アゲハ蝶の白地図

著者 :
  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418085019

作品紹介・あらすじ

世界が驚嘆した『アジア産蝶類生活史図鑑』全2冊を完成させ、"蝶大国・日本"に導いた快男児の珍記録!蝶に賭けた人生と行動力は、私たちに勇気を与える感動のドキュメントです。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。フルタイムジョブをもつシチズンサイエンティスト、蝶の研究者の採集旅行を中心にした旅エッセイ、俺TUEEE系武勇伝。イラク、イラン、インド、フィリピン、ブータイン、中国、スラウェシ、ラオス、オーストラリア、シンガポール。私が生まれる前の、イラクなどのいわゆる”危険地帯”での様子がとても興味深い。
    P211
    >我々の頭の上にはいつも一羽の大きな鷲が遊弋していた。
    >見上げると第二次大戦中空襲に飛来したアメリカ軍の重爆撃機B29を思い出して、少し気持ちが悪い。
    P246
    >このエレクトラっていう飛行機はアメリカ爆撃機のB29を改造して旅客機にしたもので、横風に弱いんだよ。
    >第二次大戦中さんざん日本本土を爆撃に来たあのB29に、22年後、旅客として搭乗しようとは夢にも思わなかった。
    そして、そのエレクトラが墜落し、助かった直後に墜落機を背景に記念撮影する著者。後の燃える機体の中には22名が死亡している。
      読んでいて、ヒヤヒヤしてしまうのは、ビヘイビアや言動がまさに昭和、戦後の好景気の頃のゼネコン関係特有の、あの香りただよう。タバコと酒とマウンティングの香り。ムスリムの国で酒を飲み、飛行機の中でタバコを吸って、現地の人を雇って「家来」と呼ぶ、昭和です。しかも、現地の嫌な人に悪いあだ名をつけて、内輪で盛り上がったりする件などは、とても読んでいて辛い。余裕のない生活で老けるのが早い地域の女性を、その容姿から老婆扱いしたり、チビやデブなどという表現も平気で使っているのがとても残念。フィクションならばまだしも、ノンフィクションなので、国際人としては少々問題というか、今なら国際問題になりかねないような、私有地での採集や、昆虫を含む動植物の採取の禁止法律ができた国で、無理に採集活動をしたりする様子が、まるで武勇伝のように描かれているのに苦笑する。
     ラオスでは何らかの感染症(病名は不明)により、日本人全員が高熱、下痢嘔吐などで数日間苦しむが、著者の妻はその間、公用で日本に帰国し日本で発病、日本滞在中に体重を20キロ減らして、ラオスに戻ってきたというようなことも言及されていて、当時の検疫システムのザルさかげんに驚く。というか、あまりにも感染症に頓着なさすぎて、恐ろしい。
     運の良い人で、尚且つ健康な人は死なないものだな、、と思った。 
    面白いことは面白い、昭和の感覚の違いを考慮しながら読みたい作品。

  • アジアの蝶の研究のパイオニアで、日本を蝶大国へと押し上げた理学博士のお話。蝶の研究といってもそこらにいるような蝶ではなく、ジャングルや砂漠など苛酷な環境にしかいないような珍しい蝶を調査研究しています。そのような危険な場所にも飛び込むため、巨大なヒルに襲われたり、原因不明の高熱にみまわれたり、毎回九死に一生を得ています。蝶に一生を賭けた生き様に胸が高鳴る本です。

  • 蝶をめぐる収集欲を満たす旅。
    だけれどもこの旅が
    また珍種を探すのだから
    ただで終わるような旅では無論ありません。
    もちろん、さまざまな危険と隣り合わせ。

    もちろん衛生面の都合上で
    体調を崩すのもやはり
    秘境であるからこそ。
    珍種ひとつをとるには
    さまざまな苦労が必要ということです。

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