ・新橋〜横浜間の鉄道は2年で竣工。
    ・サムライは金銭を卑しんだ。士農工商として、商を最下位とし、金銭をサムライから最も遠くに置いた。サムライは精神的貴族であり、貧しさを誇りともしていた。新渡戸稲造はこのことを、「貴族を商業から遠ざけることで、権力者への富の集中を予防する、賞賛すべき社会構造である。」と評価している。

  • 入会式を受けた形跡は見られない

  • 数年前に買ってた。登録忘れてた。

  • 薦められた本ですが、私も薦めたい。美談だけでなく、時の権力争いも含めて、明治維新後の勃興が如何に進められたかが書かれている。文章も読み易く「武士道」と共に矜恃としたい本。

  • 近代日本は、政府の若い官僚の志の高さ、凛呼たる倫理観、深い礼節と教養、変化に対処する勇気があったからだということがよくわかった。
    今、伊藤博文の日の丸演説を説いた際の情熱を持った政治家は、いったい何人日本にいるだろうか。
    鉄血宰相ビスマルクのスピーチは、現代の我々にも注意喚起する。(下に引用)今日の志士の政治判断を待つしかない。
    科学技術・実学と普通教育の重要性は、当時のアメリカから示唆を受けた。勤勉にするための教育だった。これも今大切にしなければいけないことだ。
    終章で、筆者は上に立つものは、使命感・問題意識・目的・青写真・ビジョン、バランス感覚、リアリズムを学びなおす必要があると述べている。各教育機関のプログラムは常にこれらを意識すべきだと思う。やはり、しっかりとした精神を持ち、教養を積んでいくしかない。

  • エレベーターのくだりには笑いました。
    日本人の目に映る欧米。

  • 2010.2

  • 日本人はかっこよかったんだ!と思えるちょっと気分のいい一冊。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家

「2019年 『岩倉使節団の群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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