- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396345105
感想・レビュー・書評
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最高の瞬間を味わえた一冊。
九編からなる短編集。
静かな文章を綴る作家さんだな、あぁ、好きだなぁと思いながら吸い込まれるようにページをめくる。
次第になんだか心が不規則なテンポでざわつき始める。
家族という誰もが属する小さな小さなコミュニティ。
わかるからこそ感じとってしまう不穏な空気、微妙な間合い。
これがたまらない。
そして激しくドクンと一回、大きく音を刻む心臓。同時に口からは「え…」の言葉がこぼれた。
あぁ、これって最高の瞬間ってやつじゃないかしら…それを九回も味わえたなんて幸せ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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ゆうママさん、雷神いいね、しましたよ!足りない?感想を読んでコメントするがいつも楽しみで、ナイスするのを忘れてしまいました。。。
夫の骨の...ゆうママさん、雷神いいね、しましたよ!足りない?感想を読んでコメントするがいつも楽しみで、ナイスするのを忘れてしまいました。。。
夫の骨の感想コメントありがとう。この本はイヤミスを期待したんだけど、そこまでだった。ミステリー作品としては面白かったです。いまアガサクリスティーのNかMかというのを読んでいます。最近、仕事で自分の研究記事が新聞に載ったり(内緒ですけど)ちょっと忙しかったです。いまミステリーを楽しんでいます。今度ゆうママさんの感想を楽しみにしています。ゆうママさんには以前も言いましたが、読書メータの方が読み友さんとのコメントが気軽にできますよ。でもこっちのゆったり感も好きですが!ではまたね~3連休ゆっくりしてくださいね。2021/09/18 -
2021/09/18
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こちらこそ、すんませんでした。ゆうままさんの感想にはいつもナイスしています!また熱い感想を楽しみにしていますよ!!こちらこそ、すんませんでした。ゆうままさんの感想にはいつもナイスしています!また熱い感想を楽しみにしていますよ!!2021/09/18
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矢樹純『夫の骨』祥伝社文庫。
9編から成る短編集。いずれの短編も家族とその中に影を落とす夫婦の関係をテーマにしたミステリー作品に仕立てられている。後味の悪さを考えれば、一種のイヤミスと言っても良いだろう。沼田まほかるや真梨幸子とは一味違う作風が新鮮。
『夫の骨』。夫の死後に妻が物置の中に見付けた木箱に入った小さな骨は一体誰のものなのか……複雑な思いと言い知れぬ恐怖とが交錯する結末は見事。
『朽ちない花』。幼い頃から姉にいいように支配される妹。復讐ではないのだろうが、妹に拍手を贈りたい気持ちと幸福とは思えない未来に哀しい気持ちと……
『柔らかな背』。数年前から社会問題になっている振り込め詐欺を題材に描かれる恐ろしく歪んだ現実。虚構と事実の境目はどこに……
『ひずんだ鏡』。何となく二人の姉妹はそうなんだろうと思っていたら、やはりその通りだった。しかし、二重三重の仕掛けに何が事実なのかともどかしい気持ちになる。
『絵馬の赦し』。一見普通の家庭が抱える大きな秘密。タイトルの意味は……
『虚ろの檻』。動物には罪が無いだけに人間のエゴだけが際立つ。
『鼠の家』。家族を巡るサスペンスフルな展開は予想外の結末へと……
『ダムの底』。ガツンと後頭部を殴られたかのようなショックが終盤に待ち構えている。予想を大きく超えたストーリー。
『かけがえのないあなた』。この短編も遥かに予想を超える結末が待っていた。僅かに道を踏み外したことから果しなく広がる奈落の世界……
本体価格670円
★★★★★ -
個人的にはこういうイヤミス系、ブラック系はあまり好きではないのだが、この作品は先が気になってあっという間に読めてしまった。
表題作「夫の骨」。登山中に事故死した夫の遺品を片付けている時に出てきた乳児と思われる骨。生前の夫と血縁のない義母との奇妙な違和感を思い出しある疑惑を持った主人公は…。
「夫の骨」とはそういうことだったのか。意外性が面白かった。
姉妹、母娘、夫婦、血の繋がりのない親子に姉妹…様々な家族とそこに潜む秘密を描く。
ヒリヒリとするような焦燥感、座りの悪い落ち着かない違和感、ムカムカするような嫌悪感、そんな気味の悪い空気が蔓延する中でついに迎える結末。
清々しさとは違うものの、溜飲を下げられるものもあり、逆に新たな迷路への始まりを感じるものもあり。
唯一「虚ろの檻」のみが毛色の違う作品。動物が悲しい結末になるのは辛いものなので良かった。
著者紹介を読むと、漫画原作を中心に書かれている作家さんのようで、この作品は作家さんの新境地というところか。個人的にはもう少し爽快な作品も書いてほしい。 -
「9つすべてがどんでん返し」という帯の惹句に違わず、どんな仕掛けがあるのやらと構えて読んでいても最後には「そうきたか!」 と思わず叫んでしまう粒ぞろいの短編集。
ちょっとこのテイスト長岡弘樹さんを彷彿とさせます。自分だけかもしれませんが。でも長岡さんの作風が好きな人ならきっと本作は面白いと感じると思います。
知らない作家さんでしたが是非他の作品も読んでみたいですね。気になる作家さんが一人増えました。 -
一番近い存在なのに
家族って 本当に遠いんだな
思っても思うがゆえに伝わらない
そして その寂しさが胸を打つ
しみじみと やっぱり人は一人なのね・・・
ミスリードすることによって
より深い 人間の情念があぶりだされていく巧い -
家族にまつわる9つの短編集。
個人的には「夫の骨」「柔らかな背」「ひずんだ鏡」が良かった。
粘り気のある狂気を感じた後に哀しさが残り、複雑な想いになるものの、読後感は悪くない。
全てが予想の斜め上をいくといった構想で、全編通して楽しめた。