- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408556864
作品紹介・あらすじ
きっと見つかる、大切なもの。
――実業之日本社文庫GROW誕生! 第3弾!
令和小説大賞受賞でドラマ化もされたヒット作
『星になりたかった君と』で話題の著者最新文庫!
たった三日であなたを忘れる。
それはあなたを殺すのと同じ。
だから……
「絶対に忘れない」
――それは命より大切な約束。
過去を失った少女と、未来に失望した青年。
ふたりの出会いが奇跡を起こす!
松崎颯真は傷心の旅先で、高校生の岬陽菜穂と出会う。
ふたりは互いにほのかな恋心を抱くが、ある日再会した陽菜穂は、
颯真に関する一切の記憶を失っていた。
それは悲しい過去の後遺症によるもので、彼女はどんなに大切な相手でも、
三日会わずにいただけで忘れ去ってしまう宿命を背負っていた。
苦悩の果て、ふたりは――。
衝撃のラストは号泣必至! 愛と絆の物語!
――読後、このタイトルとカバーに描かれた情景の意味を知り、
誰もがきっと涙してしまう!
感想・レビュー・書評
-
頭と終わりだけ読んで確信を持って切った
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学受験に失敗し、浪人生となった颯真。気ままに旅をしていた。導かれるようにある海岸で、高校生。陽菜穂と出会う。次第に話題で盛り上がるようになり、二人は親しくなっていった。陽菜穂の同級生も加わるが、その同級生から、ある助言を言われる。「明日の夕方までに陽菜穂に会わないと、殺される」と。しかし、約束を破り、明後日に再会してみると、陽菜穂は颯真のことを忘れていた。
記憶をテーマにした恋愛ストーリーで、じんわりと心に残った作品で良かったです。
この作品のキーワードとなるのが、「グリーンフラッシュ」と「記憶」です。
グリーンフラッシュは、太陽が完全に沈む直前、または昇った直後に、緑色の光が一瞬輝いたようにまたたいたり、太陽の上の弧が赤色でなく緑色に見えたりする稀な現象とのことで、緑閃光ともいわれているそうです。
動画で見ますと、幻想的で生で一生に一度見てみたくなりました。
そのグリーンフラッシュによって繋がれる二つの家族が運命的でロマンチックさがありました。しかし、その反面、両家族に襲いかかる「何かを失う」といった悲劇的な要素もありましたが、それらを超えての感動的な要素も加わって、良い作品だなと余韻に浸れることができた作品でした。
基本的には颯真の視点ですが、時折、陽菜穂や同級生の視点が登場します。特に陽菜穂の視点が、記憶がなくなる、記憶がないといった状況に苦悩する描写が何とも心苦しかったです。
それでも、颯真との出会いによって、今までの流れが変わっていく様子に期待を膨らませながら読んでいました。
記憶によって関係性が崩れていくといった残酷さがありましたが、二人を含め、その周りの人たちで苦悩した先に見える結果が、何とも奇跡的な感動でした。
ラノベっぽい要素もありましたが、最終的には意外と短い文章でしたが、じーんと心に残りました。
グリーンフラッシュによる奇跡。小説での奇跡はともかく、生で見てみたいなと思いました。 -
遊歩氏の文芸書・第2作。
終盤に向かって、ページをめくる手が加速する。
思わぬ、幾つもの「繋がり」
そして、二転三転して迎えるラスト。
1作目同様、胸の奥に熱いものが残りました。
映画化したら素敵な作品になるような気がします。
次作も、楽しみにしています。