彼女が追ってくる (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396340391

感想・レビュー・書評

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  • 激面白い★5 殺害した死体が握っているカフスボタンの謎… バランス抜群の倒叙ミステリー #彼女が追ってくる

    成功した女性起業家が、かつての仕事仲間たちのパーティに呼ばれた。過去の痴情のもつれから敵であった女を殺害する。完璧に証拠隠滅した犯罪だったはずが、死体には見覚えのないカフスボタンが強く握られていた… 超良作満載の倒叙ミステリー、碓氷優佳シリーズ第三弾!

    面白いっ 圧倒的に★5です。

    文庫300ページもない作品で、しかも良くありそうな舞台や人間関係にも関わらず、ミステリーの面白さをガッツリ堪能できる傑作。
    犯人の心理描写、気丈で狡猾な登場人物、犯行現場に残された謎、誰がやったやらないの議論、驚愕な真相、物語として優れている起承転結。どれをとってもバッチシ!

    そしてなんといっても気持ちいいほどの優佳の名推理。相変わらず日本刀のごとく切れ味抜群の推理で、犯人を切り刻んでいきますよ。いやー怖いっ

    この物語は利発な女性たちが大活躍で男どもはヤサ男ばっかり。男性陣はぼけっーと読んでると、あまりの鋭さに女性恐怖症になりうるので注意してください。

    肝心の犯人当て、カフスボタンの謎、事件の真相などミステリー要素についてもシンプルかつ重厚感たっぷりでお見事です。ネタバレになるので多くは語りませんが、タイトルとおり「彼女が追ってくる」という深い深い真実が隠れています。

    シリーズもの3作品目ですが、この作品から読んでもほぼ問題ありません。ミステリー初心者の方にもマジでおすすめしたい作品でした!

  • 碓氷優佳の倒叙ミステリー3作目。面白かった。
    証言、そして犯行現場でのちょっとした手がかりから犯人を瞬時に見抜くその洞察力が凄い。普通は気づかないと思う。さらにはそこから犯人と被害者との関係も推察できている。あっという間に読み終えた。殺害動機がちょっと弱いとか思ってたが解決編でひっくり返された。そして結末にも驚いた。

  • 碓氷優佳シリーズの第三弾。
    倒叙ミステリーは犯人が完璧(だと本人は思っている)な計画を何も知らない被害者がはまってしまうというのが定石だが、今回はそんな思い込みを利用したミステリー作品だと感じた。夏子が完璧な計画を立てたつもりが姫乃がそれを凌駕した計画を立て、自分が死のうが生きのころうが関係なく夏子が破滅するように仕組んでいたところに女の執念を感じた。そして最後のシーンはそんな彼女の執念が最大限に現れていて凄い後味を残したと感じた。

    今回の小説をアニメ化したときの声優陣を自分なりに考えたので読むときの参考にしてください。
    碓氷優佳:沢城みゆき
    堀江比呂美:雨宮天
    中条夏子:悠木碧
    黒羽姫乃:上坂すみれ
    山縣一二三:中田譲治
    山縣邦恵:井上喜久子
    花村哲子:くじら
    花村良太:斉藤壮馬
    寺田善行:安元洋貴

  • 受動的又はダイイングメッセージを辛うじて残す被害者は多いですが、攻撃的なメッセージを絡めていった被害者はそれ程多くないと思います。

    攻撃的被害者って造語を作りたいくらいです。

  • 第3弾かな。

    形式的にはシリーズ踏襲してて、経緯が面白いのは確かにあった。
    前作でも「余韻が楽しかった」と思ったけど、今回も余韻を楽しめせてくれる終わり方だった。余韻の為に読んだまであったりして。

  • 2022年7月読了。

    横浜レアメタル・花村貿易・寺田商会の3社が集まり、例年行われる『箱根会』
    古い友だった3社の社長が、創業当時から定期的に箱根に集まり、互いの成果を報告し合う交流の場。

    元・横浜レアメタルの社員だった女性が2人。
    『中条夏子』と『黒羽姫乃』
    互いに独立し、別々の会社の代表となった2人も古巣の社長からの誘いで箱根会へと参加し、久々の再会を果たす事となった。
    同僚時代に切磋琢磨しあった仲であったが、1人の男性を巡る愛憎の末、夏子は姫乃の殺害を心に決めた。
    予定通り殺害を決行した夏子だが、またもその場に居合わせる『碓氷優佳』の推理により犯行が暴かれる…。


    碓氷優佳シリーズ3作目。
    今作も安定の倒叙ミステリだが、女性が女性を殺害する初の展開。
    またしても碓氷優佳の鋭過ぎる観察眼が事件をあっさりと解決してしまう。
    正直途中まで、3作目ともなると若干飽きてきたかと思ったが、ラストの締めくくり方が好みだったので高評価。

    シリーズはあと3作発表されているが、手元に無いため追うかは悩みどころ。
    巡り合うことがあれば、読みたいと思う。

  • 中条夏子は、かつての同僚で親友だった黒羽姫乃を刺殺した。旧知の経営者らが集まる「箱根会」で。愛した男が死ぬ機会を作った女への復讐だった。しかし、死体が握っていたカフスボタンが、夏子の疑念を呼ぶ。そして、前作登場の堀江比呂美がゲストとして連れて来た碓氷優佳が、そんな夏子を見ていた。
    ここでも事件の謎にしか興味のない優佳の倫理観が興味深い。精緻さを愛し、杜撰さを疎む彼女は、ラストもおそらく予想していたのだろう。ヒントに気づかぬ愚かさを見捨てる冷たさが彼女らしい。

  • 犯人も動機も方法も全て提示されている。
    だけど、たった1つのカフスボタンが物語を面白くする。
    少しの情報をもとに組み立てられた推理には、いつものことながら戦慄いてしまう。
    むしろ徹底的に追い詰められることに快感すら覚えてしまっているから、このシリーズは恐ろしい。
    最後まで気が抜けないところも良い。

  • 起業して成功した女社長の復讐の話。トリックと伏線の回収の仕方がうまく、なるほどー、という感じで読める。ただ、ちょっと心理描写がトリックのための要素になっているところが気になった。ミステリー好きの方はおすすめ!

  • 箱根会のメンバーが集まって事件を解明していく過程が面白かった。
    論理立てて推理を推し進めていく寺田と比呂美。
    冷静にその場の流れを作っていく優佳。
    その場に応じたやりとりをしながらも、刻々と変化していく犯人の心理。
    意外なところに盲点があったことも、それに気づいていながら告発しなかった優佳の様子も楽しめた。
    犯人よりも被害者の方が少しだけ上だったということだろう。
    何よりも、最後の場面でそのことがハッキリとする。
    どことなく雑な感じのする論理も、読みやすさを優先させればそれほど気にならなかった。
    短時間で読み終えられる物語は、けっこう都合がいい。
    後付のような強引な推理も、それはそれで楽しめる物語だった。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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