ひつじの鍵 (ディアプラス文庫)

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  • 新書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403524066

感想・レビュー・書評

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  • ▼あらすじ
    金持ち学校に通う高校生の羊は、父親のカード会社のコンシェルジュ一色と知り合う。
    どんな難題でも叶えてみせる彼に夢中になる羊だが……?

    ***

    一穂ミチ先生の作品を読むのは『シュガーギルド』、『ステノグラフィカ』に続いてこれで3冊目です。シュガーギルドとステノグラフィカがかなり面白かったことと、絵師さんがあの“まおうさまシリーズ”で有名な山田2丁目先生という事もあり、期待して買ったのですが、実際に読んでみたところ、ちょっと期待し過ぎたかもしれないな…と思いました。

    とりあえず良かった点を先に挙げますと、やっぱり文章はとても良かったです。
    今回はある意味、今時のライトな作風で『シュガーギルド』や『ステノグラフィカ』と比べると明るく、読みやすい内容に仕上がっているのですが、それでも一穂先生特有の心にストンと落ちて来るような不思議なリズム感の文章や言葉選びのセンスの良さは相変わらず健在で、素直にああ…好きだな…と思いました。
    また、特に良かったのが攻めと受けの言葉の応酬で、“台詞”ではなく生身の人間同士の“会話”に近いと言いますか、テンポ良く繰り広げられる軽快且つ自然なやり取りに何度もクスッとさせられ、こういった然り気ないところでリアリティを出せる一穂先生は流石だと思いました……が!

    今回、何が一番残念だったかって、攻めと受けが早々にくっ付いてしまったこと!
    しかもこれがまた唐突に両想いになった感が半端ないのです…。
    羊が一色に惚れたのはまぁ分からなくもない。でも、一色は羊のどこに惚れたの?
    いつの間にそんなに好きになったの?ってとにかく疑問に思ってしまうくらい理解出来なくて、これなら攻めの視点も書いてほしかったな、と思いました。
    正直、羊に惚れるようなこれといった要素やエピソードは私には無かったように思えましたし、羊なんて見た目も中身も子供そのものだから、そこが可愛いっていうのは分かるとしても、ただそれだけで恋愛感情抱くかな…?と疑問に思うんですよね。まぁ、それだけで恋愛感情抱いているようにしか思えないから二人の関係が浅く思えてしまって納得出来てない訳なんですが…。

    攻め自身、後半で「ちょっと急ぎ過ぎた」と言っていますが、まさにその通りで。
    エロよりもストーリー重視派の私としては、えっちは一回で良いからくっ付くのはもっと最後の方でも良かったのになぁ…と凄く残念に思ってしまいました。
    また、受けの親友で、幼い頃から受けに密かな恋心を抱いている和楽というキャラ出て来るのですが、個人的には和楽の方がずっと感情移入で出来るキャラで、和楽が受けに「好きだよ」と告白したシーンは心にズシッときました。
    受けのどこに惚れたか分からない一色の告白よりも、受けの事をずっと傍で見守って来た和楽の告白の方がずっとずっと心に響きました。(これってどうなの…)
    とにかく和楽が報われなさ過ぎて辛いので、スピンオフとかで幸せになってくれないかなぁ…うう…切ない……(;_;)

    …とまぁ、色々言いましたが決して面白くなかった訳ではなく、攻めのオンオフの差の激しさは衝撃的でしたし、「こら」からの「会いたいぞ」発言のように、恋愛体質ではない攻めの口からちょいちょいキュンとするような台詞が出て来たりと思わず萌えてしまうようなシーンも沢山あったので楽しめたのは事実です。
    ただ、やっぱり二人の関係をもう少しじっくり進めて煮詰めてほしかったというのが正直な感想なので、評価は★を1個減らして★4という事で…!(;>人<)

  • 父親の仕事の関係でコンシェルジュを知った受け。到底無理な難題を軽くこなしてくれてビックリした相手とトイレで見かける。そこでは素に戻った攻めの顔を垣間見て興味が出て、その男に会うためにいろんな頼みごとをしてしまう。攻めは何の心配もないようにその頼みごとを解決してくれるので、受けにとってそれは地に足がついていないような今の生活の自分を少しだけ確かに地につけてくれて安心する。

    血の繋がってない親も昔からの金持ちじゃないので、自分の今の立場にまだ慣れない受け。そんな中出会ったコンシェルジュという仕事の大人の男に惹かれるのは当然で。
    素直でワガママを言わない受けが辛いのを辛くないように生きていこうと自分の気持ちをフラットに保とうとするそれが悲しい。攻めはきっと大人の視点でそういうの見えちゃうのよね。

    好きな作品です。

  • 攻めが某国江田さん系だった(笑)そのギャップもすごい良かったけど、羊がイマドキで小生意気なだけのほわほわな子だけじゃなく、外に出さないだけで中に抱え込むというかちゃんとしてる子だったのも良かった。名前の羊とひつじをかけて、作中一色さんにからかわれてるのとか、2人の会話のテンポ可愛くて好き。友達の和楽のイラスト見たかったなー。

  • 年の差カップル。
    カード会社のコンシェルジュとか、そんな職業初めて見ました。読み始めと中盤以降で、キャラの印象180度変わる。一色さんは素の時より丁寧な言葉遣いが萌えるな。

  • ★3.5

  • 一色さんは、大人な計のような人だね。こんなキャラ好き。
    羊も、可愛くていい。

    でも☆3なのは、多分挿絵。
    嫌いな絵柄じゃないのに、なぜか読みたいってワクワク感が薄くなっちゃう。
    どこか、私とマッチしなかったんだろうなぁ。

  • カード会社のコンシェルジュ・一色×高校生の羊。
    一穂さんのさらりと読ませるところはいつもながらさすがだなーと。羊と父ちゃんのやりとりがほのぼのあたたかくて好き。
    一色の素の表情が忘れられず些細な頼みごとをしてしまう羊と、本来受けなくてもよい頼みごとに根気よく付き合う一色。一色側からの探りというか見守り的な感じなのがよかった。そしてオフモードでの羊とのやりとりも軽快で楽しかった。

  • 一穂ミチ×山田2丁目。
    このタッグやばいな。
    歳の差や社会的立ち位置のせいでお互いに悩み惑うのって最高に身悶える。
    続編やってくれないかなぁー

  • カード会社の有能コンシェルジュ×セレブ高校生。
    雑誌で読んでとても気に入った作品です。
    センセのキャラらしく公私の落差が激しいコンシェルジュが最高でした。
    対する高校生の羊も、義理の父親を大切に思うやさしさと状況を冷静に受け止めるクールさの両面を持っていて、言う事は軽いノリだけど実は一人で抱え込んでしまうタイプ。意外にかわいくてセンシティブな子羊ちゃんでした。

    二人の出会い方も衝撃的で、冒頭からぐいぐい引き込まれる展開。一色のコンシェルジュとしての仕事ぶりがあまりに鮮やかで、目が♥にwww
    こんな人がいたら心強いですよね。もちろん、その仕事ぶりの裏にはただならぬ努力と苦労があるわけだけど。
    オフの一色は飾らないズケズケもの言うタイプで、でもきっと色々乗り越えてきたんだろうなと思える大人の男。羊が素直に自分らしさをぶつけることのできる相手でした。

    書き下しの後日談「ひつじの夢」は、一色の仕事のせいでなかなか会えない羊の切ない気持ちにキュンとさせられました。
    でも、けっこう甘い仕上がりw
    一色もそこまでするのは、羊にメロメロだという証拠ですよね~?
    エロ的にも甘くて萌えました。Hの合間に挟まれるやりとりが面白すぎw

    父ちゃんがかわいかったです!和楽には幸せになってほしいです…
    イラストもイメージに合っていてよかったです。
    笑いあり涙ありで、胸キュンがてんこ盛りでした!

  • お仕事もので年の差で非常に楽しかったです。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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