愛と心理療法

  • 創元社
4.08
  • (24)
  • (9)
  • (18)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 156
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422110837

作品紹介・あらすじ

精神的成長という「行く人の少ない路」歩き続ける心理治療家が、具体的な臨床場面に綿密な検討を加え、生涯にわたる愛のありかたを吟味してみせる。米国で多く読まれたベストセラー!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 以前読んだ『平気で嘘をつく人たち』の作者であるスコットペックの代表作。
    ここで語られる「愛」とは男女間のそれと言うよりは、親から子供に向ける無償の愛という意味に近い。一口に愛と言ってもその範疇が広すぎるので仕方がない。
    人生には近道はなく、本書の書き出しも、「人生は困難なものである。」から始まる。
    「我々の多くは・・・真向から問題と向きあわずに、回避しようとする。苦しまずに問題から逃げようとするわけである。」「神経症とは当然ひき受けるべき苦しみの代用物なのである」カールユング
    その行動様式については、「養育の質が決定要因であることがかなりはっきり示している」と。
    途中、「愛」と勘違いしそうな「恋」についての解説もあり腑に落ちる。
    「人生における唯一の真の安定は、不安定を享受することにある」と。
    テレフォン人生相談の加藤諦三の言葉、「変えられるものは変える努力を、変えられないものはそのまま受け入れましょう」を思い出す。

  • 1

  • 人生に大きな影響を与えた本。
    愛は感情ではない、意志である、と明確に語るシビアな内容。
    しかしここまで「愛」について真正面から書いたものは、他にないのでは?
    大人なら一度は読みたい、非常に秀逸な一冊。

  • 「人生とは」人生は困難なものである。これはもっとも大きい真実の一つ。ひとたびこの真実を悟ればそれを超越できる。
    (地図と健康)日々現実について新しい情報を浴びせられている。それを組入れようとすればたえず地図を改訂しなければならない。大幅な改訂の場合は、耐え難いほど苦痛なことがある。人間の病の多くが主としてここに発している。心の健康とは、あらゆる犠牲を払っても現実に忠実であろうとする、生きた過程である。
    (不安と責任)人生における唯一の真の安定は、不安を享受することにある。人生において何が自分の責任で何がそうでないかを見分けることが人間存在の最大の問題の一つだ
    (生と死)死がつねに自分と共にあり、「左の肩」に乗っているのを知って生きることができれば、死はドンファンのいう「盟友」になることができる。それでも恐ろしいことに変わりはないが、絶えず賢明な助言を与えてくれる源になる。死を考えることで、生きて愛する時間に限りあることをつねに意識すれば、おのれの時間を最高に生かして最も充実した人生を送れるようになる。死ないし物事の移ろいやすさから逃れることは、必然的に人生から逃れることになる。
    「愛とは」愛とは自分自身あるいは他者の精神的成長を培うために、自己を拡げようとする意思である。恋に落ちる現象の本質は、個人の自我境界の一部が突然崩壊して、自分のアイデンテイテイが他者のそれと融けあうことである。本当の愛とは絶えず自分が広がってゆく経験である。恋愛の場合はそうではない。
    (愛と結婚)錯覚に基づく一時的しかありえない幼児的な一体感と全能感への退行がなければ、現在幸せな、あるいは不幸な結婚をしているわれわれの多くは心底怖気づいて、実際に結婚の誓いをすることから逃げ出していたに違いない。
    (傾聴と愛)本当に聞くこと、心を他者に集中することは、つねに愛の表れである。その本質的部分はかっこづけ(ブラケッテイング)の訓練であり、自分の偏見や枠組み、願望を一時的に放棄あるいは保留することにある。それによって、可能な限り話し手の世界を内側から、その人の身になって理解するのである。話し手と聞き手が一体となることは、事実上自分自身の拡張拡大であり、新しい知識はつねにここから来る。それだけでなく、本当に聞くことはかっこづけないし自己の保留を意味するので、一時的に他者を完全に受容することになる。こうした受容を感じると、話し手はますます心の奥深い部分をさらけだす気分になる。
    「子、家庭、教育」両親から安定した関わりを与えられなかった人が共通に持つ、おとな同士の関係における問題のひとつは、「棄てられる前に棄ててやる」症候群である。
    (学び)子どもから学ぶことは、有意義な老年を保証する最良の機会である。悲しいことに、ほとんどの人がこの機会を利用していない。
    (親のふるまい)大抵の人には、配偶者や子どもと純粋に愛の関係を築くだけでも、自分を拡大する能力の限界に挑むことになる。 われわれが成長する文化的環境の中で、最も基本的なものは家庭の文化であり、両親はその「文化的指導者」である。さらに、その最も重要な側面は両親が語ることではなく、その行動ー夫婦間の、兄弟に対する、とりわけわれわれに対する振る舞いである。
    (家庭の財産)子どもが楽しみを後にまわす能力を発達させるためには、自律のための役割モデル、自分の価値を信じる感覚と自分の存在についての安全感が必要である。このような財産は、理想的には親の自律性と一貫した純粋な愛によって得られる。これが父母が伝える最も貴重な贈り物である。
    (脳の中の小宇宙)大抵の人は、自分の能力を下回る狭い準拠枠に基づいて生活して、特定の文化、特定の両親、特定の子ども時代の経験が、自分の考えに及ぼしている。 影響を超えることができない。だから、人間の世界が葛藤に満ちているのは驚くに当たらない。互いに折り合ってゆかねばならない全人類が現実についてたいへん異なった見方を持っており、しかも、自分の見方こそ正しいと思い込んでいる。それはそれぞれが、個人的な小宇宙的経験だけによっているからである。さらに具合の悪いことに、大抵の人はおのれの世界観を十分に意識していない。その上、その源であるおのれの経験の特殊性についてはもっとわかっていない。
    (無意識) 人を教育するとは、新しいものを詰め込むことではない。むしろ何かを引き出す、つまり無意識から意識へと引き出すのである。
    (怠惰と愛)怠惰は愛の対極にあり、われわれの生に現れるエントロピーの力である。怠惰の主な形は恐れである。その多くは、現状を変えて今あるものを失うことへの恐れである。
    (無意識の意識化)われわれが新しい事実に気付くのは、それが真実であると意識が認めることである。無意識はすでにそれを知っていた。だから意識するとは無意識と共に知るといえるのではないか。意識の進化とは無意識がすでに知っていることに気付いてゆく過程なのだ。

  •  少々辛口で、とてもアカデミックな本ですが、読みほどいていくうちに、自分がいかに不遇な人生であっても、いかに惨めな人生であっても、親や社会を責めても仕方ない。自分で解決していって、その愛を次の代に思いっきり注いであげてほしいということがよく分かる。
     とてもそんな気になれないという人も、自分がそうなりたいと強く思えば必ず、精神疾患でも何でも回復は近い…と思います。
     難しい本のように見えますが、必ず入り込めます。

  • この本は、実は4年前に読んでいて、当時の私がものすごく救われた本の1冊です。
    その当時は、繰り返し繰り返しすがるように読んでいました。
    それが落ち着き、本棚にしまわれて4年。
    先日、友人の恋愛話の悩み相談に乗っていたのがきっかけで、またふと手に取り、読み始めて新たな気づきの嵐に興奮してしまった。
    すでにこの本を読んでいる私には、その友人が抱えてる問題の肝心なところが僭越ながらも見えるところがあり、実際のところ、その「肝心なところ」は彼女自身が自力で気づかないとしょうがないことなのだよ、と言ってあげることしかできない。
    「1+1=2」、その「2」という手っ取り早い答えがほしい彼女は、その私の言葉に困惑する。
    私自身その「肝心なところ」に気づけたのは、この著書と、もう1冊(「7つの習慣」という本だが)のおかげと言っても過言じゃない。
    だけど、まだまだ私も成長発展途上なので、うまくヒントを与えてあげられたかどうかわからない。
    この本を「読め!」というのはたやすい。しかし、今の彼女には読めないような気もするのだ。
    決して難しい読みにくい文章ではないのだけど、だからと言って決してスラスラ読める内容でもない気はする。
    彼女は、まだ自分としっかり向き合う覚悟ができないというか?依存的というか?そのことに「自分で」気づいていないところがある。その状態で読むのはちょっとキツい本かもしれない。
    これからの彼女の苦悩具合によっては、ツラくてもこの本を読んでもらうしかないときが来るような気もするだが、今・・、じゃない?
    今の彼女と私の関係は、いつか彼女がこの本を読めるための?、まさにこの著者と患者さんの感じがあって、私自身がここに書かれている「愛」をすごく実践させてもらってる感じなのだ。
    誤解があると困るが、決してカウンセラー技術を説明した本ではないし、私自身えらそうに人を導きたいわけでもない。
    この邦題はあんまりよくないかも。原題は「The Road Less Traveled」(行く人の少ない路)という。
    こちらが、まさにぴったしカンコンだ。
    実は私にとっては、この本に共感できない人は、私の周りから去ってくれ!と言いたいほどの本である。
    この本の言葉を、内容を、共有し語り合えない人は私の人生には必要ない!と言いたいほどの本である。
    しかし、そんな手っ取り早い楽チンな取捨選択は、この本でいうところの「愛」ではないのであろう。
    それでも、「今の」私は言いたい。
    この本に書かれていることを理解しようとしないヤツとはパートナーシップを組む気にはなれない。

  • 古本屋でとっても見かける本で、題名に魅かれて手にとってみた。アメリカでのベストセラーで、パトリックもむかしお母さんからもらったよう。偶然でびっくり。大変なことを後回しにするな。楽しい事は後にとっておけ。って感じかな?アメリカの宗教が子供に与える悪影響についても書かれていた。私も同じ考え。なんでもなかれ主義で罰を多く強要すると、精神的に自立できない子供になるのではないかと思う。いつも何かに脅えている感じ。アメリカは自由の国と思っていたけれど、宗教という縛り(規律)があるという一面も知ることができる。もちろんすべての宗教ではないけれど。日本の田舎の体裁を気にする価値観と似ている気がする。相手を神の目にするか、世間の目にするかの違いかな。

  • カルロスゴーンさんの愛読書!!
    人として愛を考えましょ。。

  • ゴーンさんの愛読書と聞いたので読んでみました。とてもよかったです。最後の章が私にはちょっと難しかったですけど。

  • 10年来の愛読書。

全13件中 1 - 10件を表示

M.スコット・ペックの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
村上 春樹
松下 幸之助
デールカーネギ...
スペンサー ジョ...
ロバート キヨサ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×