- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784406058216
作品紹介・あらすじ
悲しみが笑いに、笑いが希望に変わるとき、「劇ことば」が生まれる。シェイクスピアの目を借りて読み解く新しい井上ひさし論。
感想・レビュー・書評
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舞台表現学科貸出ランキングより
https://library.shobi-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=01069221詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「天保十二年のシェイクスピア」を観て引用された作品を調べたいと思ってたどり着いた本。井上ひさしの戯曲の「劇ことば」を小田島雄志が読み解く。「天保十二年…」のほか、初期の「藪原検校」、戦後3部作、東京裁判3部作、遺作「組曲虐殺」あたりを扱う。戯曲でも台詞でもなく「劇ことば」というのが非常に的確な表現だ。
井上ひさしは私は「吉里吉里人」や「不忠臣蔵」とかの小説を通じて知っていて、お芝居は数える程度しか観てない。去年の「組曲虐殺」は観ておけば良かったなとこの本を読んで思ったし、古田新太の「藪原検校」も観たかった、これすごく面白そう。
小田島雄志が書いたからかもしれないけど、シェイクスピアと井上ひさしは似てると思った。劇中の言葉の確かさ豊かさ含蓄の深さ、読むよりも語られるべき台詞と舞台上で演じられるべき戯曲、境目もなく入り交じる野卑と理想、難しくないし面白いのに真実に近いと感じる奥深さ。
「天保十二年…」は壮大な失敗作みたいな言われ方してるけど(私もそう思う)、でもこの戯曲の劇ことばの面白さは半端ない。とっちらかってるけどすごいパワーにあふれてて、演じられてこその作品。
「組曲虐殺」は紹介を読むだけで涙が出そうになり、昨年観なかったことをすごく後悔した。 -
「セリフ」ではなく、劇ことば、登場人物をとおして不特定多数の観客に伝えられるため、日常会話よりも体温が高く、切れ味の鋭いことばになるという。
意味深く、力を持った「ことば」の世界に連れて行ってくれる。
また芝居を観に行きたくなった。