闘蟋: 中国のコオロギ文化 (あじあブックス 44)

著者 :
  • 大修館書店
4.40
  • (2)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469231854

作品紹介・あらすじ

「闘蟋」-それはコオロギを闘わせ、ひと秋をかけて"虫王"を決める遊び。飼い主たちは、戦士の育成に持てる金と時間と知識のすべてを注ぎ、熱中のあまり家屋敷を失ったものは数知れず、一国を滅ぼした宰相さえいた。一二〇〇年の時を超え、男たちを魅了し続ける中国の闘うコオロギとは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中国のドラマで見たコオロギ相撲。ドラマではみんな仕事を忘れるほど熱中していたが、何が面白いのかわからない‥と思って読んでみた。
    唐の時代から現代まで続いてきた闘蟋について、大変よくわかる本である。
    歴史や概論だけでなく、著者は中国に何度も行ってコオロギの飼育を体験し、関係者たちに闘蟋のあり方をインタビューしてその魅力を余すところなく伝えようという意気込みが伝わってきた。
    個人的には虫が嫌いなので数百の養盆(一匹ずつコオロギが入っている)が並んでいるのを想像すると気持ち悪いが、毎日1つ1つ世話をして虫を育て、吟味して戦わせる面白さはよくわかった。ただ虫を戦わせて賭けるだけではない、奥の深い風雅な趣味だと思う。

  • 2023.07.22 朝活読書サロンで紹介を受ける。コオロギは筋肉質。筋肉質な生物は闘わせる。中国ではコオロギを闘わせる。映画『ラストエンペラー』でも登場する。
    強いコオロギを作るには、ストレスを最大化させる。ガラスで仕切り、見えているのに交流できない状態。

  • (後で書きます。面白い。参考文献リストあり)

  • 中国には、闘鶏・闘犬のように、蟋蟀(コオロギ)を闘わせて楽しむ文化があるという。称して闘蟋。本書はその闘蟋に自身、魅せられた著者が、その歴史、用具、現代の闘蟋にまつわるあれこれを、何度も中国に足を運びつつ追っている。日本ではこのような風習がないため適当な訳語がなく、「闘蟋(とうしつ)」というのは中国での呼称をそのまま音読みしたものである。いやはやすごい。よい雄コオロギの選び方、飼育上の注意(秋口と晩秋では水飲み皿の深さを変えるとか!)、病気の治療法、(闘争心をかき立てるのに雌コオロギと交尾をさせるのだが)よい雌コオロギとは何かなど、細々とした注意点が延々と綴られた飼育マニュアルが何冊もあるのだとか。中国四千年の歴史の中で、闘蟋の歴史はなんと千二百年を数えるという。コオロギを飼っているのかコオロギに飼われているのかわからないほど、手間をかけてコオロギの世話をする男たち。小さいながらも意匠を凝らした美術工芸品ともいえる飼育用具。闘蟋文化を持つのは中国だけだそうだ。賭博の対象になることもあるからか、中国人の間でもよいイメージばかり持たれるわけではないようだが、これは1つの立派な文化だろう。カーチャさんご紹介の本でした。ありがとうございます。*西太后のエピソードがおもしろかった。闘蟋は普通、男の遊びだが、西太后も闘蟋を好んだという。あるとき、雄コオロギと見せかけて雌コオロギが献上され、西太后は烈火のごとく怒った。これは西太后の通称「慈禧(シーツー)」と雌コオロギ「雌蟋(シーツー)」の音が同じであり、西太后も雌コオロギも女だてらに土俵(政治の舞台)に上がって闘うなとの痛烈な批判だったのだとか。ずいぶん高度な洒落だ・・・。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

中国文化を中心に著述・翻訳を行う。著書に『闘蟋――中国の蟋蟀文化』(サントリー学芸賞)『中国 虫の奇聞録』(以上、大修館書店)、訳書に『マンガ 仏教の思想』(蔡志忠・大和書房)など、共訳に集英社『わが父魯迅』(周海嬰・集英社)などがある。保護いぬと暮らす。

「2020年 『保護ねこ物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀬川千秋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×