グループ経営入門〔第3版〕: グローバルな成長のための本社の仕事

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  • 税務経理協会
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784419063221

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  • 今まで事業部門でしか働いた経験がなかったので、いわゆる「本社機能」の人がどういったことを考えているのか、何をすべきなのか、学びになりました。

    以下はポイント。
    ■グループ経営の成功に向けた5つの提案
    ①理念も数字も「ゴール」を決めて共有する
    ②まずは「投資家」に徹し、事業を見極める力を磨く
    ③「投資家」として必要な武器はきちんとそろえる
    ④「エラいだけの本社」にならず、連携を促す力を発揮する
    ⑤グループを束ねていくときに、「きれいごと」ばかりいうのは止める

    ■本社が果たすべき機能
    ①見極める力
    ・純粋な意味での投資家機能
    ・投資家機能を発揮するためのインフラ整備機能
    ②連ねる力
    ・戦略的投資家としてのシナジー発揮推進機能
    ・戦略的投資家としてのインキュベーション機能
    ③束ねる力
    ・外部に向けてグループを代表し経営資源を獲得する機能
    ・内部に向けてグループをひとつにしていく機能

  • 企業価値の向上に関して企業理念の実現とキャッシュフローの創出という二つの局面から解説。基礎的な企業財務や経営理論を交えて解説されておりしっかりと読めば役に立てそうだが、冗長な内容で途中飽きた。P132ファイナンスの基本は押さえる以下が役に立ちそう。

  • 『一方、機能が定義できておらず、本社の仕事を理解していない人が本社で多く働いていると、その企業は間違いなく縦割りや官僚化が進み、元気がなくなってきます。

    こうしたサイロのような組織の中で、受身的な規制対応だけに専念して仕事をした気になっている高圧的な本社パーソンなどが跋扈していたらもう最悪です。そうなっていないか、改めて身の回りを見渡してみてください。』

    すごく基本的なことが書かれているんだけど、よくまとまっていて勉強になる。
    見極める力、連ねる力、束ねる力、これだけなのはごもっともなのですが…。

  • 税務経理協会ってところから、こんな本が出てるんだーと驚くのはどうでもいいとして、これはほんとわかりやすい。特に最後の束ねる力。

    (本社の機能)
    ・「見極める力」→投資家的機能
    ・「連ねる力」→連携強化機能
    ・「束ねる力」→グループ代表機能(ガバナンスもここ)

    ・事業部門は、あくまでその事業における部分最適を追求するのが仕事。部分最適の合計は必ずしも全体最適にならないので、全体最適を考えながら各事業への資源配分を考えるのが、本社の仕事。
    →一部門にレベルを落として考えると、企画部門と実行部門にも同じことがいえそう。実行部門が、その部門での最適を追求することが前提にある。それをドライブする業績評価とモチベーション維持の仕組みとコミュニケーションもあわせて。
    →立ちはだかるのは、「現場主義」(事業部制)。

    ・本社が持つべき機能。機能がしっかり定義できてさえいれば、いろいろな本社の組織がそれぞれの機能・仕事にいそしんでいても全く問題ない。しかし、機能が定義できていない、本社の仕事を理解していない人が多くなると、その企業は間違いなく縦割りや官僚化が進み、元気がなくなる。(p74)

    ・責任と権限の委譲をするのであれば、負債と資本の構成も事業部門に任せる。一方、配当を吸収し、投資の決定も行わせないのであれば、資本構成に責任は持たせにくい。一貫した考えのもとに本社と事業部門との関係を構築しないと、必ずどこかで齟齬が生じる。(p181)

    ・双方向のプロセスを進めるには、「簡潔な」フォーマットを作る。フォーマットがもたらす意識変化のプロセスを利用する。グローバルに企業を動かしたければ、グローバルに使えるフォーマットが重要。そのためには、いまよりスペックを3割落とす。(p184-186)

    ・経営管理で妥協しない(p235)
     →自社の管理体系をいかに迅速に被買収企業にインストールするか。ツールも同じにすべきだろうか。仕組みの形だけで十分か。
     →被買収企業のほうが進んだ経営管理だった場合、迷わずそれを使おう。そして、全グループに展開するプロジェクトに被買収企業を加える。

    ・ピラミッドをある時点まで登ったら、逆にそこからピラミッドの全貌を見渡して、何が必要なのか、何が不要なのか、常にリスクを取りながら判断をしなければならない。(=マネジメントトレーニングの必要性)

    ・監査・指名・報酬の3つを押さえる。特に、後2つの押さえられていない企業統治の仕組みは単なる砂上の楼閣。

    ・子会社内部での監査を頑張ってもあまり意味はない(子会社ガバナンスの観点)。重要なのは、親会社から子会社を見るための監査。

    ・多様性を受容する前提には、個における規律と自立をがある。多様な視点と骨太な軸の両方で物事を考えること。暴走する個性に歯止めが効かなくなるのも、多様性に慣れていないがゆえの、規律する軸がない証。

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著者プロフィール

東京都立大学大学院 経営学研究科教授、東京都立大学 経済経営学部教授
株式会社日本長期信用銀行にて国際審査、海外営業などを担当後、ムーディーズジャパン株式会社格付けアナリストを経て、株式会社コーポレイトディレクション及びブーズ・アンド・カンパニー(旧ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン)株式会社にてパートナーを務める。諮問委員会委員、公認会計士試験委員、公的機関の経営委員、上場企業数社の社外取締役などを務めている。
著書『グループ経営入門 第3版』(税務経理協会)、『これならわかるコーポレートガバナンスの教科書』(日経BP社)、『コーポレートファイナンス実務の教科書』(日本実業出版社)、『ESG経営を強くするコーポレートガバナンスの実践』(日経BP社)、『経営改革の教室』(中央経済社)など。
東京外国語大学外国語学部卒、仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院経営学修士、筑波大学大学院企業科学専攻博士課程修了。博士(経営学)

「2021年 『図解入門ビジネス 最新 コーポレートファイナンスの基本と実践がよ~くわかる本[第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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