著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 41
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408534589

作品紹介・あらすじ

あいつさえいなければ、俺の人生は計画通りだ-大リーグを目指す無冠の強打者に打撃タイトルを取らせるため暗躍する代理人。その思惑に綻びが生じたとき、彼らがたどりつくのは、破滅か、栄光か。実力派が放つ、衝撃の野球サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 4.0
    面白かった。
    どんでん返しやミステリ的要素は全くありません。
    そういうつもりで読んでいて、いつ事件が起きるんだろう?と思っていましたが、そういうお話ではありませんでした。
    ミステリを期待して読んだ訳ではなく、なんとなくそういうお話なのかなと思いながら読んでいましたので、若干肩透かしをくらったものの、まぁ面白い内容でするする読めました。
    藍川はその後どうなったのか気になるけど、多分コーヒーショップに転職したんだろうなと思います笑
    沢崎と神宮寺が仲良く?いいライバルとしての関係になれたのが嬉しかったな。

  • 高校野球時からスター街道を進んできてプロ選手になった主人公と、補欠でベンチ入りもできなかったけれどその後アメリカで着実に地場を固めつつあるエージェント、の関係性が軸のお話かと思いきや、色々な個性の強い人達が絡んできて期待以上に面白かったです!
    読み始めた当初、主人公にあまり好意が持てなかったのでどうかな~って思ってたのです。
    でも終盤になってからはそれが布石かと思うほどワクワクドキドキしました。堂場先生の本を読むのは7冊目なので、このままでは終わらない、まだまだ二転三転するだろうって思ってたのですがいつも爽やかに裏切られるのが楽しいです。
    野球を知ってたら勿論、知らなくてもプロ選手の裏事情が興味深くて夢中になれました!

  • 野球小説。
    サスペンスと思って読んだが、主人公の内面の葛藤を描いて終わった印象。

  • 堂場さんの初期(10作目)のスポーツ小説。初期は鳴沢了シリーズの他はほとんどスポーツ小説だったんですね。これはプロ野球の話で、結構えぐいエージェントが出てくる。ちょっとやりすぎ~ 沢崎と神宮寺って最近の「20」に出てきてたんですね。

  • うわあ、最後何アレ…! 面白かったあ!!

    あらすじ;
    プロ野球選手沢崎は打率好調ながらいつもタイトルを取れずにいる、「メンタルが弱い」「ここ一番に弱い」と言われる選手だ。そんな彼はメジャーリーグ移籍を決心し、最高の状態で挑戦するためヒットやホームランでのタイトル獲得、チーム優勝に向け努力する。「まじめ」なだけの無愛想な選手ではなく、魅力的な選手というイメージづくりに励む。記者への受け答えや選手会長としての責任からファッションまで。それは高校の同級生で野球部仲間、渡米してアスリートの仲介人を務める藍川の指導によるものだった。そんな沢崎の前に立ちはだかるのは、不真面目女にだらしないたるんだ身体を持ちながらも、ここ数年タイトルをいくつも獲得し続けた神宮寺だ。今シーズンも好調な神宮寺の不真面目な態度はチームの輪を乱し、また沢崎の心をざわつかせるのだが――。

    スポーツ小説は青春ものしか読んだことがなかったけれど、多分この本は一般的なスポーツ小説とはちょっと異なるんじゃないかな。もちろん成績アップにこだわり、悩むシーンなんてものもあるんだけれども、自分のため、チームのためではなく、メジャー挑戦を控えた沢崎のイメージのため――有体に言えば沢崎の契約金を上げるために、チーム優勝やタイトル獲得、そしてプロフェッショナルな精神に満ちたアスリートのイメージづくり、魅力的な人間と映るようなコミュニケーション戦略のためにすべてがあるのだ。藍川がいるからだ。
    藍川はエージェントだから商品価値を上げるための戦略を練るのは解る。そしてメンタル面がいまいち不安定とも思える沢崎が、彼のアドバイスに従うのも。怪我した足が完治したのにもかかわらず、まだ完治していないように見せかけ出塁の時失速したり…。一位争いをしているライバルチームの試合結果を知っているのに、ゲームに夢中で確かめる暇がなかったと言って見せたり…。すべてが策略なんだと思うと、純粋にスポーツの楽しさっていうのが半減するんだよなあ、なんて思っていた。プロなんだからお金のためにやるのはわかるけれど、怪我するからって手を抜いているのが解る描写があったらちょっと戸惑うでしょ。解るけど納得できない。本当にそれであなた自身は楽しいの、と思ってもやもやしてしまう。
    日本人的な精神を持ち合わせていない神宮寺は抜群な成績を持ちながらも、チームメイトから距離を置かれている。試合後もひたすら練習をする沢崎とは反対の存在。真面目にトレーニングしなくても好成績を叩きだす人間が近くにいたらイラつくのは解る解る。だけれど、陥れ方がまた卑劣なんだよな。ここら辺がアメリカ的なんだろう。ゴシップは作り上げるものだ、といったところか。
    沢崎はでも神宮寺を無視できない。成績が並んでいるのもあるし、イラつくのもある。だが真面目な沢崎と神宮司はもっと本質的なところで似ていたからなのだ。藍川のアドバイス通りにいろいろ演じてみせる沢崎だけれど、彼の本質はめちゃくちゃ自己中心的。他人なんてどうでもいいってヤツ。神宮寺の何事もあまり気にしない性格と同じだ。それが小さな型押し込められてしまってますます身動きが取れにくくなってしまったのだ。
    怪我して試合に出れない神宮寺と、ホームラン王獲得まであと2本塁打差。全ての殻を突き破った沢崎が放った言葉は、これまでのスポーツというビジネス面が強調されていたためにストレスをため込んでしまったこっちまで解放してくれた!
    プロスポーツはビジネスだ。学校の部活とは違う。
    ただ、数字のやり取りだけではなくて、ゲームを通して得られる喜びや目標に近づく楽しさって共通なのだ。最後の劇的な展開は「まさか」「一気にチープな展開になるのか」「でもなってほしい」なんていろいろ矛盾した思いとドキドキに満ちながらも、スポーツってものの素晴らしさを感じさせてくれた。

  • やはりこの人の書くスポーツ小説はとても魅力的。

  • 巨人をイメージした野球が舞台の小説。選手の心情が実にリアル。どんどん先が読みたくなり、読んだあとは「全て吹き飛ばしてしまえ」と先のことを考えても仕方がないかな、と思ってしまう。

  • 野球の話。話を読ませる力があるので、野球を知らなくても読めるんじゃないかな。面白かったですけど、たくさんのことが繋がっていく感じとか沢崎と藍川の葛藤だとかが弱い感じがしました。なので4。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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