柘榴熱

著者 :
  • 実業之日本社
2.75
  • (2)
  • (2)
  • (4)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 26
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408534817

作品紹介・あらすじ

誰かの妻としてでなく、一人の人間として生きたい。けれど男社会が必要とするのは「未婚」の「若い」女。野瀬光希は思いつく。未婚と偽ればいいことを。思惑通り職を得た。そして齧った禁断の果実-。すべての女性に読んでほしい。いま最も油断ならない新鋭が放つ、狂おしくてリアルな新感覚性愛小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 結局あなたは恵まれているんでしょう?

    何か起きそうで何も起きない。
    あんまりよく知らないけど、きっとその世代の女性の生き方や感情をリアルに表しているんだろうな。でも、いい歳をして年下の青年誑かしておきながら、被害者面しているような気がしないでもない。
    少し歌謡曲みたいな台詞ごと、ラストシーンは好きでした。

  • 勝ち組・負け組の基準って?
    「その人が属する環境によって変化するんやなぁ。」って思ったよ。
    現代社会の女性を取り巻く環境設定がリアル。
    女性の視点で、姑問題・仕事・結婚とか雑誌でよく話題になってる事が題材に。
    主人公には優しいけど情熱の冷めた旦那さん。
    コレまでは自分を抑えて旦那さんに尽くす専業主婦。
    やっと、仕事に就くことを許してもらって職場で出会った男の人との恋愛にハマってまう。
    職場では、歳や女ってだけで辛い立場に置かれたり。
    旦那さんとの夫婦生活とか実家とも上手に折り合いがつけられへん主人公。
    そんな時に職場で知り合った学生が女として扱ってくれた事から始まる恋愛と嘘をつく旦那さんとの二重生活に読んでてドキドキ・ハラハラ。
    でも、主人公が色んなストレスから逃げるような恋愛への執着とか自分の老いていく事の恐怖。
    読んでて、途中で息が苦しくなってもた。
    読み終わった後で少し『読まんかったら良かったかも、、、(泣)』って感じてしまったよ。

  • 前に同じ著者の『迷産時代』が面白かったので読んでみた。
    不倫のお話なんだけど、その内容はかなり恐怖。
    怖い。
    不倫の話以上のものが詰め込まれていて、怖かった。

  • 読んでいて何度「イーッ!!」となったか知れない。

    こんなに卓袱台返しを本気でしたくなる小説も珍しい。
    何といっても主人公の不倫する相手、市村の度を越した無神経さに腹が立つ。
    主人公を傷つける暴言の数々。なんなんだこの男は。ありえなさ過ぎる。読んでいて苛々苛々・・・結構な苦痛だった。
    話の内容うんぬんよりも、この男のあまりの酷さに1つ星以外は付けられない。

    余談。
    ①33歳で「オバチャン」と周囲に蔑まれるなんて・・・と愕然。25歳の私としては真剣に不安になる話。
    ②ユッチとイッチ。旦那と不倫相手に似てるあだ名を付けるな。迂闊過ぎだろと、つっこみたい。

  • 32歳既婚。子供なし
    独身と偽って就職した先で、10歳以上も年下の男性に口説かれ恋におちる。
    家庭と彼氏、どちらにも嘘をつき
    薄氷を踏むような毎日をおくるうちに心も体もバランスを崩し。。

    これはかなり主婦にはしんどいなぁ
    「だから主婦はチョロイのだ」
    うーん、確かにその通りなんだろうな

  • 『FOXY』とは違う意味で、読後疲れてしまった。内容の濃さにではなく、嘘で塗り固めた主人公の生活に。

    野瀬光希33歳、夫悠一と共に行っていたジャカルタの海外駐在から一年半前に戻り、仕事を探すものの、結婚しているというだけでことごとく面接は通らなかった。しかしふと、未婚と偽ればいいことを思いつく。そしてついに出版社の契約社員として働くことに。

    決して若くはない光希に社員は冷たく、ときに屈辱的な言葉を浴びせかけるが、三十過ぎてセクハラだなどと言えば自意識過剰と嘲笑されるだけだから何も言えない。そんな時、バイトの学生市村は光希のことを慕い、声をかけてきた。

    ある夜帰宅すると、悠一のいる場で市村から電話がかかってきた。なんとなく部屋を移動して話を聞くと、別の出版社に就職が決まったのでクリスマスに伊豆の温泉に行かないかとの誘い。その場ははっきりした返事はしなかったが、悠一がちょうどその時期にジャカルタ出張へ行くことになったため、光希は市村と伊豆へ行くことにした。その夜から、市村に墜ちてゆく光希の、嘘の二重生活が始まった。

    市村との付き合いは当然夫には言えず、また市村には未婚と偽っているので夫の存在を知られてはならず、両方に嘘をついている毎日は緊張の連続。そんな生活はわたしにはまったく共感できず、疲れるだけだった。

    しかも市村という男はろくでなしで、光希を侮辱するような言葉を頻繁に吐く。どうしてこんな男と、こんなに苦労して付き合うのか、さっぱりわからなかった。光希はただ「若い男の体」を求めているに過ぎないのだ。

    この小説に限らず、宇佐美游の小説では、ものすごく傷つくようなことを平気でグサリと言ってくる人物が必ず出てきて、しかもそういうのが周りにたくさんいる。さらに、よく電話をし合う友人がいても、お互いに相手を軽蔑しながら付き合っており、愚痴を受け止めてくれるというだけで関係がつながっていたりする。そんなの友達じゃないよ、とうんざりしてしまう。

    どうにもこうにも共感度の最も低い、疲れる本だった。毎日の生活に刺激が欲しいと思っている人には楽しめるのかも。

    読了日:2007年7月6日(金)

  • 表紙のピンクがあまりにも綺麗で、魅了されてしまったのですが、
    内容は、欲望を押さえられない主婦のどろりとした物語でした。

    穏やかな夫婦生活を送っているのに、
    別の男性との恋を求めてしまう主婦。
    職場では独身と偽り、若い独身男性との恋愛を楽しむ。。。

    同じ女性として、ちょっと、理解しがたくて、
    読み進むにつれて、疑問や怒りがわいてきた。
    私の考えが古いのかな。。。とも思うけれど、
    それでも、やっぱり、この主人公は嫌いだ。。。

    そういえば、柘榴の季節ですね。
    小さい頃は、お隣の家の庭に柘榴の木があって、
    それを頂いて食べてました。
    甘酸っぱくて、けっこう好きだったのですが。。。

    祖母に「柘榴は人肉の味がするんだよ」といわれ、
    まるで、ルビーような、透き通るような綺麗な赤の粒々が、
    血の色にも見え、子供心にも、怪しげな感じがしたものです。

    大人になって知ったのですが、
    仏典の中に、こんなことが書かれているらしい。。。
    「子供を食う鬼がいて、それをやめさせるために、
    お釈迦様が、柘榴を与えたら、子供を食わなくなり、
    鬼は改心した。。。」と。

    つまり、子供の肉と柘榴の味が似てるってこと?かな?
    とにかく、魅惑的な果物で、心惹かれます。

  • とても面白かった!読み終わった後、ハッピーな気持ちになれる小説ではないのだが、何か残る感じがする作家さんです。次回作も楽しみです。

全8件中 1 - 8件を表示

宇佐美游の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×