- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784433484583
感想・レビュー・書評
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本郷尚氏はこういう方だったのか。
関根氏との関係も含めてへ~詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本郷尚税理士の半生が綴られた書籍。本郷先生が立ち上げたタクトコンサルティングは資産税の分野ではトップランナーで、資産税専門の先駆けとなった事務所だ。書籍の中の対談では関根弁護士も登場しており、現在の関根弁護士事務所は本郷先生のお誘いでタクトの隣に引っ越してきたそうだ。実績に裏打ちされた内容で、職業会計人は必読の書籍だ。
P128
「そこそこ食える」状態に安住するのが一番危ない
ーーほかの不動産鑑定士さんは、芳賀先生のやり方を追随しなかったのですか。
芳賀 しませんでした。地価公示の仕事をやっていれば、とりあえずは食べていけたからでしょう。
本郷 「そこそこ食える」というのが一番危ないのですよ。安定収入というと聞こえがいいけど、相手先がぽっとなくなってしまったらアウトです。私はいつもそういう危機感を持っているので、時代の変化にアンテナを張り、次の一手を常に考えています。ほかの業界なら、市場調査やマーケティング、営業活動はあたり前のこと。ほかの業界のほうが参考になります。
芳賀 同感です。経営戦略コンサルタントの塩見哲さんがこんな問い掛けをしています。
「漁師さんがいました。朝起きて漁に出ようと思ったら海がなくなっていました。皆さん、どうしますか」。
ーーなるほど。分かりやすい喩えですね。
芳賀 突然、海、つまり市場がなくなることが実際にあります。一例を挙げると、広大地の評価が地積規模の大きな宅地として大幅に改正されました。それによって鑑定評価の売上の3分の1くらいが消えてしまうのですよ。
P140
ーー顧問税理士ではできませんか。
本郷 医者でいえば、顧問税理士さんは内科あるいはホームドクターのような存在。手術が必要なときはやはり外科の先生が必要ですし、難しい手術であれば専門家がチームを組んであたらなければなりません。
P144
--- また、共通点が見つかりました。「人を育てていること」。ところで、良い講師になるには何が必要でしょう。
本郷 知識があって話が上手という人もいますが、本物になるにはなんといっても現場の経験です。知識のコピー&ペーストで話しているとやはり弱いですね。
--- 自分の経験なのか、他人の知識の受け売りかは聞いていて分かるものです。自分の経験で話している方は迫力があるし、どんな質問が出ても困らない。
芳賀 確かにそうですね。
P214
関根 司法書士さんの知識は絶対必要ですね。
本郷 事務手続きをするのは司法書士さんですから。
関根 そう。民法で解決しても税法でダメになればアウト。そこをクリアしても登記できなければアウト。最後に手続きをするのは司法書士さんですから。
P224
関根 借り物ではない、自分の言葉や考えが大事ですよね。それをぶつけ合うことから、全く新しい何かが生まれる。
本郷 そうです、そこからまた違うものが生まれてくる。その感覚が好きだし、楽しい。
--- 本を読んで得た知識は借り物ですが、その中のひとつでも自分の中にストンと落ちて、自分の考えと融合して残ったものは語れるような気がします。
関根 逆に、自分の中にストンと落ちるところがあるから本が読めるんです。
--- ああ、そうか、そうですね。
関根 こういうふうに、ストンと腑に落とさせるのが、私の技です(笑)。
P226
関根 変わり続けることです。日々学び、日々新しい情報や知識を手にする努力が必要です。10年前と同じ仕事をしていたら、どの業界でも生き残れません。
本郷 変わり続けることは大事ですね。関根先生と今日こうやって話すでしょう。翌日はもう違うことを話している。1週間後はもっとふたりとも進化している。年齢を重ねても、お互いに日々変わっていける。だからおもしろい。
関根 ひとつ付け加えると、若い税理士さんはやはり知識を学ばなければなりません。本の知識だけでなく、現場からどれだけの知識を吸収するかが大事です。他人の人生を、これほど深く幅広く知ることができる仕事はほかにありません。人生の深みも人生の起承転結も知ることができる。そういう意識を持って観察していると「人生は必然だ」ということが分かります。だから、自分の必然がどういう将来をつくり出すかを学習するために、人の必然をしっかりと観るべきです。ほかの人の人生を観て、自分の人生を考え抜いてこそ、お客様の人生にもアドバイスできるようになるのだと思います
本郷 こういう話をしてくれるから関根先生と話していると刺激されるし、どんどん発想が膨らむのですよ。