心に太陽を 唇に歌を

著者 :
  • 世界文化社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418075065

感想・レビュー・書評

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  • フライシュライン(ドイツ、詩人)の「心に太陽を持て」の詩を検索していて見つけた本。

    作者・藤原正彦(『国家の品格』の著者)の、小学校4年〜6年卒業までの自伝的物語。戦後、貧しいけれど、正義感あふれたガキ大将だった正彦少年。
    こんな時代のこの価値観は、もう終わってしまって無い、とは思いたくない。

    作者のお父さんは山岳小説で著名な新田次郎、母は藤原てい。
    武家の出身だったという父の教えで、力を用いることを否定しない人だった。しかし、その力を使う時は「弱い者を救うためには力を用いてもよい」というもの。そして、卑怯とみなし厳禁した5つの事がある。
    1・大勢で一人を殴ること
    2・大きな者が小さな者を殴ること
    3・男が女を殴ること
    4・武器を用いること
    5・相手が謝ったり泣いたりしてもなお殴ること
    これら5つの禁じ手は、犯すことはもちろん、それを見逃しては絶対にいけない、と教えられたという。


    それらは卑怯だから、卑怯にはなりたくない、という感覚。
    なんかカッコいい。

  • 正彦少年の小学校時代を描く。小学校高学年ぐらいから読める。
    「卑怯なことはするな」「見て見ぬふりもするな」という父の教えを守る正彦少年は、自分もこうありたい、というあこがれを喚起する。

  • 「心に太陽を 唇に歌を」
    マンガ武装錬金に似たフレーズがあった気がして、
    タイトルが気になって読んだ。
    薄くて文字数も少なかったし。
    読みやすい文体だった。

    小学校の景色や、子どもの声が聞こえてきそうな文体で心地よかった。
    弱いものを守る。仲間を守る。
    「守る」って概念が実生活で感じられないから、
    「読んだ時に、いいなぁ。こうありたいな。」っと思うんだろうな。
    私は弱者に優しくなれるほど、強くない。

  • 懐かしい思いで読んだ。

    私の小学校のころにもこういう男の子がいたなぁ・・
    秀治のような子もいたなぁ・・

    そして、私は一つ今でも傷になっていることを思い出した。
    転校生の女の子、今でも苗字は覚えている。
    転校してきたときに真っ先に友達になった。
    いつも一緒にいた。
    彼女の家は近所だった。
    ボロ屋で障子はボロボロ、お母さんは着物を肌蹴て、髪を振り乱し、真っ赤な口紅をさして道を着物を引きずって歩いていた。
    そのせいか、母に「あの子と付き合うのは止めなさい」と言われて翌日からぱったり付き合いをやめた。

    そのことが今でも重く心に残っている。
    卑怯だった・・
    そんなことを思い出しながら読んだ。

    私の時代も悪ガキはいた。
    私は小学生のころよく泣かされて帰ったものだった。
    いじめではないんだけど・・
    女の先生は頭を抱える問題児、学年が代って男の先生になったらおとなしくなった。

    悪でも今とは全く違ったものだった。
    あっけらかんとして、決して陰湿なものではなかった。

    文中の写真が、今はなくなった小学校の頃のことを次々に思い出させた。
    いい時代だった・・
    今の子供たちは味わうことができないだろうなぁ。

    作者の出身は隣町、余計懐かしかった。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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