- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784416996003
感想・レビュー・書評
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2009/6/3 読み終わる
片野次雄の 「戦乱三国のコリア史」 を読み、面白かったので、同じ作者の本を探して読みました。
「戦乱三国のコリア史」から時代はずいぶんくだり、日本は戦国時代が終わりを告げようとしているころ。
朝鮮(韓国)は、元(蒙古)の絶え間ない襲撃がおわり、軍人より文官が幅を利かせる時代。
両者の 戦争に対する考え、対応度も 違っていたようです。
そして 三つ巴となる 隣の大国、中国は 明の時代です。
日本側では 「文禄・慶長の役」、韓国・朝鮮側では 「壬辰・丁酉倭乱 (イムジン・チョンユウエラン)」、明側では 「萬暦の乱」とよばれる激しい戦乱。
確かに、秀吉末期に 朝鮮出兵があったとは知っているが、こんな恐ろしい戦争だったとは・・・。
日本は、秀吉に振り回されて無理な出兵をしたわけで、戦いは不利化と思いきや、
朝鮮側の軍備もこの時代十分ではなかったようで、日本軍は朝鮮半島を侵略していきます。
戦争は、海と陸で展開されていきますが、ここで海軍に 李舜臣(イースンシン)という英雄が現れます。
李舜臣のこと、全く知らなかったのですが、こういうときには必ず現れる?高潔で国を思う人物。
世界屈指の海将 李舜臣は、劣勢な海軍を率い、日本海軍を圧勝していきます。
この海戦の最終場面で戦死。死後45年目に、「忠武公(チュンムゴン)」の諡号(しごう:おくりな)を贈られた救国の英雄。
この人がいなかったら、この戦争はどうなっていたことやら・・・。
というわけで、興味のある方は ぜひ読んでください。
著者は、歴史に創造は禁物、そして歴史を公平にみる という立場でこれを書こうとしています。
詳細な地図、両軍の船や人員の数などが記され、また3国の微妙な政治的交渉についても史実にもとづいて再現されます。
しかし、著者が語るように この時代の記録が少なく不明な部分が多かったようで、想像力を駆使したシーンもあり、李舜臣への思い入れも強く感動的です。
ノンフィクションとはいえ それが、また面白い!
海戦の跡を巡って旅をし、韓国の友人たちの膨大な資料や助力をえて書かれた本は、まるで見てきたかのような! スペクタクルを展開。
海戦で活躍したユニークな軍船「亀甲船 (コプクソン)」は、どこか・・・アフリカ珍獣「ラーテル」を連想させます。
⇒ 「アフリカの珍獣(2)武勇伝!ラーテル」 ダーウィンが来た!生きもの新伝説
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李舜臣と秀吉 文禄・慶長の海戦 片野次雄/著 誠文堂新光社 1996.7
内容:(「MARC」データベースより)
豊臣秀吉の朝鮮出兵は、陸では快進撃をしたものの、海では朝鮮水軍の名将・李舜臣が考案した亀甲船の前に戦敗を重ねた。
李提督の作戦と戦闘を中心にドラマティックに再現。昭和58年刊の改訂。
内容:(「BOOK」データベースより)
朝鮮出兵は、陸上では加藤清正、小西行長らの侵攻で、秀吉の思うつぼだった。
しかし海上では、朝鮮水軍の雄、李舜臣の活躍によって、日本は連戦連敗…。
「李舜臣は、つねに国王の身代わりになって、いくさにのぞんでいるという実感があった…」。
秀吉の野望をくじいた李舜臣の実像を史実にもとづいて再現する。
秀吉の朝鮮出兵はなぜ失敗したか。
救国の英雄・李舜臣と「亀甲船 (コプクソン)」の秘密を描くノンフィクション。
著作活動を通して日韓友好に寄与した功績で、大韓民国政府から表彰された著者の話題作。
著者: 片野次雄
1935年東京生まれ。朝鮮史研究家。山岳カメラマン。
著書に「秘境ひとり旅」「李舜臣と秀吉」「王国の悲哀・元寇のかげに−」「世宗大王とハングル」「戦乱の朝鮮三国」など。詳細をみるコメント0件をすべて表示