図解 この一冊で「宇宙」と「太陽系」がまるごとわかる本 (知の強化書 4)

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  • 青春出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413109611

作品紹介・あらすじ

"不思議の玉手箱"宇宙は、人類の好奇心をかきたて続ける神秘の世界。とはいえ文系にはしきいの高い天文学を、見開きワンテーマ・豊富な図版とわかりやすい説明で、基礎知識から最新宇宙論までさくさく解説。入門編としてはもちろん、学校で学んだ天文知識のアップデートにも最適な一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 村山斉氏の宇宙シリーズがお気に入りで楽しんではいるのだが、基礎がごっそり抜けているため、楽しみきれていないような気がする
    何がわかっていないのかをハッキリさせないことには知識として蓄積されないであろう
    父の本棚で見つけたこの本「いまさら聞けない基本の“き”………」と書いてある!
    というわけで少々拝借

    ■太陽系の基礎知識
    ・質量が大きい星ほど明るく高温になり寿命が短い、小さいほど長生き
    (意外にも現在の太陽は全体の真ん中らへん)
    ・太陽の10倍の質量を持つ恒星の死は「超新星爆発」という爆発を起こして終わる
    この時、それまでの核融合反応によって生み出した様々な原子を宇宙空間に撒き散らす
    これらがまた新たな星を生む原料となる
    地球の材料もこうして作られた
    ・我々の太陽系は銀河系のはしっこの方にある
    そして太陽系も銀河中心の周りを回っている

    ■太陽系惑星まとめ
    ◎水星
    ・太陽系で一番小さく、一番太陽に近いため、猛スピードで回り強い遠心力を使ってバランスを取っている そうしないと太陽の巨大な重力に引き込まれてしまう
    ・密度が大きく重い
    太陽に近いため、蒸発しやすい物質は集まらず、鉄など重い金属が多く集まった
    ・1日の温度差は610℃
    大気がほとんどなく、公転軌道のゆがみがあるため、太陽との距離が1.5倍も違ってくる
    とにかく太陽に近い過酷な環境
    ◎金星
    ・金色に輝く分厚い雲(大気)の成分は、物質を溶かす濃硫酸
    ・表面温度は475℃
    大気質量が地球の100倍、かつその96%が二酸化炭素 その温室効果で気温が上昇する(地球の将来を暗示させる)
    ・自転の向きが太陽系のなかで唯一逆向き
    地球の100倍もの質量をもつ大気と核やマントルなどの内部対流による力がそれぞれ逆向きに働き引っ張りあっている
    ◎地球
    ・太陽との距離が絶妙なため、多くの水が液体で存在し、気体や固体の状態も自由に行き来できる温度が保たれた
    また程よい大きさのため大気をとどめめおく重力もちょうど良い
    いくつもの偶然が奇跡的なバランスで作用した
    ・地球は微惑星同士の衝突と合体により誕生
    その頃は16,000℃
    微惑星の衝突がおさまってから、大気中の水蒸気が雨となり降り注いで海に…
    その後も山あり谷ありで現在の姿に
    ◎火星
    ・地球と似ているところ→1日の長さ、四季がある
    ・地球と比べて大気が薄く、水蒸気が少ないため、砂嵐が吹き荒れる
    ・赤く見えるのは鉄酸化物 赤さびの不毛な土地
    ・エベレストの2倍以上のオリンパス山や巨大な渓谷など、火山活動により驚異的な地形が生まれた
    ◎木星
    ・主成分は水素とヘリウム(これは太陽と同じだが質量が足りないため太陽になり損ねている)であり、密度は小さい巨大ガス惑星
    ・縞模様の正体は氷結したアンモニアの雲で色の違いは大気の流れが逆、またあの大目玉がなぜ生まれたのかは不明
    ◎土星
    ・木星と同じく主成分は水素とヘリウムだが、密度は水よりも軽い
    ・特徴的なリングは氷の粒や岩石の集まりであるが、このリングは7つある
    またリングは点の集まりだけであって、周辺の衛星の重力と微妙なバランスでかろうじて成り立っているため、数千年後にはすべて土星へ落下してしまうだろうと言われている
    ◎天王星
    ・太陽の光は約0.3%しか届かないため氷の惑星
    ・土星のようなリングがある
    ・天王星は太陽の周りを84年かけて回る
    ◎海王星
    ・こちらもリングが4本ある
    ・太陽の周りを165年かけて回る
    ・太陽系から遠いのに表面温度が高いため、最深部では思いも寄らないことが起こっているのかも

    ■宇宙を読み解く大法則
    ◎コペルニクスの地動説
    「天動説」は不運にも1500年もの間常識となっていた
    ようやく16世紀にコペルニクスが「地動説」を主張
    しかしながらまだこの段階で惑星が円運動するとし、これでは惑星の位置が正確ではなかったのだ

    ◎ケプラーの三大法則
    第一法則…17世紀になるとケプラーが惑星が楕円軌道を取ることを発見する(円ではなく楕円だったのだ)
    第二法則…惑星の速さが、太陽に近づくほど速くなり、遠くなるほど遅くなる(すなわち面積にしたときの速度が同じ)
    第三法則…各惑星間で、公転周期の2乗が平均軌道半径の3条に比例する(すみません わかりません)

    ◎ニュートンの万有引力
    ケプラーの法則がニュートンの万有引力によって正しいことが証明される
    万有引力…「すべての物の間には引力が存在し、それは距離に反比例し、互いの重さの積に比例する」
    ニュートンはケプラーの第二法則「太陽に近づくほど惑星のスピードが速くなる」ことに注目し、惑星は太陽からの強い力で引かれている、そしてその力は惑星〜太陽の距離に反比例する このことから遠く離れても伝わる力の存在を考え始めたのだ

    ◎アイユシュタインの相対性理論
    相対的の反対は絶対的である
    「絶対的」な基準を光とし、「相対的」であるのが時間、空間である…とした
    つまり光を基準にすれば、時間や空間は伸び縮みする
    光は加速度のある場所(重力場)では曲がって進む
    つまり重力は空間を曲げる性質を持つ(空間が曲がり、光は直進している)
    このような現象が起こっていると考えた

    ◎ハッブルの法則
    宇宙は不変という固定概念を覆す!
    地球と銀河の距離を計測していたハッブルは遠くの銀河ほど猛スピードで遠ざかっていくことに気づいた
    (そう宇宙は膨張していたのだ)

    ◎セファイド変光星
    星の距離はどうやって求めているのか
    明るさの周期で距離を伝える
    セファイド変光星とは、恒星が一生のうちで主系列星の時代を過ぎ、赤色巨星となり、さらに巨大化した段階の星のこと
    この星は2日から100日くらいの周期で膨張と収縮を繰り返す
    難しいがこの周期が短いものほど暗く、長いものほど明るい
    ここからさまざまな間接的方法を用いて距離求めることができる

    ◎量子論
    またも難題テーマ
    詳細は書き出すとキリがないので、どう宇宙とつながるかのみまとめ
    量子は「波」と「粒子」の二面性がある
    例えばエネルギーとして言うと、あるエネルギーを持った個体が、波としても振る舞うのでエネルギーに振り幅が生じることになる
    存在するモノが存在確率としてしか表現できなくなる
    つまり無いと思っていた場所に突然現れたり消えたりするのだ
    量子論において「真空」は大いなるエネルギーを秘めたさざめく水面

    ◎ビッグバン理論
    ビッグバン理論とは…宇宙のもとは今存在している物質とエネルギーが凝縮された高密度・高温の火の玉のようなもので、それが大爆発を起こして宇宙が生まれ、どんどん膨張し続けていると言う考え方

    ◎インフレーション
    ビッグバン理論によると、宇宙はもともと火の玉ということになるが、では果たして火の玉はどこから来たのか?
    これを解決したのが量子論
    ごく短い時間で粒子が生成したように、真空からふいに超ミニ宇宙が誕生したと考えられている
    その超ミニ宇宙は真空内の高エネルギーのせいで急膨張する
    急激に大きくなると、宇宙の温度は下がる
    すると真空は「相転移」(水が氷になるように、同じ物質が状態を変えること)を起こす
    これにより膨大な熱エネルギーが解放され、高温の火の玉が生まれた
    また宇宙には銀河が集中的に存在する場所と、全く存在しない場所がある
    「量子ゆらぎ」から実に宇宙が誕生し、急激な膨張によってそのゆらぎが引き延ばされたと考えると宇宙に密度の差が生まれたことにも納得がいく

    ◎超ひも理論
    宇宙にある4つの力(「電磁気力」「重力」「弱い力」「強い力」)
    これらは宇宙の進化とともに分かれたため、宇宙が生まれたときは一つだったはず
    だから統一理論があるはず
    それが「超ひも理論」

    重力(マクロ)とそれ以外の力(マクロ)の統合は、相対性理論と量子論の融合なのだ!
    (なんだか興奮するぞ)
    さらに突き詰めると超マクロ・超高エネルギー状態だった誕生直後の宇宙に直結する

    ではその「超ひも理論」とは
    すべての物質が「長さ10cm✖️マイナス33乗の閉じたひも」でできていると考える理論
    このひもは新空中に隙間なく敷き詰められていて、振動の仕方の違いで異なる粒子になると考え

    超ひも理論での宇宙は10次元
    私たちが体感できるのは4次元まで残りの6次元は小さくなるなって素粒子の内部に閉じ込められていると考えられている
    さらに「M理論」が登場し、宇宙の始まりを11次元と考える説も
    非常に難しいのだがブレーン(膜)に覆われた宇宙が考えられると、私たちの宇宙以外にも宇宙が存在するかもしれない…となる
    壮大過ぎるSFのような話だ



    正直あまり期待せず読み始めたのだが…
    驚くほどわかりやすくまとまっている!
    毎度個人的難所となる相対性理論や量子論も非常にわかりやすく書かれており、感覚的に少し理解できた
    今までの復習とさらなる理解またわかっていなかったこと…これらがクリアになった
    いや〜新年早々アタリの本である!

    地球を含む宇宙は全て何かしらの理由により、絶妙なバランスを保っていることをまた改めて実感
    不思議で神秘的で凄い仕組みだ
    知れば知るほど驚くことばかり

    なんだかとってもお勉強したような良い気分
    脳がピチピチしてきた気がする…
    もうお肌はピチピチしないかもだが、脳はいくつになってもピチピチするのだ(笑)

    • りまのさん
      ハイジさん
      はじめまして。こんにちは。
      ハイジさんのレビューを読みまして、分かりやすくまとめられておられて、頭の中が、得した気分です。
      お父...
      ハイジさん
      はじめまして。こんにちは。
      ハイジさんのレビューを読みまして、分かりやすくまとめられておられて、頭の中が、得した気分です。
      お父上の御本なのですね。聡明なお父様だと想像します。私の父は、本など読みません。(けれど、人間力は、私の100倍くらいあります…。)
      本棚登録しましたが、この本、結構お高いのですね…。ハイジさんのレビューを読んで、本の、美味しいところだけ、読んだ気分になりました。
      ありがとうございました。
      2021/01/15
    • ハイジさん
      りまのさん
      はじめまして(^^)
      コメントありがとうございます!
      拙いレビューながらお役に立てたようでとてもうれしいです♪
      こちらとてもわか...
      りまのさん
      はじめまして(^^)
      コメントありがとうございます!
      拙いレビューながらお役に立てたようでとてもうれしいです♪
      こちらとてもわかりやすくまとめられており、
      特に難解な物理部分(宇宙の大法則)で眠くならずに読めた奇跡的な本でしたよ(笑)
      機会がありましたら是非読んでみてください
      図書館にあるといいですね…
      ちなみにうちの父は読書家ですが、理解しているかはとても怪しいです!
      相対性理論に関する本があったので、理解できたか聞いたところ
      「こういうのはざっとつかめればいいんだ!」なーんて言っておりましたので…(苦笑)
      2021/01/15
  • 惑星の分類が整理された後の本ということで、認識を改めるのに役立ちました。
    立派な天文学の入門書ですが堅苦しい文ではなく、すらすらと読み終えてしまえる一冊です。

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著者プロフィール

1961年生まれ。自然科学研究機構国立天文台准教授、天文情報センター普及室長。専門は天文教育。東京学芸大学大学院教育学研究科理科教育専攻修了。総合研究大学院大学准教授を兼務する他テレビやラジオ等でも活躍。

「2015年 『星の王子さまダイアリー2016』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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