家族トランプ (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551098

作品紹介・あらすじ

風見窓子33歳。会社に不満はなく、寿退社する後輩を妬むこともない。友人以上恋人未満の交際相手と結婚するつもりもない。しかし同居する両親から「干支三回りが限度」との宣告が…。そんな窓子に「しないの、結婚?」と声をかけてきたのは、やり手の独身女性上司、47歳の有磯潮美。東京下町にある潮美の実家との交流をきっかけに、窓子の日常は突如として変容した。

感想・レビュー・書評

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  • 両親と同居、自宅通勤者の「風見窓子」は、30歳を越え両親に『結婚をして独立を』と言われる日々。ある日、勤務先の40歳台独身の上司「有磯潮美」から声を掛けられ「結婚しないの?」と言われます。話をするうちに潮美の実家に誘われる窓子。潮美の実家は家族経営の、食堂兼居酒屋の『磯家』。窓子は、潮美の家族やお客様、潮美の幼なじみ等との交流を深める程「磯家」に行くようになります。やがて窓子は、刺激を受けながら心境が変わり始め家族や結婚について考えていくようになります。題名の「家族トランプ」は読み進めて意味が解るのですが、私はこの小説が読みやすく展開もテンポも良いと感じました。

  • えええ! これで終わるの? 北上次郎氏の「下町食堂小説になっていくのだ」という文章を読み、主人公が潮美の実家である食堂で働き出し、その悪戦苦闘の日々を描いていくのかと思っていたのだ。しかし、一向に働かないのである。あれれ、となっちゃった。思い込みはいけません。しかし、普通小説として充分愉しめました。

  • 30代女性として、仕事や結婚の悩み。あるあるなんだなぁて共感した。リソさんや磯家のキャラクターが素敵で読んでてほっこりするような物語。同年代の方におすすめ

  • 家族の一人一人が、トランプのカードのような様子。優秀な女性上司の有磯が、部下の窓子に目がとまり、弟の嫁にしたいと思ったことからの策略、結果ということで読み終えて話の展開がきちんと筋道たっていることに気づいた。

  • 風見窓子。33歳。
    そんな彼女に「しないの、結婚?」と声をかけてきたやり手の女性上司、47歳で独身の有磯潮美。

    社会からも東京からも家族からも危うくはぐれそうになっている三十代未婚女性の居場所探しの物語。

    こんな内容で、言えばどこにでも転がっていそうな一見平凡なお話です。

    けれど登場人物の巧みな描写、感情表現の細やかさ、それぞれのキャラクター設定がしっかりしていて平凡な話が、自分のすぐそばで行われている様な錯覚に陥ります。

    こんな家族や日々の暮らしを描いた作品もいつもと一味違って面白かったです。

  • 初めて読む作家さん。おもしろかった! 他の作品も読んでみたい。

  • 三十六歳までに実家を出て行くよう迫られた三十三歳の窓子が四十七歳のやり手上司潮美と仲良くなり彼女の実家の食堂兼居酒屋にも足繁く通う。両親を悪く言いっぱなしな事が気になったけれど潮美達との交流のお陰でヒリヒリせず明るい。潮美に傾倒し恋愛よりも潮美や一家への好意を優先するのも生活の為の結婚より純粋かも。

  • 33歳独身、都内の実家暮らしのしがない会社員・窓子。親からは36歳までには結婚するか家を出て行けと言われている。あるきっかけで、仕事ができて自分にも他人にも厳しい女上司の潮美と仲良くなる。生き方に悩める30代女性が、居場所探しと、本当の幸せを見つける物語。

  • 何だか随分と甘ったれた主人公だな、と。
    結局、最後までそうだった。

  • お初です、明野照葉。なぜだかこれまで全然知りませんでした。帯に「サスペンスの女王、新境地の傑作」、さらには「イヤミスを封印しても、明野照葉は面白い!」とあります。どうやらこの人はホラーで有名な作家で、これはホラーでもイヤミスでもない、良い話らしい。

    窓子33歳。大学を卒業して証券会社に入社、苛烈さに耐えられず数年で退職。化粧品等の通販会社である今の会社に契約社員として勤めはじめ、1年数カ月後には正社員に昇格、以来8年余り在職。たいして給料はよくないが妥当ともいえる。仕事自体は難しくもなく、居心地もいいのだから。しかし、家に帰れば両親から結婚をせっつかれてツライ。10年近く前に結婚すべく両親に会わせた交際相手がいたのだが、両親のお眼鏡に適わず嫌味を言われまくった。そのせいで相手は逃げてしまい、だから今も独身だというのに。どうしたものかと考えていたある日、47歳独身の上司、潮美からランチに誘われる。バリバリのキャリア女性で誰もが一目置く潮美、そしてその家族と交流を深めることによって、窓子の人生に変化が訪れて……。

    タイトルは、「家族合わせ」というトランプゲームに家族をつくる過程をなぞらえているがゆえ。読後感は悪くないので★3としましたが、毒もアクもなさすぎる。潮美の実家が食堂で、食べ物の薀蓄も登場人物によって語られたりするのですが、なんだか凡庸。出てくる料理の描写がすぐれているとも感じられず、ありがちな話に終始します。窓子の潮美への崇拝ぶりにも私はドン引き。

    こんなに凡庸な「良い話」ならば、私はもう要らない。それよりもこの著者本来のイヤミスのほうを読んでみたいなぁ。

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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