- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784403210617
作品紹介・あらすじ
打ち身ネンザ文学痛によく効くシバタの書評散。ゴ本!ときたら、まず一冊。
感想・レビュー・書評
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書評本を読むたびに思う。
世の中に読みたい本の種は尽きまじ。
でもこの本に紹介されている作品の中でさえ、読んだことがあるのはほんの少しなんだよ。
とりあえずジュリアン・バーンズ、ジャック・フィニィ、ニコルソン・ベイカーなどをリストに追加。やれやれ。
おっと、国産品も。山室恭子を1冊。
特別付録として、『93年度早稲田大学高等学院入試問題(国語)より』が収録されているのだけれど、これが結構難しくて面白い。
例えば
シティライフをエンジョイするナウなギャルのハイセンスなファッションのためのホットなアドバイス
についての、文法的な説明として正しいものを一つ選べ
イ カタカナ語が多く入ったために、文法構造が変質してしまった。
ロ カタカナ語は、自立語だけでなく、付属語にも影響を与えている。
ハ カタカナ語は、体言や、用言の語幹になるのみで構文に変化はない。
ニ カタカナ語に外国語が反映するので、全く意味の通らない文となった。
ホ カタカナ語をカタカナで表記することによって、伝達内容が明示される。
むむむ。真剣に悩む。
正解は書いていないので、ただ考えただけなんだけど、真剣に考えるって面白い。
よし、私も真剣に本と向きあおう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ユーモア溢れている。
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紹介されていた本を2冊ほど読んでみた。
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装丁がキュートな、柴田元幸さんのお店…現代アメリカ文学を中心とした、本にまつわるエッセイ集です。書名がなかなか人を食っているうえに、まえがきがお店のあるじの口上チックにしつらえられており、楽しんで作られた感触があちらこちらから伝わってきます。「たなぞう」の画像データでは帯が外されているのですが、この帯が「打ち身 ネンザ 文学痛によく効く…」との惹句で、悪ノリ感がなかなか楽しい(笑)。イラスト全般を手がけておられる、きたむらさんの作風が可愛いながらもちょっとシニカルでハードで、各ページではそれぞれのエッセイとの巧みなコンビネーションを楽しむことができます。可愛らしいビジュアルに目を奪われてしまいますが、エッセイの質も高い。ご専門の現代アメリカ文学をふまえた、本とあれこれに関する考察は、ほどよい真面目さと緻密さを交えて心地よく読めます。それに、おとぼけのスパイスも効いていて、くすりと笑うことしきり。ナボコフの訳で有名な若島正さんを「小説という病がどんどん悪化していって、もはや治癒不可能となることを夢見ている」って…若島さん、いいのか(笑)。ただ取り上げた本を賞賛するだけでもなく、穏やかな皮肉でやんわりとであっても、きちんとダメ出しがされていて心地いいです。ご自身と英語との取り組みを語る『私と英語』の「僕の語学力はチャチ」というくだりには「本当?」とも思いますが、飾り気のない柴田さんのキャラが透けて見えるように思いました。巻末に「柴田商店 在庫リスト」として、取り上げられた書籍がまとめられており、次に読む本を探すにも親切な設計です。『それは私です』のクレイジーさとは少し離れた、でも誠実で楽しい本ですのでこの☆の数です。-----[2008.10.26 未読リストアップ時のコメント]-----このメガネ招き猫の表紙がキュートな本はかなり前から気になっていたのですが、いつの間にやら記憶が消し飛び、このたび読んだ『それは私です(同じく柴田さん著)』の広告ページで再会しました。「舶来」という素晴らしくも微妙にアナクロな単語の響きにやられ、お取り置きです。