- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396620745
作品紹介・あらすじ
東京新宿の高層ビル内のある企業美術館は、毎週休館日(月曜)が賑わう。区内の小中学生が、図工・美術の授業で訪れるからだ。彼らを誘導・指導するのは、美術館員ではなく市民ボランティア。子どもたちは本物の作品に目を輝かせ、その感想を皆と語り合う。これが教育現場で大評判の「対話による美術鑑賞」だ。全国の美術館や博物館が不況下で次々と閉鎖されるなか、CRS(企業の社会的責任)の一環として始められたこの試みは、地道な努力が周辺地域の共鳴を得、今想像を超えた発展を見せている。ここに、国や自治体が学ぶべき文化芸術行政のヒントがあるのではないか…。本書は、四年前まで損保業務に従事していた全くの素人館長が挑んだ、画期的「美術館改革」の記録である。
感想・レビュー・書評
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図書館でたまたま見つけて読んでみた。
おもしろかった!
「対話型鑑賞」なるものがあったとは。
ソーシャル・ビューと似ているなあと
思いながら読んでいた。
勉強になったのは、ボランティアの
ガイドスタッフの活かし方。
民間企業出身の館長らしい判断と
やりかたが、ボランティアスタッフとの
信頼関係をつくったのだなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小口さんの柔軟性、他者や職務ごとの特質(癖ともいえるが)など、
それぞれの視点を十二分に把握したが故になされた事業だなという印象。
企業で培ったその社会性や人間力が、
志を下支えし、次世代の教育の推進を推し進める原動力となる。
自分も社会で現場で学びたい。
○要点、関心語句などを以下に列記
2001年制定の文化芸術振興基本法(文化先進国への接近)→各地の地方自治体に条例の制定を求める
問題意識の明確化→教育現場、地域行政、市民ボラなど多様な価値観を共有し、連繋を図る上で重要
興味がないのでなく、鑑賞の仕方がわからない
創造力を育成する観点での文化芸術教育、相互理解の端緒とも
ゆとりではなく、言語力、想像力、考える力、コミュニケーション力の育成
生きる力 基礎基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようとも、自ら課題を見つけ、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力。さらに自らを律し、他人と協調し、他人を思いやる心や感する心など豊かな人間性(1998年 学習指導要領)
2008年 鑑賞の補強=表現偏重(表現参画は世界トップ)
社会総がかり、地域ぐるみの美術鑑賞教育
美術鑑賞教育は、文化芸術振興と次世代育成という社会的課題に関わるテーマ。学校だけでなく、地域行政、市民、企業などを含めた地域者全員のテーマ
錦の御旗の必要性
地域行政や教育委員会がやれと指示してくれればやりやすいという話もあるが、彼らはトップダウンは出来ないと考える。
国が定めた学習指導要領の基準を監視する機関、支援制度も欠如
GDP比3.4%が教育費、OECD加盟国中最低
美術館にいき楽しいではだめ。①言語活動 ②コミュニケーション ③障害への主体的興味 ④感性や思考力育成
新宿区の協同事業提案制度←点の取り組みを区という「面」の取り組みにできる。
本来行政が取り組むべき課題をNPOが提案、予算付けし、区が採用するもの
多様化する地域課題や区民ニーズを単独で引き受けるのが困難故。
多様な立場の人間の連繋 =教育委員会・学校という教育機関、美術館・生涯学習財団などの社会教育機関、文化などに関する事務や地域の総合的な連携を担う首長部局などにより地域ネットワークを形成
学校の鑑賞教育に関する行政との連携相手は教育委員会事務局ばかりではなく、地域の文化行政の担当部署も念頭にいれる必要がある
1980年代後半のニューヨーク。VTS.
あくまでも入門者向け。
小説を読む時に解説を読まないのと同様、美術も。 -
2月19日とびらプロジェクトフォーラムにて、著者小口弘史さんのお話を聞き、この本を知る。
図書館で借りて読む。
損保ジャパン東郷青児美術館での「対話による美術鑑賞」の実践がよくわかる。この本で紹介されていた「まなざしの共有」(淡交社)も読んでみたい。今度、東郷青児美術館へ行ってみたい。大人も参加できる「対話による鑑賞」もあるようなので。 -
参考になった。
私立だというところがかえって、意地になるではないがモチベーションを維持出来た要因の一つではないか。 -
題名がすべてを語っている
こんな「取り組み」が日本の中であることに拍手を贈りたい。
ただ、中身がお役所の報告書っぽくなってしまっているのが、残念。