夢の女 取次屋栄三17 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396342739

感想・レビュー・書評

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  • 隠し子騒動からの落着、素敵!

  • 夢の女 ― 取次屋栄三シリーズの17作目
    2016.12発行。字の大きさは…小(字の大きさは、中だが字が薄いので小)
    我が子、つぐない、転変、夢の女の4話。

    気楽流の印可を受けた剣客・秋月栄三郎は、大阪での用事を済ませて江戸に帰ってきて、手習い師匠、剣術道場の師範、人と人とを結ぶ取次屋として活躍します。

    【我が子】
    栄三郎が、昔の馴染みの女・お千が亡くなったと知り、訪ねて行くとお千の娘10才のおえいを、川越の伯父が引き取りに来るまで預かる事となります。
    栄三郎は、昔お千とちょっとあって、もしかして自分の子かと思って引き取ると、おえいは、栄三郎をお父さんと呼び、手習い所の又平の手伝い、取次屋の仕事の手伝いもと、まめに動くのを見て。栄三郎は、これは自分の子供だと覚悟を決めて手元に置く決心をした時に……。

    【つぐない】
    栄三郎は、むかし用心棒をしていた頃の仲間の新見一之助から頼まれて、昔惚れた女・お京の近況を調べる。調べると、女郎屋から身請けされて、いまは甘酒屋をやっている。
    ただ、お京は、幼子と二人でやっているが、その甘酒屋の周りを地廻りが見張っているのを栄三郎は感じた。それは、お京の亭主直次郎が、板橋の捨松とつるんで、いかさま賭博をして富商に大損をさせたことがあり……。

    【転変】
    四年前に栄三郎は、学問優秀な房之助が婿養子として入る旗本三千石永井家から、房之助の姉・萩江の探索を依頼された。そして見つけだした萩江を女郎宿から身請けして、助け出した時に、萩江を食い物にしていた森岡清三郎と権助を斬り捨てたことが、今になって引っ掛かりが出て来ました。
    それは、永井邸に怪しげな投げ文「女郎上がりの弟が 三千石の世継 笑止千万の僻事(ひがごと)なり」が投げ入れられました。そして奥向きには、同じ内容の矢文が入る……。

    【夢の女】
    永井勘解由は、森住亮之介が稲見屋の用心棒をしていたのを知り、今回の投げ文が婿養子の房之助や萩江を狙ったものではなく、八年前に稲見屋を闕所にした当時の勘定奉行である自分に対する復讐だと気が付きます……。
    事件解決後の宴席で勘解由は、萩江には本当に幸せになってもらいたいと、永井家を出て栄三郎の元に行くように促します。

    【読後】
    栄三郎と萩江とは、お互いに声に出さぬが想いあっています。やっと二人が一緒になります。長く引っ張って来ましたが、これで栄三郎と萩江が夫婦になって物語的には終わりに近づいているように思います。

    【豆知識】
    「僻事(ひがごと)」とは、《古くは「ひがこと」とも》道理や事実に合わないこと。まちがっていること。
    2021.02.28読了
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    【令和3年(2021年)2月に読んだ本】
    2月に読んだ本は、31冊です。
    今月は、何十年ぶりかで漫画を読み始めました。手軽に歴史を読みたくて、手に取ったのですが、読みだすとどうしても少しずつ調べながら読んで行く事となり、かえって時間が掛かる事になっています(笑) 手っ取り早く、気軽に始めた歴史漫画が、すごく重荷になっています(笑) 

    今月のベスト本は、下記の7冊です。
    ★★★★★5つは、ありません。
    ★★★★☆4つは、下記の7冊です。
    マンガ 日本の歴史〈1〉秦・漢帝国と稲作を始める倭人 ――作画/石ノ森章太郎
    マンガ 日本の歴史〈2〉邪馬台国と卑弥呼のまつりごと ――作画/石ノ森章太郎
    マンガ 日本の歴史〈3〉興亡する倭の五王と大嘗の祭  ――作画/石ノ森章太郎
    うれし たのし 江戸文様 (月刊たくさんのふしぎ2021年1月号) ―著者/熊谷博人
    神様のカルテ ―――――――――――――著者/夏川草介
    雑草のくらし (福音館の科学シリーズ) ―――著者/甲斐信枝
    ふんわり穴子天―居酒屋ぜんや ―――――著者/坂井希久子

    ※令和2年(2020年)1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト本をのせています。

  • 取次屋栄三シリーズの17作目。タイトルを見て、前作の続きだなと思って読み始めると、あれ、続きじゃないのか?いや、うまい仕掛けでしたね。そのうえこの「我が子」はたまらなく面白い。岡本さとるは、子供が絡んだ話は本当にうまいね。そこからが、うまく栄三郎の屈託を描き出し、えぐるように過去の話へとつなげていく。少し強引だが、読者の読みたい方向へぐいぐいとひぱっていく筆力はさすが。キャラクターの力を見た感じで、面白かった。

  • 期待に応える岡本さとる先生
    デキルやつです
    栄三くんが屈託を覚えても彼の周囲が許さない
    恩返しではないけれど、今までの善行のお返しが
    来るものなのですね

  • ついに栄三郎にも春が・・お幸せに。

  • 岡本さとる 著「夢の女」、取次屋栄三№17、2016.12発行。我が子、つぐない、転変、夢の女の連作4話。最初の「我が子」、秀逸でした。続く3話は、岡本さんにしては「キレ」が悪かった気がします。

  • 201701/今回、シリーズ最高傑作なのでは?

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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