- Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
- / ISBN・EAN: 9784418075065
感想・レビュー・書評
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240507
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フライシュライン(ドイツ、詩人)の「心に太陽を持て」の詩を検索していて見つけた本。
作者・藤原正彦(『国家の品格』の著者)の、小学校4年〜6年卒業までの自伝的物語。戦後、貧しいけれど、正義感あふれたガキ大将だった正彦少年。
こんな時代のこの価値観は、もう終わってしまって無い、とは思いたくない。
作者のお父さんは山岳小説で著名な新田次郎、母は藤原てい。
武家の出身だったという父の教えで、力を用いることを否定しない人だった。しかし、その力を使う時は「弱い者を救うためには力を用いてもよい」というもの。そして、卑怯とみなし厳禁した5つの事がある。
1・大勢で一人を殴ること
2・大きな者が小さな者を殴ること
3・男が女を殴ること
4・武器を用いること
5・相手が謝ったり泣いたりしてもなお殴ること
これら5つの禁じ手は、犯すことはもちろん、それを見逃しては絶対にいけない、と教えられたという。
それらは卑怯だから、卑怯にはなりたくない、という感覚。
なんかカッコいい。 -
正彦少年の小学校時代を描く。小学校高学年ぐらいから読める。
「卑怯なことはするな」「見て見ぬふりもするな」という父の教えを守る正彦少年は、自分もこうありたい、というあこがれを喚起する。 -
「心に太陽を 唇に歌を」
マンガ武装錬金に似たフレーズがあった気がして、
タイトルが気になって読んだ。
薄くて文字数も少なかったし。
読みやすい文体だった。
小学校の景色や、子どもの声が聞こえてきそうな文体で心地よかった。
弱いものを守る。仲間を守る。
「守る」って概念が実生活で感じられないから、
「読んだ時に、いいなぁ。こうありたいな。」っと思うんだろうな。
私は弱者に優しくなれるほど、強くない。 -
懐かしい思いで読んだ。
私の小学校のころにもこういう男の子がいたなぁ・・
秀治のような子もいたなぁ・・
そして、私は一つ今でも傷になっていることを思い出した。
転校生の女の子、今でも苗字は覚えている。
転校してきたときに真っ先に友達になった。
いつも一緒にいた。
彼女の家は近所だった。
ボロ屋で障子はボロボロ、お母さんは着物を肌蹴て、髪を振り乱し、真っ赤な口紅をさして道を着物を引きずって歩いていた。
そのせいか、母に「あの子と付き合うのは止めなさい」と言われて翌日からぱったり付き合いをやめた。
そのことが今でも重く心に残っている。
卑怯だった・・
そんなことを思い出しながら読んだ。
私の時代も悪ガキはいた。
私は小学生のころよく泣かされて帰ったものだった。
いじめではないんだけど・・
女の先生は頭を抱える問題児、学年が代って男の先生になったらおとなしくなった。
悪でも今とは全く違ったものだった。
あっけらかんとして、決して陰湿なものではなかった。
文中の写真が、今はなくなった小学校の頃のことを次々に思い出させた。
いい時代だった・・
今の子供たちは味わうことができないだろうなぁ。
作者の出身は隣町、余計懐かしかった。