死にとうない (新人物文庫 ほ 1-1)

著者 :
  • 新人物往来社
3.60
  • (1)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 27
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404038623

作品紹介・あらすじ

誰も、わしの過去を知らない。わしのたどってきた茨の道を知らない。あまりにも恥深き半生だったゆえに、わしも、おのれの過去をことさら口に出すことはしなかった。病床に臥した仙〓(がい)の眼裏に、七十年近い昔の乞食旅をつづける雲水姿が浮かぶ。「大悟透徹した禅師」「無欲恬淡の風雅人」「童心をもつ洒脱飄逸の大和尚」などと評される仙〓(がい)だが、若き日に投身自殺まで図った苦悩の修行と悟りを重ね、たどりついた境地-八十八歳にして、新しい発見をする。日々、新しい世界がひらけてくる。死にとうないのう…。名僧仙〓(がい)義梵の漂泊の生涯を描く歴史長篇小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「□△○」の揮毫や、ヘタうま系?ゆるゆる系?な戯画で有名な江戸時代の禅僧、仙厓義梵和尚の伝記、てゆーか小説。

    いまわのキワの言葉が、タイトルの「死にとうない」だが、高僧に似つかわしくない未練の言葉。その真意に至る過程が凄いんである。高僧である以前に人間だもの、それはそれは煩悩と迷いにまみれた半生だったのである。そうした煩悩と向きあってこそ、見えてくるものがある。

    胸打たれる生涯であった。

  • 小説読むのが久しぶりだったが面白かった

    月船門下の仙崖の兄弟子がみな暖かく、仙崖の気性の激しさを理解しながら見守ってるのがとても印象に残る
    史実についてはもう少し突っ込んで知りたいところがあるけれど
    あの時代に横浜から九州まで行脚されていたかと思うと距離感にくらくらする

    "死にとうない"から始まって、"死にとうないに"戻ってくる感。
    辞世の句としていい言葉。

    出家したくなるような本。
    ちなみに、この作者は知らない人だったのだけれど、
    この本は過去直木賞の候補であったらしい。

  • おととし、出光美術館の展覧展で知った江戸時代後期の禅僧、仙厓さんの生涯を描いた小説。若いころは昇進や名声への業が深く苦悩したんですね。展覧会でユーモアあふれる禅画にほっこりしたのを思い出して、より読書が進みました。歴史小説ですが、ライトノベルのような文章で、サクサク読めます。
    小説とは関係ありませんが、仙厓さんが若いころ修業したという、武蔵国永田(現・横浜市)の東輝庵(とうきあん)。全国から学僧が集まる修行の場だったそうですが、今も宝林寺というお寺があるそうです。いつか機会があったら行ってみたいな。

  • 2012年 4月最高の一冊でした
    2015年 9月
    2017年11月 3回目の完読

全3件中 1 - 3件を表示

堀和久の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×