ロボット化する子どもたち: 「学び」の認知科学 (認知科学のフロンティア)

著者 :
  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469213003

作品紹介・あらすじ

脳科学や自閉症教育に携わる一方ロボット開発にも取り組む著者が人間だけが本来持つアナログな「知」の特性を生かした21世紀の「学び」を提唱する。

感想・レビュー・書評

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  • 21世紀型高度情報化社会の「まなび」スタイル
     (1)ロボットの人口頭脳、(2)日本の「滲み込み」教育、(3)自閉症の三つのアプローチから、従来の「教え込み」教育スタイルからの脱却、21世紀型高度情報化社会の「まなび」スタイルを提唱。

  • 自閉症児の教育などを基板に進められる教育についての本。 欲しい情報とはちょっと違った。

  • 教育現場では「正しい知識を簡単なものから複雑なものへ、ひとつひとつ系統的に積み重ねていけば効果的に学ぶことができる」という大原則のもと「教え込み型」の教育が行われている。この当たり前とも言うべきパラダイムが間違っていたということに帰して論を進めていく。渡部はロボット工学のパラダイムシフトを例に挙げ、ロボット開発における「学び」の視点や自閉症児の学びの視点までも検討の視点としている。そこから、子どもたち、人間、自閉症児、そしてロボットの「学び」に至るまで、本質はまったく同じであるという前提を提示する。サッチマンの「人間の行為というものは本質的に状況に埋め込まれたものである」という考え方を重要視し、「あいまいで複雑な日常」で生きていくためには「教え込み型」の教育ではなく「しみ込み型」の教育を提唱する。「しみ込み型」の教育とは日本の伝統芸能の伝承に見られるような「学び」である。しかし、そこには伝え手と受け手の明確な意志がなくとも適切な環境を整えることで「学び」が成立することを自閉症児の長年の観察結果をもとに実証している。その15年間にわたる努力と成長した晋平という青年の今の姿には感動すら覚える。現代の教育のあり方に鋭くせまり、ロボット、自閉症そして、伝統芸能というまったく関係がなさそうなところから見いだされる展開は私たちが普段、疑問に思いながらも確信を持てなかったものを明らかにしていく。まさに、教育を根本から見直さなければ成らない時期に来ていることを感じさせる一冊である。

  • 教育論、ロボット(AI)、自閉症とそれぞれの話がリンクしていないので、ロボット化する背景や原因という核心は掴めなかった。

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著者プロフィール

2020年6月現在 東北大学大学院教育学研究科 教授

「2020年 『AI時代の教師・授業・生きる力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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