- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396767495
作品紹介・あらすじ
2018年 “心が救われるマンガ” No.1!!!
雑誌、SNSで大絶賛の話題書!!
[ダ・ヴィンチ][an・an][BRUTUS][TV Bros.]等
歩み寄る女王と子犬。
両親の事故死により、田汲朝(たくみ・あさ、15)が
小説家の叔母・高代槙生(こうだい・まきお、35)の家に住んでしばらく。
親友・えみりを家に招いた朝だったが、槙生の人見知りが発動。
「超超超超ひとりになりたい」と槙生は執筆に没頭した……。
こちらを拒むかのような槙生の背中に、しょげる朝。
そこへ通常モードに戻った槙生は―――?
不器用人間と子犬のような姪がおくる
年の差同居譚、手を繋ぎ合う第3巻!
感想・レビュー・書評
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-彼女はわたしのさみしさを受け入れてくれたが
理解はしなかった
-わたしを愛していなかったが
好ましく思っていると彼女は言った
-わたしを家に引き入れたのに
ひとりでいたがった
-わたしの感情が わたしだけのものであるように
彼女の感情も また 彼女だけのものだった
-違う人間だった
この作品は全体が詩のようだ。
詩的な文章が並んでいるから、というだけでなくて
上手く言えないが詩のような語りかけで訴えられている気持ちになる。
槙生ちゃんは人がいるだけで苦痛だというのに、がんばってて偉い。
大人としての矜持だけですべての苦しみに耐えているような。なぜそれが出来るのだ。俺にはできない。できるようになりたい。
新キャラの弁護士がいい味だしてて好き。
「朝は無条件でなんかしてくれる人たちをなくしちゃったんだから、あたしがそうしてあげなさいって」
「だからー、あたしはいつでも無条件で朝を助けてやろって思ったの!!」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供がいいと思うバンドを揶揄したり、入る部活ですらアドバイスという名の強制をしたり。かと思えば「やりたいことは何でもやりなさい」と言う。
あ”ーーーーー耳が痛いーー。
槙生は朝の息苦しさを理解できないと言う。
「あなたとわたしは別の人間だから」
でも「少なくとも …あなたが健やかで悲しくなくいてくれればいいと思ってる」
朝は「いやだ さみしい」と感情をぶつけるけど
きっと槙生は朝の砂漠を理解してくれているのだ。
笠町くんと槙生と朝の3人が ぎゅうぎゅう詰めのソファに座って朝の好きなバンドのベースの良さを語り合うシーン。
これだ、と。
私が「子供には斜め上の大人が必要だ」と考える理由が描かれている。まるで小説のように。
この夜、朝は、自分だけが知らない国にいるのだというような心地で眠らない夜を過ごした、というのが何よりの証拠。
槙生が朝を子供としてではなく、一人の人間として尊重していることを 朝が分かってくれる日が来ますように。 -
人は違う、
でも、えみりが走って
朝のとこきた表情は心が動く -
・朝の高校生活スタート
・えみりと槙生、知り合う
・弁護士先生登場
な3巻です。
槙生さんの他者との接する態度がすごく好きです。寄りかからせてくれない槙生に朝は不満そうですが、でも槙生の朝を思いやる気持ちは伝わってきます。弁護士先生もいい人で良かったです。 -
すごい。
登場人物全員に、それぞれの思いと考えと個性があって、人間社会そのものを最小人数で描き出している感じ。
痛みを知っていて、ちゃんと人間らしくて、不器用で、優しくて、でも身勝手なところもあって、愛おしい。
生きるって息苦しいけど、前に進んで行かなきゃって気になる。 -
朝の高校生活が始まる!ドキドキの高校デビュー。ぼくは母校から来た人が他に2人しかいなかったから、友だちできるかどうか不安だったなあ。後ろの席がクラスのムードメーカー的な存在でとても助けられた。ぼくの人生の中で最も充実してたのが高校生活かもしれない(遠方なので、今は友だちと交流がないけど…)。
朝は目立とうとして、両親の事故死と叔母が小説家だということを話してしまう。卒業式では嫌だったことを入学式でアピールに使うとはやっちまったなー!と。本人も言語化できない後悔を抱いていて、そこに追撃の「『きちんと目立つ』って努力の上だけに成り立つことでしょ」とナチュラルに一刀両断。さらに、「軽音部に入るのはお母さんが嫌がったから」のくだりで、「『もういないじゃん』と思ってね……ま いたところであなたの人生だけどね」というトドメまで!これは槙生が正しいけれど、言い過ぎだと感じる。二度と母に接することができない朝に向かってこれはない。このあたりはお互いの距離感を測りかねてる感じだなと。
「彼女はわたしのさみしさを受け入れてくれたが 理解はしなかった
わたしを愛していなかったが 好ましく思っていると彼女は言った
わたしを家に引き入れたのに ひとりでいたがった
わたしの感情がわたしだけのものであるように 彼女の感情もまた彼女だけのものだった
ちがう人間だった」
気休めの言葉も言わないところが槙生らしい。朝にとってはそれが混乱と怒りへと繋がってしまう。両親の干渉はもうないが、彼女の中に両親の言葉は残っている。それは「なりたいものになりなさい(ただし、わたしが認めたもののみ)」という矛盾したメッセージ。これはぼくも同じ体験をして、両親の思うように生きるのが正しいと進んでいたら、社会人になって急にパッと手を離された。一番悩んでいる時期になりたいものはないのか?と聞かれて、「急に決めろと言われてもわからない」と立ちすくんだ。言うことを聞いても、親は何にも責任はとってくれないと、人生が詰んでうつ病と不安障害になってやっと気づいた。その干渉は愛情なのか、それとも愛情を建前にした支配なのかは見極めないといけない。
後半の弁護士・塔野とのドタバタ劇で肩の力が抜けたかな。なんだかんだで心強い大人たちが朝にはいてくれてよかった。 -
受け入れるけれど、理解しない。
愛していないが、好ましい。
引き入れたけれど、一人でいたい。
近くて遠い、他人との距離。 -
読了。友達が走って戻ってくるシーンが良かった。安心した。