アメリカは正気を取り戻せるか: 精神科医が分析するトランプの時代

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422360133

作品紹介・あらすじ

直情的、?つき、無知、ナルシシストなど、トランプほど大統領にそぐわない資質を持った大統領はこれまでいなかった。多くのメディアが、アメリカ精神医学界の権威である著者に、トランプは精神疾患を患っているのではないかと問いかけてきた。しかし著者は言う。彼は精神を病んではいるわけではない。病んでいるのは、彼のような人間を大統領に選んだアメリカ社会の方である、と。
トランプを「クレイジー」だと批判し、すべての困難をトランプのせいにすることはたやすい。しかし、それではこの病んだ社会に潜む狂気に立ち向かえなくなってしまう。アメリカ社会が正気を取り戻すためには、どうすればよいのか? 著者は、トランプの妄想によって引き起こされた人類存続の危機に対処する方法を一つひとつ紐解き、提示してゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 病んでいるのはトランプではなく、社会そのものだ。世界の政治経済を混乱させるような人物を大統領に選んだアメリカ社会の病理を、精神医療の世界的権威が分析した書籍。

    トランプはアメリカや世界に脅威を与えている。
    人類の未来を決める指導者として明らかに不適格だが、そのような人間を大統領に選んだアメリカ社会こそ、クレイジーといえる。

    今、世界は破局に向かって進んでいる。にもかかわらず、人々は現実に向き合おうとしない。
    その代わりに、「地球温暖化や環境汚染を心配する必要はない」「裕福さの恩恵はすべての人に行き渡る」といった妄想を抱え、危機の存在を否定するという、誤った考えを持ち続けている。

    我々の祖先は、自分が住む世界を実際にはほとんど支配できなかった。そのため、儀式や神話などを使って自らが世界を支配しているという幻想を作り上げ、精神的な安心感を得ていた。今日、社会に蔓延する妄想は、その現代版である。

    妄想を生みだす思考を強めるものに、例えば、次のような認知バイアスがある。
    ・短期バイアス:
    短期的な視野に立ち、近視眼的な意思決定をする。
    ・楽観主義バイアス:
    利益を過大評価し、リスクやコストを過小評価する。
    ・統計バイアス:
    テロのようなめったに起こらない事件を恐れる一方で、交通事故のような当たり前に起こるリスクを過小評価する。
    ・確証バイアス:
    自分と同じような考え方をする集団に属することにより、自分の思考は偏っていないという信念を持つようになる。

  • Political correctnessってこういうことだよね、ということがひたすら並べられていて、面映い気持ちになる。トランプ派ではないだろうが、このような文章は全くトランプ支持者には響かないんだろうなと思う。

    融和って正論を唱えるだけではダメだけど、この状況下何が本当に効果的かを考えるのは難しい。

  • アメリカはトランプという首相を選んだにも関わらず、トランプがクレイジーだと決めている。

    自分がした決断に対してちゃんと向き合うことの大切さ、また誤った判断を下す要因について書かれていた。

    自分が間違った決断をするのはいろんなバイアスによるものが大きくて、しっかり事実を事実として捉えることが大切だと感じた。

  • 一冊丸ごとトランプ批判。

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著者プロフィール

アレン・フランセス(Allen Frances)
デューク大学医学部、精神医学・行動科学学科名誉教授。医学博士。『精神疾患の診断と統計マニュアル』第4版(DSM-IV)作成委員長、DSM-IIIおよびDSM-III-Rの作成の主導メンバーの一人でもある。著書に、世界的ベストセラー『正常を救え』(講談社)のほか、『精神疾患診断のエッセンス』(金剛出版)、『DSM-IV-TRケーススタディ』(医学書院)などがある。

「2020年 『アメリカは正気を取り戻せるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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