思春期女性の心理療法:揺れ動く心の危機

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422111254

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  • タイトルそのまま、思春期の女子に心理療法をいかに適用するのがよいのかを考察している。
    精神科で心理士として働く経験を活かして書かれたものなので、本書で描かれる少女たちは
    まだ軽症とはいえ何らかの精神疾患を抱えている。
    しかし、彼女たちが語ったり雰囲気から発せられる悩みはわたしたちに理解できないような特別なものではなく
    「普通」とか「健康」とはこの時期においてはなんとも曖昧なものなのだと思わされる。
    思春期の少女はまだ気持ちを言語化することが難しく、非言語的な媒体や雑談を取り入れることが有効だというのが
    全体を通しての筆者の主張であり、それは筆者が大学院修士課程で遊戯療法に全力を注いでいたこととも関係するのだろう。
    事例を読んでも非言語的な関わりが果たす役割は大きく、また終結も済し崩し的なものが多く
    徹底的な治療よりも、彼女たちの成長する力の発露を待つ「柔軟さ」こそがこの時期の心理療法には大切なのだと思わされた。
    筆者が述べていたことだが、まさに思春期とは児童精神医学と成人精神医学との谷間にあるものなのだろう。

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著者プロフィール

菅 佐和子(すが・さわこ)

1949年生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。教育学博士。

● 愛知医科大学精神科、愛知女子短期大学勤務を経て、2013年まで、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授。2015年まで、関西看護医療大学教授、2019年まで、京都橘大学健康科学部心理学科教授。現在:京都大学名誉教授。深草YYOS研究所。臨床心理士。

● 精神科病院臨床をベースとして、思春期カウンセリング、不登校支援、職場のメンタルヘルス、看護カウンセリング教育などの実践に長年携わってきた。現在の関心は、学校・職場に共通する心理的ハラスメント、高齢期女性の生き方、猫と人間の心の交流、短歌による自己表現など。


編・著書に、次のようなものがある。
『思春期女性の心理療法』〔創元社,1988年〕、『事例にまなぶ不登校』編〔人文書院,1994年〕、『「永遠の少年」の娘たち』〔星和書店,1996年〕、『教師がとりくむ不登校』編著〔人文書院,1997年〕、『彼女がイジワルなのはなぜ?』編著〔とびら社,2002年〕、『職場のメンタルヘルス相談室』編著〔新曜社,2009年〕、『箱庭ものがたり』編著〔木立の文庫,2020年〕などがある。

「2020年 『たましいの心理臨床』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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