1~5巻を一気読みして、記念にレビューです。
1巻から立て続けに感想を書いています。
この巻は、ガブリエル(受)もベルナール(攻)も傷ついた話でした。
互いに魂の伴侶として、愛情を確かめ合い支えあう二人ですが、フランス王家の政情は悪魔のような波に翻弄されます。
よく死なないな、とこっちがヒヤヒヤするような展開が目白押しで、けっこうなベッドシーンがあったはずなのに、前巻のような甘々な雰囲気にはなれないのです。
ガブリエルが、騎士としても優秀な人物でほんとに良かった。
これが守ってもらわなければ生きて行けないようなお姫様受だったら、ベルナールはガブリエルを守って、とっくに死んでいたと思います。
ベッドの中では優しく時に激しくリードするベルナールと、恥じらいつつも時に淫らに求めるガブリエルなのに。
身体能力も剣の腕も一級な、騎士の上官と部下で、お互いの背中を任せられる関係って、萌えますね。
そんな二人の間に、大きな亀裂が生まれます。
ガブリエルが、幼馴染で今は政敵のクロードにさらわれてしまうのです。
大切なガブリエルを、狂ったように探し回るベルナール。
クロードがガブリエルに恋慕していることを見抜いているベルナールは、ガブリエルが汚されてしまうのではないかと、気も狂わんばかりです。
ベルナールに助けられた後も、ガブリエルは平静ではいられませんでした。
かつての友に裏切られ、最愛のベルナールとは心の距離が生まれてしまいました。
耐えきれなくなったガブリエルは、ベルナールの前ではじめて本当の自分をさらけ出します。
「殺してくれ」
それは誇り高い騎士として、男としての矜持を捨てた、一人の人間としての悲鳴でした。
ベルナール、あんた鬼や。。
傷ついているガブリエルを、もう少し労わろうよ。
だから「うっとおしい」って、いまだに言われてしまうんですよ。