戦場のタクト―戦地で生まれた、奇跡の管弦楽団

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  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408109169

作品紹介・あらすじ

全世界感涙!戦場の傷跡が残るバルカンの地に降り立った、日本人指揮者の挑戦。今、民族共栄のオーケストラが平和のハーモニーを奏でる。

感想・レビュー・書評

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  • 著者紹介
    1971年生まれ。長野県出身。パリ・エコール・ノルマル音楽院オーケストラ指揮科に学ぶ。また指揮を佐渡裕、大野和士に師事。スイス・ヴェルビエ音楽祭指揮マスタークラスオーディションに合格し、名匠ジェイムズ・レヴァイン、クルト・マズアに師事。2000年東京国際音楽コンクール(指揮)第2位。以降、新日本フィル、日本フィル、東京フィル、東京都響、東京響、シティフィル、大阪フィル、京都市響、名古屋フィル、札幌響、仙台フィル、アンサンブル金沢をはじめ多くのオーケストラに客演。

    「ニューズウィーク日本版・世界が尊敬する日本人100」に選出される。

  • 『音楽に国境があってはいけない』
    民族間の諍いを超えて一つの曲を一緒に奏でるために奔走する著者の熱い想いに、これからもエールを送り続けたいと思う。

  • バルカン半島の旧ユーゴスラヴィアの平和のために活動している日本人指揮者の手記。マケドニアとコソヴォの両方で常任指揮者を務めながら、同地で多民族共生のオーケストラを設立したり、明日の約束もできないロマの少年たちとの共演を企画したり、彼の地の平和のために奔走。なぜ彼がここまでこの地とそこに暮らす人々に入れ込むのかは不明。活動はまだ始まったばかり、これからどうなるのかもわからないが、今後どうなるのか注目し、かつ応援したい。

  • 著者はコソボフィルハーモニー交響楽団常任指揮者。この本は、佐渡裕氏に弟子入りした著者が指揮者デビューを果たし、マケドニア国立歌劇場主席指揮者、コソボフィルハーモニー交響楽団常任指揮者としてバルカン半島で活動する中で、紛争によって分断されてしまったバルカン半島の民族共栄のため、マケドニア人、アルバニア人、セルビア人などバルカン半島に関わるさまざまな人々からなるバルカン室内管弦楽団を設立、アルバニア人居住区、セルビア居住区のいずれでもコンサートを開催するに至るまでの手記である。
    紛争が終結したとはいえ、さまざまな緊張、困難がある中、「音楽に国境があってはならない」との著者の純粋で熱心な思いが周りの人々を動かし、オーケストラのメンバーを動かしてコンサート開催へと至った様子が伺える。民族共栄だけが目的のオーケストラではなく、音楽そのもので感動させることのできることが目標だと述べているところに好感が持てた。
    ヴィーンでのバルカン室内管弦楽団のコンサート・プログラムは、
    Saegusa:Requeim, Valton Beqiri : Im Geist der Tradition(初演), Bela Bartok : Rumanishe Volkstanze Sz56, Dmitri Shostakovich : Kammersinfonie op.110a

  •  音楽で何がどこまでできるか分らないにしても、まず紛争地帯に飛び込んで手探りしながらできることから始めるというガッツは、若き日の小澤征爾の無鉄砲さに近い情熱を感ずる。
     若い世代の人たちに対しては、「現在の日本の豊かさに安住していて内向きだ、好奇心が足りない」等々、とかくその小市民的な生活態度が槍玉にあげられるが、このような熱いハートの男がいるのを知れば、日本人もまんざら捨てたものでもないと安心する年寄りも多いのではなかろうか。
     エライ!の一言に尽きる。

  • 学生の頃、ドヴォ8を振ってもらった柳澤先生の本。ちょうど振ってもらった時期あたりに、コソボへと行こうとしていたなんて全く知らなかった。
    国の断絶は個人にはどうしようもないことがある。憎しみが収まりきることもないんだろう。そのなかで、どれだけ人と人をつなげられるかをテーマにいまも紛争地帯のオケを振っているとのこと。
    佐渡裕の弟子ということも知らなんだ。
    半分は音楽家としての情熱、半分は人をつないぎたいという情熱で動いている熱い人だった。
    できることをそれぞれの立場でしていこう。

  • 今なお、ミトロヴィッツァでは、南と北とに民族が橋でへだてられ、交流もないところがある。南に居る人は北に入れず、北の人間も南へは行かれない。北と南では何が行われているのか、何があるのかもわからない。

    様々に個性ある楽器の音色をひとつの大きなものとして調和させる指揮者である著書が、個性豊かな民族をして、バルカンのハーモニーを奏でたいと強く思い実現していく様子。そこには命の危険があり、緊張を強いられる状況がありますが、たくさんの努力をしてコンサートを開き成功に終わったときの感動は、その場にいなくてもこの本を読むと伝わってきます。

    遠い日本の震災、津波のことに心を遣ってくれる子どもたちがいることに感動しました。それに比べて、コソボやボスニアなどのバルカン内の民族対立・紛争について、私はあまりにも無知であることを知らされました。バルカンについてもっと知りたいと思いました。そして、

    2012年5月17日にベオグラードでバルカン室内管弦楽団が柳澤寿男さん指揮で演奏をされたそうですよ!

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