たなばたのねがいごと

著者 :
  • 世界文化社
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本棚登録 : 245
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (24ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418188222

作品紹介・あらすじ

「こわれたり なくなったり しない もの?  じかんが たっても  だいじな もの?  それって、なんだろう?」
七夕の日、あおいは一生懸命考えました。あおいが短冊にこめた願いとは…?
おばあちゃんと孫の“家族のつながり”を描いた、珠玉の絵本。世代を超えて、深く味わえる一冊です。
七夕の行事絵本として、読み聞かせにもおすすめ。

感想・レビュー・書評

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  • 七夕に向けて、笹に吊された、願い事の書かれた、たくさんの短冊を見て、幼稚園の先生がこう言いました。

    『ほんとうに すてきな ねがいごとは、じかんが たっても こわれたり なくなったり しない ものなのよ』

    それについて、真剣に考える、「あおい(女の子)」は、両親がいつも仕事で忙しいため、いつも代わりにお迎えに来る、おばあちゃんにそれを尋ねてみると・・

    『おはなが きれいに さいて くれる わくわくは、じかんが たっても、なくならないねえ』

    『あおいが この やさいたちみたいに、
    げんきに そだつ うれしさも きえないねえ』

    しかし、それに対して、あおいはぷるぷると首を振って、

    『おはなが さくのも、あおいが げんきなのも、
    ねがわなくたって あたりまえだよ』

    と思う、その無邪気さが胸に染みる。
    子どもの中では、それが当たり前の世界であることを望んでいるんだってことを。


    「えがしらみちこ」さんの描く絵は、そのふっくらとしたお顔の素朴な愛らしさと、目に気持ちを語らせる表現が印象的で、それは、あおいのおばあちゃんへ向けた好奇心や喜び、そして憧れにも、よく表れております。

    その中でも、とりわけ印象的だったのが、おばあちゃんと一緒にボートに乗っている時、急な強い風でボートが揺れて、思わず、おばあちゃんのひざに、しがみついてしまったときの、「ご、ごめんね、おばあちゃん。おひざ、いたく なかった?」という台詞での、おばあちゃんに向けた、心配そうで不安を帯びた眼差しであり、この場面を見るだけで、普段あおいが、どれだけおばあちゃんの事を大切に感じているのか、よく分かる。

    更にその後のエピソードで、既におじいちゃんに先立たれていた事が分かり、あおいは、おばあちゃんに、「ねえ、おばあちゃんも おりひめさまみたいに、おじいちゃんに あいたい?」と、おそらく、この時は深く考えることなく、無邪気に聞きますが、この答えが寝る時になって、あおいの胸に不安を宿します。


    正直なところ、最初に記載した幼稚園の先生の言葉には、よくよく考えると、ちょっと辛いものがあって、私の場合、そうでないものばかり思い浮かべてしまい、それはまるで、現実の非情さを却って強調させているのではといった、非常に穿った、ものの見方をしてしまいました。

    しかし、そんな不安感は、ラストのあおいの願いごとと、それに則った行動によって払拭され、こんなあどけない女の子が一生懸命考えに考えて、それを実践しようとしているのに、いい歳した私が何をしているんだと、逆にあおいに励まされた気持ちになって、改めて実感したことは、『いち、にい、さんで一緒に歩くこと』に込められた、あおいの純粋な望みと、おばあちゃんへの大切な思いでした。


    以上、駆け足でしたが、七夕の絵本三冊、紹介させていただきました(今日が仕事休みで良かった)。
    素敵な七夕の夜をお過ごし下さい☆彡

  • 3歳8ヶ月息子

    願い事について。
    まだこのくらいの年齢だと、願い事って○○が欲しい!とかになりがち。願い事の説明かぁ〜…と思っていたのでちょうどいい絵本だった。
    願い事は、なくならないもの。

    まぁ、「○○がほしい」って書くのも、そのこと自体が可愛いので、まだ修正しなくてもいいのにな〜なんて思ってしまう過保護な母です。

  • ついつい目の前の楽しみを書いてしまいがちな七夕の短冊の願い事。いつまでも変わらないことが本当の願い事と気付かされる、とても深い内容の絵本。優しい絵柄も良いところです。幼稚園児にとっては先だったおじいさんの話のところとか理解が難しかったようです。もう少し大きくなれば再度読みたい絵本。

  • あおいちゃんは、おばあちゃんが大好きだから、おばあちゃんにやさしいし、たくさん心配する。
    ぼくは、大好きでも、つい自分のことを考えてしまう。
    あおいちゃんは、やさしいと思った。

    でも、おばあちゃんはもっとやさしい。ぼくは、この絵本に出てくる人では、おばあちゃんが一番好き。ただ、ボートはあんまりこげてないような気がする。

    「願い事」っていうのは、自分たちの力ではどうにもできないけど、それでもかなえたいことだと思う。ぼくも、来年の七夕はそういうお願いができるといいな。(小4)

  • 無くならない願い事
    良いです。

    早速こどもと短冊かきました

    5歳、宇宙飛行士とロボット名人になりたいようです

  • 《本屋》【再読】短冊に、願いごと最近書いてないなあ。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00589195

    「こわれたり なくなったり しない もの?  じかんが たっても  だいじな もの?  それって、なんだろう?」
    七夕の日、あおいは一生懸命考えました。あおいが短冊にこめた願いとは…?(出版社HPより)

  • 「すてきなねがいごとは、じかんがたってもこわれたりなくなったりしないもの」
    ん〜奥深い。私にも上手く答えられないかも(汗)
    でも、あおいは見つけることができた!スゴイぞ‼︎

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著者プロフィール

ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科教授
児童文学作家・児童文学者
保育園・幼稚園・図書館・児童養護施設・老人保健施設・刑務所など様々な場所で絵本の読みあいを続ける。
『チャーシューの月』(小峰書店)で,日本児童文学者協会賞。
「長期入院児のための絵本の読みあい」(西隆太朗と共同研究)で,日本絵本研究賞。
『あららのはたけ』(偕成社)で, 坪田譲治文学賞。『こくん』(童心社)でJBBY賞。
主な著書に、『感じあう 伝えあう ワークで学ぶ児童文化』『「こどもの本」の創作講座』(以上、金子書房)、『保育をゆたかに絵本でコミュニケーション』(かもがわ出版)、『幼児理解と保育援助』共著(建帛社)など。

「2024年 『立ちあう保育 だから「こぐま」にいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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