迷子の大人

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 251
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536132

作品紹介・あらすじ

仕事も恋も宙ぶらりん。ガケっぷちアラサー女子の自分探し。迷子の梓、特急「あずさ」に乗る-。

感想・レビュー・書評

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  • 都会で疲れた人が、田舎で再生する話は結構好きです。
    でも今作は、いきなり移住ではなく、旅先の地の居心地の良さに、何度も足を運ぶようになるお話。

    冒頭は、ちょっと唐突な感じはしましたが、高遠の人達が登場してからは、気持ちよく引き込まれました。

    星子さんとの行き違い、いや、読んでいる側は、分かっていました(笑)
    改めてホームヘルパーの仕事って、理想と現実と…難しいなと思いました。

    色々な世代の人が、助ける・支えるなどと声高な意識を唱えることなく、みんなで助け合う高遠の暮らし(本の中での)は、ある意味理想的に思えます。
    梓の行動は色々突っ込みどころ多かったけれど、読みやすく楽しく引き込まれて、読後も心地良い、満足の一冊でした。

  • どうにも梓さんに気持ちが寄り添えなくて…

    迷子の大人。確かに迷子になる時期はあると思う。自分がどうしたいのか迷って迷ってどんどん分からなくなって。そんな時は一時期流行った自分探しとかしたり。だからって見つかるものでもないんだけど。

    高遠町の方たちがみんな温かい。

    長野県、まだ行ったことがないから行ってみたくなった。城址公園に桜を見に行きたいな。

  • 主人公の梓は27歳。
    純粋で優しいいい子なんだけど、
    ホームヘルパーという職業に理想を持ちすぎて疲れてしまい、
    曾祖母の故郷だった上諏訪に旅に出る。

    ケアプラン外だからと、お茶やお菓子を勧められてもお断りしなくてはいけない。
    うーん…難しいとこなんでしょうね。

    こういった悩みを抱えつつ、それでも毎日のケアに追われるお仕事。
    「介護に理想を持っている人は続かない」って厳しい現実なんですね…

    民宿「すやすや」の人達や、
    ぶっきらぼうで照れ屋さん、でも優しい桂との出逢い。
    不器用な二人の恋の展開にキュンとします。

    泣き虫で、お年寄りと子供には妙に好かれる梓に、親近感いっぱいで…。フフッ
    いろいろ思い悩んでいるわりに、無鉄砲なところに、ハラハラさせられたりもしました。

    でも、”あずさ弓”の梓ですからね。
    折れることなく強く生きて行けますね。きっと。

    高遠城址公園のコヒガンザクラ、一度でいいから見てみたいなぁ…。

  • 泣かされた。
    梓の真っ直ぐさに。
    心の動きがすごく良くわかるから、どんどんこの世界に引き込まれて、本から現実に戻る時、ちょっと戸惑うほどだった。

    • kuroayameさん
      心の動きがすごく良くわかるから、どんどんこの世界に引き込まれて、本から現実に戻る時、ちょっと戸惑うほどだったとのことでしたが、私も余韻に浸り...
      心の動きがすごく良くわかるから、どんどんこの世界に引き込まれて、本から現実に戻る時、ちょっと戸惑うほどだったとのことでしたが、私も余韻に浸り過ぎてしまうと、しばらく放心状態になるときがあります。
      2012/11/05
  • 「あの町でおばあちゃんになりたい。そしていつか、あの町の土になる」と言うセリフが好きです。
    自然体でいられる、そんな場所を見つけられた梓がうらやましいな

  • 旅行
    子どものときに行ったことがないと確かに馴染みがないもんなんだろうな
    自分の気持ちを伝えなかったことでのすれ違い
    逃げることで、余計まわりに
    お年寄りとの関わりも難しいな
    デイサービスが悪とはならないし、介護の家族のことを考えるといたたまれない

  • ホームヘルパーの梓が田舎の良さにふれて成長していくお話。
    最後、桂が梓に送ったメールの内容が気になった。
    お幸せに…。

  • 初読みの作家さん。マイナーな本だけど、わたしは好みだった。都会で疲れた主人公が、田舎で過ごす話が好きなのかも。桂さんっていう不器用な男の子がタイプかどうかで好みが分かれると思う。わたしは死ぬほど桂さんが好きすぎて、読みながら桂さん…。ってなった。婚約者がいるけど桂さんと田舎の町に惹かれる主人公の気持ち、わかります。

  • 人間ってみんなどこかが少しずつズレていて、それを補うために他の誰かが必要なんだ。

    「あんたはたしかにいい子だけど、たまにすごく心配になる。もっと怒りとか憎しみとか、捻じ曲げずに出せばいいのに」
    「でも私、そういうマイナスの感情ってちょっと」
    「マイナスって、誰が決めたの」
    「え?」
    「あんただよ。そやって決めつけて我慢するから、よけいこじれるんじゃない」
    じゃあもっと、怒ってよかったの?違和感を覚えるたびにちゃんと口にしていれば、ここまでひどいことにはならなかったのかな。

  • 作者さん初読み。他の作品も読んでみよう!!
    星子さんとのやりとりが好き。やっちゃんとのやりとりも好き。泰子さんとのやりとりも好き。
    人生に迷った時は、思い切って一人旅にでてみるのもいいのかもね。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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