肉筆幽霊画の世界

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
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本棚登録 : 76
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404043153

作品紹介・あらすじ

東京の全生庵・三遊亭円朝幽霊画コレクション、大阪の大仏念寺に伝わる謎の幽霊画コレクション、福岡の吉川観方の幽霊画コレクションほか、各地に伝わる幽霊画を集めオールカラーで掲載した、幽霊画集の決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 幽霊の絵ばかり。おもに江戸時代だが昭和のものも。

    編集がうまい。各々に「幽界きっての美女、お菊さんの誘惑」「あら、割れてないお皿もあるわ」などにくい見出し文が大きくつけてある。

    「丸山応挙」からはじまり、「美人幽霊画」「飛び出す幽霊画」「怖い幽霊画」と続く。最初は、ほー消え入りそうな美人じゃない、と思っていたが、「恐い幽霊画」になると形相もグロテスクになりアバラも見えてくる。さらに「ユーモア幽霊画」では伸びた歯に「私、キレイ?」と見出しが付き、吉川観方「朝露」昭和23年、お岩さんを紹介。「男の幽霊」では、谷文晁の「幽霊図」。最後に「骨骨ロック骸骨画」では伝・丸山応挙の「波上白骨座禅図」などを紹介。

    「美人幽霊図」のくくりで、月岡芳年「幽霊図」を紹介しているが、これは、腰巻に上半身裸の後ろ姿に赤子の脚と左の乳がみえ、腰回りには血が。これは女が出産で亡くなったことを表わすという。・・

    表紙は鰭崎英朋「蚊帳の前の幽霊」明治39年(1906)英朋は美人画や相撲画を得意とした。26歳時の作品。

    1枚ごとに画家、題名、年代、大きさ、所蔵、短い説明。最後に板橋区立美術館長:安村敏信氏の「幽霊画はどこから生まれてきたのか」の解説文4p。

    2013.3.27第1刷 図書館

  • 幽霊画といえば円山応挙が思い浮かぶが、本書では有名な江戸から明治にかけての日本画の絵師、浮世絵師による肉筆幽霊画を約100点を掲載している。
    幽霊画は圧倒的に女性が多いそうだ。まあ確かに絵になる。
    情念、妖艶、凄惨、畏敬、淫美、優美…。絵師の描き方によって様々な様相を見せやすいし、そもそも絵としての鑑賞として成り立つし。
    このテーマの展覧会が開催されれば人気が出そう。

  • 円山応挙 反魂香之図 幽霊図(二種類)綺麗系なほう。
    長沢芦雪 幽霊図
    月岡芳年 幽霊図 背中が綺麗…。
    伊藤晴雨 幽霊図 美少女の悲哀漂う町娘姿。
    鰭崎英朋 蚊帳の前の幽霊 凄艶そのものの美女幽霊。
    小林永濯 お菊の亡霊図
    池田綾岡 皿屋敷 あえて面輪を描かない美女。
    渡辺省亭 幽女図 まるで生きている美女のよう。
    池田蕉園 幽霊図 ベスト横顔美女!
    作者不詳 牡丹灯籠 究極の片思いの道行。お露さん、綺麗です。
    作者不詳 雪女 こんなにも可憐な少女の幽霊なら、見つめていたい。
    谷文一 燭台と幽霊
    松本楓湖 花籠と幽霊

    気に入った幽霊画のタイトルを列挙してみました。
    すると私の好きな幽霊画は、美人画の範囲に含まれる、
    優艶かつ凄艶な作品に偏っていることが解りました。

    幽霊といえば女性というのは、割と伝統的な意識なのだと
    大学の美術文化史で学びました。

    しかし、佐倉宗五郎の幽霊図のように、男前な幽霊もいるので
    もっと探せば美男の幽霊にも出会えるかもしれません。

    応挙の幽霊図をはじめ、気品高い高雅な幽霊画もありますが
    これらはやはり、恐怖も突き詰めれば美につながるという発想と
    既にごく普通の美しい絵を所蔵していた人々の、季節に対する
    洒落っけや、ちょっと色合いの違った美術を愛した証なのだと
    教わりました。

    しかし、私がリストにしたものは美しいですが
    この本に収められている幽霊たち、本当に不気味で怖く、
    子供の頃には見たくないわと本当に思うものもあります。

    美人画や風俗画が大好物の私としては、リストにした
    幽霊美女たちの素晴らしさが忘れられないので、購入しようかと。

    しかし、各絵師たちについての解説は、本当にあっさりしていますので
    美術がお好きで、このようなジャンルの絵画がお好きな方なら
    もう少し詳しい美術書や美術事典に当たられる事をお勧めします。

    このようなジャンルの本にしては安価な方なので
    気軽にお手に取れることでしょう。

  • 肉筆の幽霊画がたくさん紹介されており見応えがある。解説文やコラムは少なめ。「うらめしい絵」の読み応えが凄かっただけに少し物足りなさはある。

    掲載されていた中では、吉田観方の「朝露」「夕霧」はぜひ実物を見てみたいと感じた。以前展覧会で観た落合好幾の幽霊図が男性を描いたものだというのは意外だった。全生庵の幽霊コレクションはぜひ見に行ってみたい。

    絵に添えられたキャッチが低俗なものが多く、個人的には少し不快だった。著者の方は辻惟雄先生のお弟子さんで、ちゃんとした美術史学者の方なので、そんな三流ライターみたいな演出しなくていいのにと思った。

    巻末のコラムで、幽霊と妖怪の境界や、幽霊の足がなくなったのはいつからか、などに関する考察がされており、興味深く読めた。図版が多くてありがたいが、もう少し文章量が多くても良いと思った。

  • 怖いです。物凄く怖いのですが、切ないです。物凄く。

    中でも、子を守る為に霊となって現れた母親が印象的です。
    美しいんですよね、とても。

    何故美しいのかというと、きっと、愛があるからだと思います。
    幽霊画なのに生命力があって、見入ってしまいました。

  • 2015年3月1日に紀伊国屋書店台中中港店にて購入した。

  • 美しい幽霊、滑稽な幽霊、骨ホネ・・良い本です

  • 絵から伝わる美しさや儚さ、恐ろしさは絶品だが、各絵についている見出しが台無しにしてるような気がしました。

  • 2013/7/16

    721.025||ヤ (3階芸術・体育)

    怖い物見たさ? 苦手な人は要注意!
    江戸時代から明治期に描かれた幽霊ばかりを集めた画集。
    もちろんおどろおどろしい絵もありますが、美人さんだったり、ユーモラスだったり、絵を説明する一言や解説も楽しめます。

  • 表紙のような儚げな美女から凶相凄まじい鬼女、役者のように妙に男前な奴や殿様が描いた骸骨絵など、バラエティに富んでいて面白かった。

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著者プロフィール

北斎館館長

「2020年 『日本の図像 琳派 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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