殿さま狸 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344764

感想・レビュー・書評

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  • 〈阿波の狸〉と呼ばれた、蜂須賀家政を描く。

    おもしろかった。

    主人公や家臣たちだけでなく、味方も敵も、登場人物が魅力的。

    偉大な父の存在が刺激になったり、大いなる壁になったりしながらも、上に立つ者として目覚め、成長していく姿がさわやか。

    身分の上下がない川並衆出身のためか、武士の常識にとらわれていないのも、おもしろかった。
    武士の晴れ舞台たる大戦を、特産品の売り込みに使ってしまうのが、笑える。

    石田三成はなぜ、嫌われ、憎まれる立場に甘んじたのか。
    毛利はなぜ、関ケ原の戦いで、あのような動きになったのか。

    史実の影にはどのような事情があったのか、それぞれの想いが描かれ、ドラマがあった。

  • パッとしない歴史上人物が箕輪諒先生にかかれば、秀才に見える!
    読んだ後、信長の野望で登場人物のステータスを見て弱くてびっくりすることが多々。最高ですね。

  • 豊臣秀吉が木下藤吉郎と呼ばれた時から従った蜂須賀小六の息子の物語。徳島を治めるに至る物語がスピード感とドキドキ感を持って描かれている。一人の若者が一国を治める力をつけていく上での知略や失敗を乗り越えた成長が面白い。

  • 「蜂須賀家政」という、あまり馴染みのない人物が主役だったが、他の大名とは異なる視点で行動しておりかなり興味深い人物だった。
    また、話の要所で出てきた石田三成も、よく描かれがちな、ただただ鼻持ちならない人物としてではなく、一味違った姿で描かれており、そこもまた良かった。

  • 江戸時代を通じて現在の徳島県に相当する阿波国と淡路島とを知行していた大名家の蜂須賀家の始祖は、豊臣秀吉に仕えた蜂須賀小六の嫡男であった蜂須賀家政である。その蜂須賀家政が本作の主人公だ。そして蜂須賀家政は「阿波の狸」等とも呼ばれたという、なかなかの策士であったともいう。
    本作は、若武者が偉大な父とは一味違う国主へと成長する物語であり、城下町を起こして流通を盛んにする他方で商品作物の藍に着目した産業振興を図るという経営関係の物語であり、大きな合戦での生き残りを図る戦略の物語でもあり、多様な要素が織り込まれている。
    作中、酷く記憶に残るフレーズが在る。「尽くされて当然の主もいなければ、尽くして当然の臣下もいない」というものだ。非常に示唆に富んでいると思った…
    なかなかに愉しいので、広く御薦めしたい!

  • 豊臣、徳川の時代を生きた安房守蜂須賀家の話。
    秀吉の信頼が厚い偉大な父を持ち、でも急に難治の国である阿波を任され、関ヶ原の戦いが起こり、徳川の世になっていく、その急流の中でもがきながらも元来の川並衆たる矜持を持ちつつ阿波国を守っていく。
    要所要所がきちんとおもしろく、展開もスピーディーで飽きない内容だった。
    有名じゃない人たちの話は初めてなのでおもしろい。

  • 蜂須賀小六の嫡男、阿波徳島藩の初代となった家政の一代記。戦いにおける活躍に目を当てられやすい歴史小説の中で、主人公である家政の人柄や成長にスポットライトが当てられている作品。「主は家臣や領民を守る為に考え続けることを怠ってはいけない」、「仕えられて当然の主なんていない」、「上に立つものは常に問われ続けなければならない」など日本にまだまだ残る年功序列組織における管理職には是非一度読み、マネジメントに活かしてもらいたい。

  • このさっかさんの書く主人公にはあこがれがいつもある。

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著者プロフィール

1987年栃木県生まれ。2014年『うつろ屋軍師』が第19回歴史群像大賞に入賞し、デビュー。2015年、同作が第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞候補となる


「2022年 『決戦!賤ヶ岳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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