貧乏大学生の裕太は、破格のバイト代につられ、自分とそっくりな――けれどお金持ちな先輩・幾美の身代わりを務めることになった。
何でも、身体の弱い知り合いの女の子と、ひと夏を一緒に過ごさなければならないらしい。
女の子――あやめはまるで妹のようなかわいらしい女の子だったのだが、その兄・克之は、裕太に対し、冷たい視線を向けてくる。
克之は、幾美の遊びっぷりを知っていて、それで冷たい視線を向けてくるのだった。
けれど、そうやって冷たい目を向けながらも、不器用な優しさを知るにつれて、次第に、裕太は克之のことが気になり始めてしまう。
だがそんなある日、突然、克之にキスをされて裕太は大混乱。
どうして、克之はこんなことをするのだろう――?
と悩む裕太だったが、そのことから自分の気持ちが克之に向かっていることに気づいてしまう。
そして実は克之も同じ気持ちであると知り、身体の関係を持つようになる二人だったが、裕太は自分が本当は幾美じゃないことを伝えられずにいた。
嘘をついている罪悪感に駆られながらも、幾美としてでも克之と身体を重ねたい気持ちを止められない裕太。
時間を惜しむように身体をつなげ、求め合う。
克之は先の約束までくれるけれども、裕太にとってはこの夏が終われば、終わってしまう恋。
どんどん大きくなっていく裕太の気持ち。
そして軽井沢で過ごす最後の日がやってきて――
という感じの話でした。
かなりの枚数あるのに、もう少し、裕太の気持ちが克之に傾いていくところとか、丁寧に書いてほしいなー……と思うような話でした。
枚数あるのに、さっぱり系ってある意味すごいことだと思うんですが。
ただ、もうちょっと突っ込んでほしかった部分もあったりですこし物足りなく感じることもありました。
切なさと甘さは問題ないので、それだけが少しもったいなかったなー……と思いますが。
それだけ書いたらどんな分厚さになるのかちょっと想像できないので、これはこれでよかったんだなと思います。
さらっと読める切ない系の話が読みたい方にはオススメです。