イエスかノーか半分か (ディアプラス文庫)

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  • 新書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403523649

作品紹介・あらすじ

人気若手アナウンサーの国江田計は極端な二重人格。王子と称される完璧な外面と、「愚民め」が(心の)口癖の強烈すぎる裏の顔を持っている。もちろん誰にも秘密だ。そんなある日、取材で知り合ったアニメーション作家の都築潮と、オフモードの時に遭遇してしまう。幸い都築は、くたびれたジャージにマスクの男があの国江田計とは気づかない。けれど怪我をした都築の仕事を、計はしばらく手伝う羽目になり…?

感想・レビュー・書評

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  • 一穂さんのBLは…ただBがLするだけじゃない所が凄い(*´ω`*)
    TV局の内情、アナウンサー、スポンサーetc
    もうお仕事小説として面白い!

    BがLじゃなかったなら月9でドラマしてるんだろうなぁ笑笑

  • 興味が前からあったけれど、読まずにいたことを後悔するくらい、感動した。
    BLだけじゃないのも、よかった。

  • クレイアニメーション作家×毒舌猫かぶりアナウンサー。
    とにかく、受けが魅力的。仕事は完璧、今をときめく人気アナウンサーなのに、その本性はありとあらゆるものに毒付く超毒舌。ただ、それを相手にぶつけることはなく、ただ一人で内心で罵って、また自分の仕事を全力でこなす。
    たまたま素の自分でいるときに出会った攻めと、身分を隠して友達付き合いを重ねる受け。
    誰にも頼らず常に完璧にこなしてきた受けが、初めて「助けて」って出したSOS。そのSOSを受け止める攻めが最高にかっこよくて、何度読んでも胸がときめく。
    BLとしてはもちろん、お仕事要素の部分も面白くて、業界奮闘ストーリーとしても最高。
    一穂さんの作品はたくさん読んだけれど、最高傑作と言えるほど好きな作品。

  • 優等生で外面を完璧に取り繕いながら素顔はがさつで超毒舌、心の中での口癖は「愚民が」の俺様キャラ。表裏を完璧に使い分ける、ある種の二重人格の王子様アナウンサー計はひょんな事から仕事で知り合った【表】の顔を知る相手、ストップモーションアニメーション作家の潮と素顔の自分で対面してしまい……。

    何でもそつなくこなす完璧な王子様、と見せかけて人一倍真面目で勤勉な努力家、家族以外に一切素の顔を見せないよう気を張って虚構の世界を生き続ける計はある種不器用なのかも。
    性悪と取られても仕方ないイイ性格なのに、清々しい程の毒舌の裏での並外れたたゆまぬ努力や苦悩をきちんと描かれているからか、計のキャラクターは嫌味には感じられずとても可愛い。
    表の顔と本音の使い分け、【仕事】を通じての人間心理の描き方、脇キャラまで余す事無くイキイキ描かれるキャラクター造形、畳み掛けるような会話の応酬のテンポ……やっぱり上手い人だなぁとしみじみと。
    当初は単発作の一作目でなおかつ雑誌掲載と尺は限られている中で『優等生アナウンサー』国江田計の虚像を演じ切るための立ち居振る舞い、影の努力の必死さ、当然ながら裏の顔を知っている家族との関係性が良好であることを告げる母親との電話でのやりとり……と、テンポよく運ぶストーリーの広げ方、各々の人物像の掘り下げられた方はキャラクター小説としての奥行きと厚みがびっくりするほど深い。
    設楽さんの「食えない」人物像や同期の麻生アナとの関係性を匂わせたバックグラウンドは既に一作目から色濃く描かれていて、そういった点もこの物語を「ふたりの恋愛」だけに留めない魅力となっているんですね。
    (潮が受賞後コメントで「ばーちゃんが」と小夜子さんの話を出すあたり、いまとなるとすごく切ない。散りばめられた要素が後々で生きていることが再読するとわかりますね)

    極端に誇張したフィクションのキャラクターとして面白おかしく描かれながらも、どこかしらシンパシーを感じずにいられない痛みや不安を吐露する場面はひたすらに胸が苦しい。
    裏の顔のままご近所同士として知り合ってしまった矢先、気さくに話しかけてくれる潮との会話を楽しんでいるあの最初の場面から孤独を癒やされ、心動かされていたのかも。
    どんどん気の置けない関係性が育っていき、「国江田さん」と「オワリ」の両方で接していることから潮の内面にどんどん近づいていくにつれて仮面の下の感情を揺さぶられる計の思いの移りゆく様がハラハラしながらも切なくて目が離せなくなってしまう。
    気を張って生きてきた計にとって、目を逸らそうしてきた自分の核の部分に触れようとしてくれた、全てを分かっても許容してくれた潮は唯一無二の自分の気持ちを預けてもいいと思える存在だったのかなぁ。どこまでも真っ直ぐに向き合おうとしてくれる潮の態度に心を掻き乱されてしまう場面がすごく切ない。
    シリーズを通して読んでみると改めて、潮に「両方好きだから」と受け入れてもらえたことは計にとって本当に大きなことだったんだなぁと。
    「なりたくてなったわけじゃない」中で「アナウンサー国江田計」を作り上げた計と、ひとりで黙々と手を動かして自分の中に浮かんだ世界を動かしていく潮の仕事へ向かう姿勢は対象的でありながら、惹きつけ合う部分がきっとあったんですね。

    成り行きでなってしまったからこそ、誰にも負けないように努力をしてきたーー勝ち続けなければいけなかった、と国江田さんの姿で誰にも打ち明けたことのなかったはずの本音を話した翌日が「ザニュース」の初回オンエア当日。
    政治の話題をあれだけ軽やかに色鮮やかに生き生きと読ませる手腕、潮の助けがあったからこそ、一皮剥けた「国江田計」を見せつける鮮やかすぎる本番を経てからの告白の流れは爽快感溢れる心地よさ。
    告白したら次の瞬間にはベッドに押し倒されるのはBLのお決まりなんだろうな〜〜正直仕方ないんだろうな〜〜と思いつつも、口の悪さはそのまんまにいつしかみるみるうちに翻弄される計、対する潮のテクニックがみごとに展開されるめくるめくラブシーンはひたすらにかわいい。
    このふたりのラブシーンは会話の応酬がとにかく楽しいですが、半ば無理矢理押し切っての初回ならではの落とされっぷりが楽しいですね。
    綺麗な国江田さんプレイでの泣き落としで誤魔化されないところ、かわいそうだけれどかわいいので仕方ないね。笑

    BLはくっつくまでの波乱万丈ありきなのでしょうが、一穂さんは寧ろくっついてからが本番、と感じたのが両方フォー・ユーでした。
    思わぬライバル皆川くんの登場からのやきもちと本音のぶつかり合いが可愛くて仕方ない。
    恋愛経験がまともにないが故に、嫉妬されていることに優越感を焼いたり、持て余した感情にやきもきしたり、は恋愛が始まったころの特有の高揚感なんだろうな。
    空回りしてめいっぱい威張る計を「アホ」と切り捨てる潮はさすがだな。(そういうところも好きなんだよね。笑)
    初っ端からかわいくも生々しいラブシーンがシチュエーションを変えてたっぷりありながら、「会社員」としての理不尽さに苛立つ計VSフリーランスとして後ろ盾のない状況で闘い続けるしかない潮の仕事人としての生き方も背景にはきちんと描かれているあたり、ちゃんと奥行きが深い。
    包容力ナンバーワン、と言われる潮の人間像のバックグラウンドや仕事への向き合い方、生き方が初期からちゃんと余すことなく掘り下げられているのがここまでシリーズが広がった一因なんですよね、きっと。

    「読み」の技術力では計にはあからさまに劣るが圧倒的な愛嬌で世渡り上手、正攻法の努力型の計とは異なる手段で自身の道を開こうとしてきた姿、計の素顔を思いがけず知っても怯むことなくガンガン攻めていき、潮ともあっさり仲良くなってしまう皆川くんのキャラクターはありがちな当て馬キャラには留まらず、たいへん痛快。
    半分でいいから、と半端な気持ちで迫る皆川くんへの潮の堂々たる啖呵の切りっぷりの男前具合も、潮に気持ちの全部を預けたい、全部が欲しくて堪らない計が本音を曝け出して泣くシーンがいじらしくて可愛い。
    計が本音を打ち明けられる、弱音を吐き出せる場所は潮しかいないから「半分」なんかで耐えられるわけがないんですよね。
    「大衆にちやほやされたい」からどれだけ苦労がのしかかってもこの仕事を辞めるつもりはない、と言い切る計の清々しいまでの突き抜けっぷりと「どうしようもないアホだけれどそこも含めて心から愛している」と言い切れる潮、これを見せつけられるとそりゃあ怯むよね。
    その後も散々蒸し返される「次はジャーマンスープレックスの刑」は読み返すと思わずニコニコ。
    完璧な外面を装い続けるのと反面の不器用ないじらしさ、清廉潔白な王子様のえっちでかわいい側面を引き出してくれる潮とのやりとり、互いを求め合うことと愛情のありかたがぴったり重なり合うふたりのラブシーンは遠慮なんてすこしもない大胆な会話も含めて最高にかわいくて愛おしい。
    たしかにこんなにいやらしくてかわいいのを知っていたら涼しい顔でテレビに出ている姿を見ると混乱する。笑 嫉妬する、と素直に言えるところがいいよね。

    正直一穂さんじゃなきゃ読まないタイプのお話でしたが、『ならでは』の世界が溢れていて終始楽しくハラハラきゅんきゅんさせられました。
    ここから広がっていった最初の一歩かと思うと感慨深いなぁ。

  • 堪らん…堪らないほどに良すぎた……。
    正直申しますと、これまで読んできた
    一穂ミチさんの一般文芸はどうしても刺さらず
    苦手意識の方が大きかったんです。
    ただ昨年末からBLノベルにどハマりして、
    それなら普及の名作は読むべきよなと思い!
    読んでみたらもう凄かった、最高最高最高と
    すみません呟きながらに読んでしまいました、、、
    軽く見えるのにめちゃくちゃ心の大きい潮と
    外面と内面、天と地ほどのギャップがありすぎる(それも悪い方に)計。
    二人がどうやって心を通わせていくんだろうと
    ワクワクドキドキしながら読んでる時間が、
    小学生の頃初めて読んだ少女漫画みたいな
    ときめきで、最高でした!!!!
    とろとろに甘やかされる計が可愛くて。
    え、この世にはまだまだこんなに面白くて
    心が揺れて感情がダダ漏れになってしまう作品が
    沢山あるんですか…コンテンツ大国日本ありがとう…。

  • 初めてのBL小説。新鮮でした。爽やかな恋愛小説。

  • 大好き。何度も読み返しています。

  • 昔読んだはずだけど、再読したらもうものすごく面白くて面白くて、こんな面白い小説読んだことあったっけ?って思った

    口も性格も凶悪。だけど、真面目さ素直さ鈍感さどれを取っても可愛くて可愛くて、チョロくて潮に見透かされてるところもバカワイイ。

    素晴らしいカップルだと思う。続きもすぐ読む。

  • ゾーンに入った計が巧みに番組を進行していく描写に緊迫感があった

  • 初読み作家さん。
    前々から気になっており、一番人気作っぽいものを、ということでこちら。
    受の倫理観にちょっとひっかかりはあるものの、包容力攻xツンデレ受好きとしてはなかなかおいしくいただけました。
    続きも購入。

    ただ、エチシーンがイマイチというか苦手な感じだったので★は4つ止まり。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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