英語教師のための第二言語習得論入門 改訂版

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  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469246612

感想・レビュー・書評

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  • 小学校から大学・社会人まで、英語教師はどのように指導していったらよいかの考察。
    私は英語教師ではないので、社会人の立場から、自律型英語学習をするためのヒントを探すために読みましたが、色んな人が言っているようなことでした。
    ・興味のある分野について英語で情報収集する
    ・理解可能な大量のインプット+適量のアウトプット
    ・アウトプットしてからインプットすることで、現状のギャップを埋める
    ・リスニングを文字と合わせて行うことで、意味的なプロセス+文法処理が可能

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50340515

  • 理論に裏付けされた具体的実践例も書かれており、英語教師必読の一冊であると思う。

  • 英語教師のための第二言語習得論入門(白井恭弘)

    1.第2言語習得論のエッセンス
    ・バイリンガルの老人は認知症の発症が遅れ、その後の進行も特に早いということはない。
    ⇒◎モチベーションアップになるかな

    ・外国語教育が目指す能力とは
    ①文法能力
    ②談話能力(1文以上を繋げる能力)
    ③社会言語学的能力(適切な言語を使う)…適切な表現(敬語とか言い回しとか)
    ④方略的能力(問題が起こった時に処理する能力)…単語が思いつかないときの言い換えやLet me see… とかがうまく使えるか
    ⇒授業で身につけられそうなのは①②。自分が重点的に勉強しなきゃいけないのは③④。
     ◎オンライン英会話で適切な表現を学ぶ。言い換え力を上げるためのバックトランスレーションと独り言英会話を続ける。

    ・言語習得の本質とは何か
    ①インプット仮説
    →理解可能なインプット+アウトプット(実際に口に出さなくても、頭の中でリハーサルするでも〇)
    ②自動化理論
    →まず知識を身に付け、それを練習することで徐々に使えるようにする、というもの。
    でも、文法知識を意識的に全て身に着けるのは不可能、練習で自動的に使えるようにするのには限界がある。あと教育現場ではこの面を省くことが多い。
    ⇒◎授業では「自動化」のために音読とバックトランスレーションをルーティンに取り込んでいく。

    2.SLA (Second Language Acquisition)から見た日本の英語教育
    ・教えたらすぐに身につくという考え方自体が間違い!習得するのに易しいものと難しいものがある。
    ・インプット仮説の落とし穴…インプット理解は文法知識がなくてもできてしまう→文法処理をさせるためにアウトプットを行う。細かいところまで注意がいってないとしゃべれない。
    ・自動化モデル・アウトプットの効用…「アウトプットは自動化につながる」けど、アウトプットそのものが言語習得につながるわけではない。アウトプットからは新しいものは生まれない(インプットで知識をつけ、それをアウトプットで定着させるイメージ)なのでインプットがより効率的な習得になるようにアウトプットを行う必要がある。
    ・インプットとアウトプットの組み合わせ方…【インプット→アウトプット→インプット】(まず知識をつけ、それを定着させるためのアウトプットをする。そこで自分がどこが言えないかが分かり、もう一度インプットをすることで定着できる)
    「大量のインプットと少量のアウトプット」…アウトプットは少しでもいいから頻繁に行うorアウトプットはしなくても、その必要性は高めておく(頭の中で英語にするだけでもいい)
    ⇒◎インプットだけで終わらせない!学習した後、必ず声に出したり、学びを言語化するアウトプット活動を取り入れる。自分自身の学習もそう。英会話をした後に、学んだ表現・言えなかった表現をクリアにして次のレッスンに生かす。

    ★泳ぎと一緒。手の動かし方とか息継ぎの仕方(単語や文法の知識)をどんなに身に付けても泳げるようにはならない。実際に泳いでみることが大事。英語も、実際に使える知識になっていなければ無駄になっちゃう。

    ・限られた単語や文法知識でもそれを「使いこなす」ことが大事。
    ⇒◎言い換えて表現する癖をつける。

    ・自動化モデルからインプットモデルへ
    インプット量が不足しているのが共通の課題。「理解可能なインプット」をどれだけ確保できるか。多聴多読(理解できるレベルの)により達成する

    ゆっくりなら聞ける、読める、という段階からある程度スピードをつけてインプット処理ができるように多聴多読を行う+アウトプット

    4.中学校英語教育のこれから
    ・英語嫌いを生まないために…動機付けの面では、コミュニカティブ・アプローチが◎。(×完璧な英語→〇今持っている言語能力でインプットをする。流暢さと正確さのバランスをとっていく)
    ・そのために…正しさだけでなく、通じるかどうかを評価する。(ミスがあるからと言ってバツにしない)
    ・初級におけるコミュニカティブアプローチの例…
    ①教科書の文法項目を5分くらい母語で説明
    ②その文法項目を使ってクラスメートにインタビューする。(教科書冒頭にあるその文法項目を使ったダイアログを暗記してから)
    ・アウトプットを強制することの弊害を最小限にするために、アウトプット活動はペアかグループで行う。間違った表現が定着しないよう、事前準備しっかり。
    ⇒コミュニカティブアプローチは比較的できていると思う。ただ、表現が正しいかどうかまで確認できていないこともある。
    ◎だから、アウトプット活動に入る前に全員で表現を確認して正しい表現が適切にアウトプットされる環境を作ってから活動に移りたい。

    5.高校英語教育のこれから
    ・インプットモデルに基づいた高校英語実践例…
    ①まず聞き取りをさせてTF
    ②同じところを読んで再度同じTF
    →おなじTFを2回させることで正答率が上がる。達成感につながる。(インプットの繰り返しが大事)
    ⇒高2のコミュ英持ってた時このやり方してた!間違ってなかったかも。ちょっと安心。

    6.大学生・社会人のための英語教育
    ・理解度を保証する… narrow listening/reading
    同じ教材を何度も読んだり聞いたりすることが大事。リスニングとリーディングをどちらもやる必要がある。
    ⇨◎英検のリーディングとリスニングを偏らないように、上手にバランスよく勉強していく。

    ◎読みやすかった。授業内でどんなプロセスを踏んでいけばいいかが具体的に書かれていてよかった。アウトプットを取り入れる、リスニングとリーディングどちらもちゃんとやること。

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